瑠璃ノムコウ の商品レビュー
急に友人がいなくなると、人はあんなにも取り乱して、友人が信じられなくなるのだろうか。でも、自分の知らないところで周りの人が勝手に繋がっていたら驚きだよなあ。この本は実は2篇あり、どちらも父との距離に戸惑っているように感じた。
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第47回泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞作。金沢出身の作者が 金沢市、犀川と兼六園、金沢城下町、戦災を逃れた為、小京都にルリを探す小説、室生犀星、金沢21世紀美術館、 「長町の武家屋敷跡もいいよね。土塀と石畳の通りが風情ありそう。忍者寺っていうのも隠し階段とかカラクリがあって面白そ...
第47回泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞作。金沢出身の作者が 金沢市、犀川と兼六園、金沢城下町、戦災を逃れた為、小京都にルリを探す小説、室生犀星、金沢21世紀美術館、 「長町の武家屋敷跡もいいよね。土塀と石畳の通りが風情ありそう。忍者寺っていうのも隠し階段とかカラクリがあって面白そうね。それと、あ、そうそう、ひがし茶屋街だ。これなんかまるで京都よね。この辺が〝小京都〟って言われるとこなんだね。ここには行っときたいな」 金沢の郊外にある河北潟の干拓地に三十万本もの向日葵が咲き誇る畑があり、夏場にはその向日葵畑に巨大な迷路が造られる。ルリと二人でそこに遊びに行ったときのことを思いだす。太陽が容赦なく照りつける下、ゴッホが描くような黄色のタッチが溢れださんばかりに群生する向日葵があった。 ようやく、石畳が綺麗に敷き詰められたひがし茶屋街に出た。歴史ある木造の町並みが街路の両側に連なり、軒下に出格子が整然と続いている。その端正な佇まいは、日本美の粋を感じさせる。通りには観光客が溢れていて、町並みを好奇の目で見る外国人グループの姿もあった。それぞれの店舗の入り口にかけられた、さまざまな色の暖簾がいいアクセントになっている。 すっかり歩き疲れたわたしたちは、その中の一軒のお茶屋さんに入った。江戸時代から続く由緒ある建物は、茶屋の雰囲気をそのままに保存したものだ。昔ならではの段差のある急階段を上っていくと二階まで吹き抜けになっていて、芸妓さんの支度部屋があったり、芸を披露する朱色壁の部屋などが当時の面影を残して展示されたりしている。 金沢という町は、兼六園のある小立野台地を挟むように浅野川と犀川という二つの川が流れ、その両翼に卯辰山丘陵、寺町台地があるという起伏に富んだ独特な地形をしている。今度はその一方の翼に登ることになるわけだ。 金沢21世紀美術館は、金沢城からほど近く、市役所の隣というまさに金沢の中心市街地に位置していた。さまざまなビルが建ち並ぶ兼六園へと通じる大通りから一筋道を入ると、誰も予期しない場所にぽっかりと開けた芝生の空間が出現する。 市役所のレンガ色のタイル貼りの建物とはまったく趣の異なる、フラットなガラス張りの外観と白い壁が新鮮な刺激を与えてくれる。反対側の背景は広坂の森の緑が彩っている。
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