マンガ万歳 画業50年への軌跡 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昨年他界されたマンガ家・矢口高雄氏 の追悼書籍。秋田魁新報で連載されていた「シリーズ時 代を語る」をまとめたものだが、テイストはエッセイ。 どうやら矢口先生が逝く直前まで、ご本人を含めた編纂 が行われていた模様。 幼少期や青年期の思い出話はもちろん、癌を患い72歳で 創作活動を停止した時期のことまでがしっかりと描かれ ている。文章量はけして多く無いが、エピソードのチョ イスに過不足を一切感じない。 圧巻なのは表紙と巻頭のカラーグラフ。 表紙の「鮎の群れの中で微笑む三平」というあまりにも 有名なデザインはもちろん、マンガという枠で括ること すら躊躇してしまうあまりに美しい原画の数々は永久保 存版。これ一冊で「美術作品」としての価値がある。 つくづく残念なのは、釣りキチ三平「天沼の鱗剥ぎ」が 世に出ず、幻の作品となってしまったこと。この本には その原画の一部と、ストーリーが記されているのだが、 それがあまりに魅力的。もし先生に悔いがあるとすれば、 この作品を完成させることが出来なかったこと、だと思 う。 鱗剥ぎに関しては完成版をあちらで読みたい。どうかあ ちらでも、精力的に唯一無二の「矢口高雄マンガ」を描 き続けてください・・・。
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