「ユーザーフレンドリー」全史 の商品レビュー
冒頭、ヘンリー・ドレイファスの話がかなりだらだらと冗長で、頭からちゃんと読もうとすると眠くなってしまうが、ドレイファスの章を抜けた後は面白くて最後まで一気に読んでしまった。この本にはいっさい、「グラフィックデザイン」や「広告のデザイン」について言及されていない。しかし、「本当のデ...
冒頭、ヘンリー・ドレイファスの話がかなりだらだらと冗長で、頭からちゃんと読もうとすると眠くなってしまうが、ドレイファスの章を抜けた後は面白くて最後まで一気に読んでしまった。この本にはいっさい、「グラフィックデザイン」や「広告のデザイン」について言及されていない。しかし、「本当のデザインやデザイナーの歴史」がここに書かれているのだと感じた。そしてWebデザインはこの歴史の流れの中にあるわけだから、そこに携わるデザイナーに必要なスキルがどんなものか見えた気がした。
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デザインのお勉強。 …こうした状況から「対応づけ」「操作のしやすさ」「メンタルモデル」が生まれるはずがない。この三つの要素は、今日スマートフォンを持っている人なら当然だと思っていることだ。それらは「ユーザーフレンドリーな世界」がうまく機能するための原則である。あなたが使いこ...
デザインのお勉強。 …こうした状況から「対応づけ」「操作のしやすさ」「メンタルモデル」が生まれるはずがない。この三つの要素は、今日スマートフォンを持っている人なら当然だと思っていることだ。それらは「ユーザーフレンドリーな世界」がうまく機能するための原則である。あなたが使いこなしたい機械が原子炉であろうと子どものおもちゃであろうと、この三つの原則がすべて必要となる。人が機械に使いこなせるようになるためには、機械はパターンの集まりである「パターン言語」に則ったものでなければならない。 …私にとって最も意外だったのは、精神分析医に聞いた「配偶者と生産的な議論をするための秘訣」を妻が教えてくれたときだ。それは、「配偶者が言っていることに耳を傾け」「言われたことをすぐに繰り返し」「繰り返した内容が正しいかどうか配偶者に確認する」ということらしい。ボタンが押される、フィードバックが送られる、行動が確認される。まさに操作ボタンと同じではないか。共通の理解を形成することは、私たちが社会にもたらすほかのどんな影響よりも重要だ。デザインとはユーザーにとってわかりやすい、そうした共通の理解が込められたモノをつくりだすことであり、それ以上でも以下でもない。 …だがドレイファスにとって、これは「きまりが悪い、誇り高い、困惑している、興味があるといった、それぞれの人が生きていくなかで抱く思いを理解することで、その人の人生をよりよくする」というデザインの理想を実現できた出来事だった。彼はこの事例をデザインの神話として、大切に語りついだ。人が思っていることが分かれば、目に見えている問題の奥にある、本人すら明確に捉えらず解決に取り組むことさえできなかった問題に辿りつける。 …ドレイファスは後年、「私は色、照明、スタイルのどんな組み合わせが、幕が開いた瞬間に拍手の波を起こすかを、ほぼ確実に保証できるほどのレベルに到達していました」と記者に語っている。この言葉から、ドレイファスは「人があるモノを欲しがる根底には、何らかの理屈がある」を信条としてキャリアを築いてきたことがわかる。 …おそらく、ドレイファスは「デザインとは、ただ見た目をどうこうすることだけではない。モノがどのようにつくられ、それで何ができるかを知ったうえで湧き出てくるものだ」とはっきりと言葉にし、そして、その考えに従って行動した初のアメリカ人デザイナーだ。 …会話の決まりであろうと、ユーザーインターフェースデザインの原則であろうと、その目標はわかりやすい方法でやりとりを行えるようにすることだ。どんなやりとりも、話がかみあっているかを双方が確認するため、フィードバックを中心にして行われている。…やりとりしている相手が人間であろうと機械であろうと、その目的は世界に対する共通の理解を生み出すことだ。これは「ポライトネス」を重視する会話の決まりと、「ユーザーフレンドリー」な機械の原則のどちらの背後にもある重要な点だ。 …ケリーは誰に尋ねられても、のちの成功の鍵はマッキムと、彼から教わった「興味深い問題を見つけることは、興味深い解決策を見つけるよりもはるかに重要だ」という強いこだわりだと答えるはずだ。 ここ数十年間で、神経科学者たちはようやくこの原因の解明に到達しつつある。物事が私たちの予想どおりに起きても、脳の報酬系は活性化されない。つまるところ脳の回路は、私たちが既知のことを改めて発見したからといって報酬を与えるようには進化していないのだ。一方、私たちの予想外のことが起きたとき、脳は熱烈に反応する。新しい種類の出来事の情報を収集できる機会を察知すると、脳の報酬系は活発になる。 コジンスキーは心理学で博士号を、精神測定学で修士号を取得していた。精神測定学の分野における研究が始まった当初からの仮定のひとつは、複雑に絡み合っているように見える人間の性格は「ビッグ5」と命名された五つの明確な特徴に集約化できるというものだった。具体的には、新たな経験を求める意欲にあふれた「開放性」「誠実さ(または完璧さ)」「外向性」、相手が思慮深くて協力的だったと思える「同調性」、どの程度動揺しやすいかを測る「神経質さ」の五項目で、それぞれのアルファベットの頭文字を取ってOCEANと名づけられた。 ■ユーザー中心デザインの手法 1.ユーザーを起点にする 2.ユーザーの身になって考える 3.見えないものを可視化する 4.現在において見られる行動をもとにする 5.メタファーのはしごを上る 6.内部の理屈、すなわちメンタルモデルを明らかにする 7.範囲を広げる 8.形は感情に従う
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12681645415.html
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デザインに少しでも興味があるひとにはお勧めの良書。 第一部 使いやすいモノとは何か 第二部 欲しくなるモノとは何か の二部構成。1978年のスリーマイル島原発事故からFacebookまで。 P351のことばをそのまま借りると、「ユーザーフレンドリー」は、「使いやすいモノをつくる...
デザインに少しでも興味があるひとにはお勧めの良書。 第一部 使いやすいモノとは何か 第二部 欲しくなるモノとは何か の二部構成。1978年のスリーマイル島原発事故からFacebookまで。 P351のことばをそのまま借りると、「ユーザーフレンドリー」は、「使いやすいモノをつくる世界」から「つい使ってしまうモノをつくる世界」「使わずにはいられないモノをつくる」「見るからに病みつきになるモノをつくる」へと変化している。 いつの間にか怖い話が多くなるなか、コンゴ民主共和国のオセットさんが考えた『マジックバスチケッティング』は、デザインのみで社会を変えた(具体的にはバスという公共インフラの効用を、定時運行のインセンティブ付与により劇的に高めた)、という点で、非常に希望に満ちた話だった。 スキナーが発見した、ラットも人間も予想通りの報酬よりも予想外の報酬(可変報酬)に対して最も反応する(脳が活性化する)、という点は、所謂、『進化的に安定的な戦略』なのだろう。(パチンコの確変もこれ) また、快楽そのものよりも、快楽が得られそうな予感、が脳内麻薬の正体という。 2016年のアメリカ大統領選挙におけるコジンスキーのFacebook 解析の影響の大きさは、空恐ろしさを覚える。
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読了。ユーザーフレンドリーであるとはどういうことか、過去の様々な事例を紹介しながら解説する。自分が普段考えているようなことが言語化されていて、かつその上をいく考察がなされていたのでめちゃくちゃ参考になったし、なんらかのインターフェースの開発を仕事にしている人は必読の一冊と思った。...
読了。ユーザーフレンドリーであるとはどういうことか、過去の様々な事例を紹介しながら解説する。自分が普段考えているようなことが言語化されていて、かつその上をいく考察がなされていたのでめちゃくちゃ参考になったし、なんらかのインターフェースの開発を仕事にしている人は必読の一冊と思った。翻訳も読みやすくてよかった。
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https://www.lib.kyutech.ac.jp/opac/search?q=9784575315776
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ユーザーフレンドリーなデザインとは何か?なぜあの商品は、あのサービスはヒットしたのか?スリーマイル島原子力発電所で起きた事件をはじめ、デザインの持つ重要性を解りやすく説いていく本書。 1章目からいきなりとある原発事故の話が始まるから何事かと思ったが、この事故の裏にあった失敗が、...
ユーザーフレンドリーなデザインとは何か?なぜあの商品は、あのサービスはヒットしたのか?スリーマイル島原子力発電所で起きた事件をはじめ、デザインの持つ重要性を解りやすく説いていく本書。 1章目からいきなりとある原発事故の話が始まるから何事かと思ったが、この事故の裏にあった失敗が、読者に対してデザインが持つ大きな働きを強調している。デザインとは、キラキラとした魅力的な見た目にすることが目的なのではなく、「人がなぜそう振る舞うのかを理解し、人の限界や欠点を最優先に考慮して決められるべきもの」である。ボタンやレバーが何の働きを持つのか、どのようなフィードバックを受けられるかを、使う人間が分かるようにしなければそのデザインは失敗なのだ。 特に興味深かったのが、私たちは新しいものを使うとき、何か既存のモノと類似した働きや操作と関連付けているというメタファーの効用という考え方だ。例えば車のハンドルは、車が開発されるより前にあった船の舵柄を模しており、同じような働きを持つことをユーザーに対して示した。やがて時がたつと車のハンドルは人々の意識の中に当たりまえの働きを持つようになり、その操作方法について違和感を持たなくなる。このように、デザインは何か既存のモノをモデルにして次のステージへと進み続けている。 また、どんどんユーザーフレンドリーになっていくことの良い面だけではなく、パーソナライズされていくことで生まれる制限について触れていることも、この本のよいところかと思った。ユーザーフレンドリーな仕組みによって、私たちは私たちの見たいものを見れるようになった(パーソナライズともいえる)。それは確かに私たちの思考や行動に基づいて”おすすめ”されているのかもしれないが、一方でほかの選択肢が見えなくなってしまっているというパラドクスも生んでいる。 これからは益々「あなたのために」というようなパーソナライズ機能が主流となり、様々な媒体に備わっていくのだと思うが、これらの持つ問題点にも目を向ける必要があるのだと思った。
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なんというか、無駄な言葉が多いのよね。。ぽつぽつなるほどね、ということもあるのに、そこに辿り着くまでが、無駄に遠い。欧米人の文章の特徴なのかしら。翻訳の時にずばっと削っちゃえばいいと言うのは乱暴なのかしら。
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自らがデザイナーとして活躍する著者コンビが、UI/UXのような概念によって構築される”ユーザーフレンドリー”とは何かを紐解く概説書。 まず、ユーザーフレンドリーの歴史を語る際の出発点の選び方にハッとさせられる。本書が選んだ出発点、それはアメリカのスリーマイル島での原発事故である...
自らがデザイナーとして活躍する著者コンビが、UI/UXのような概念によって構築される”ユーザーフレンドリー”とは何かを紐解く概説書。 まず、ユーザーフレンドリーの歴史を語る際の出発点の選び方にハッとさせられる。本書が選んだ出発点、それはアメリカのスリーマイル島での原発事故である。その理由は極めて明確である。この事故はユーザーフレンドリーという概念が完璧に欠如していたから、というものだ。管制室では様々な異常を示す計器やランプが備えられていたが、それらが異常を示す際の挙動には大きな問題があった。あるランプは正常状態を示すのに対して、別のランプは異常を示す、という具合に、その全てが作業員に混乱を産むものであったからである。 そこから始まるユーザーフレンドリーの歴史は、自動車などのインダストリアルデザイン、昨今のWebサービスなどの具体例を引きながらどのようにこの概念が発展し、人々に受容されていくことになったかを描いていく。BtoCであれ、BtoBであれ、昨今のビジネスを語る上で外せないUI/UXなどのデザインを振り返る上で貴重な一冊。
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今の「デザイン」は「体験のデザイン」なわけですが、デザイン界の歴史として、どうやって今の形になったのか、よくわかった。LC4RI的にも体験は大きな要素なので、便利にし過ぎてブラックボックス化する話とか、メンタルモデルの話とか、この本を起点に掘る場所が見えるような感じがした。今日的...
今の「デザイン」は「体験のデザイン」なわけですが、デザイン界の歴史として、どうやって今の形になったのか、よくわかった。LC4RI的にも体験は大きな要素なので、便利にし過ぎてブラックボックス化する話とか、メンタルモデルの話とか、この本を起点に掘る場所が見えるような感じがした。今日的なデザインで言われる「共感」という言葉が好きじゃなかったのだけど、もうちょっとニュートラルに見れるようになったかも知んない。デザイン思考の知識がゼロだと読み解けない本かなとは思った。現状に批判的な問題提起もあって良い。LC4RIとの絡みで深堀りしたいけど、時間が溶けるからなあ。
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