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暴君 の商品レビュー

3.9

11件のお客様レビュー

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2021/08/21

世界史知ってたら、より読みやすい?かと思います。 自分は途中で挫折しました。 内容はたぶん面白いと思います。

Posted byブクログ

2021/04/15

https://twitter.com/kunisakamoto/status/1380740501544968192

Posted byブクログ

2021/02/28

人文系の本というと、割合的には歴史学の本ばっか読んでるから(実数としては全然読んでないんだけど)、正直どう読んだらいいのか戸惑ってしまった。 第7章が読み終わるか終わらないかくらいのところで、読書会に突入したけど、トランプの大統領選勝利を読み込んだ場合の説得力への疑問と、読み込ま...

人文系の本というと、割合的には歴史学の本ばっか読んでるから(実数としては全然読んでないんだけど)、正直どう読んだらいいのか戸惑ってしまった。 第7章が読み終わるか終わらないかくらいのところで、読書会に突入したけど、トランプの大統領選勝利を読み込んだ場合の説得力への疑問と、読み込まない場合の読み方という話が出てたな。 個人的には、今自分が読んでいる時間、グリーンブラットが執筆していた時間、トランプが勝利した時間、本の中のシェイクスピアの生きていたヴィクトリア一世期という時間、そしてシェイクスピアが描いた時間という、何十にも重なる時間的層のうち、どこを中心に読んでいくのがいいのかなーというのが気になった。 文章自体は非常に読みやすく、すいすい読んでいける。 数週間前、Twitterで新書を数時間で読んでいく能力が云々というドイツ現代史の先生の発言を見て、一生研究者になれないなと絶望してたけど、線も引かずにただ読むだけなら数時間で読めたじゃん!って勝手に感動しました。

Posted byブクログ

2021/01/31

アメリカのシェークスピア研究者グリーンブラットが、シェイクスピアの歴史劇が当時のイングランド(=エリザベス一世時代)の政治状況に対する諧謔を含めた批判であることを紐解きながら、実はこの本が書かれた(2018)当時のアメリカの政治状況を痛烈に批判しているという、二重構造。 つまり...

アメリカのシェークスピア研究者グリーンブラットが、シェイクスピアの歴史劇が当時のイングランド(=エリザベス一世時代)の政治状況に対する諧謔を含めた批判であることを紐解きながら、実はこの本が書かれた(2018)当時のアメリカの政治状況を痛烈に批判しているという、二重構造。 つまり、リチャード2世、ヘンリー6世、リチャード3世、マクベス、リア王、シーザー、コリオレイナスという暴君を主人公に据えた演劇はエリザベス朝の暴君性を批判したものであるといいながら、その暴君性についての表現は誰が読んでもそのまま前大統領に当てはまる・・・そして、日本の読者にとっては某首相を想起させる。 「リチャードのことなど気にかけず、ほかの誰かがリーダーになるだろうとずっと考えているうちに、やがて手遅れの事態となる。ありえないと思っていたことが実際に起こっていると気づいたときには遅いのだ」(P85) 「ずっと虚偽を連続して浴びせ続けると、疑い深い人たちは隅に追いやられ、混乱を生み、本来なら起こるはずの抗議の声も生まれない」(P100) 「私たちは、悪党のとんでもない行動に何度も魅了され、普通の人間としての節度などどうでもいいとする態度に魅せられ、誰も信じていないときでさえ効果があるように思える嘘を楽しんでしまう」(P104) 「どんなに狡猾に頭角を現そうと、一旦権力の座に就くと、暴君は驚くほど無能なのだ。」(P186) 「シェイクスピアは巧みに描いたのであるー混乱の時代に頭角を現し、最も卑しい本能に訴え、同時代人の深い不安を利用する人物を。激しく派閥争いをする政党政治に支配された社会は、詐欺的ポピュリズムの餌食になりやすいとシェイクスピアは見ている」(P244) シェイクスピアの良き読者にとっても再読のきっかけになるだろう。歴史劇は読んでないという私には、本書と同じ河合祥一郎訳で読んでみたいと思わせてくれる。

Posted byブクログ

2021/01/31

面白すぎてページを捲る手が止まらなかった。 シェイクスピアに関する知識は殆ど持っていなかったが、易しい日本語訳なので分かりやすい。 学術書というよりは物語や小説に近い感じがする。 とにかく日本語訳が上手い!すごい!

Posted byブクログ

2021/01/18

正直、シェイクスピア作品に明るくない私はあんまりついていけていなかったと思うが、もう10年以上見ている舞台の2幕冒頭シーンがどういう意図をもってつくられた場面なのか、やっとわかった気がして嬉しかった。 ついていけないながらになんとなく既視感を感じつつ読み進める中で、make En...

正直、シェイクスピア作品に明るくない私はあんまりついていけていなかったと思うが、もう10年以上見ている舞台の2幕冒頭シーンがどういう意図をもってつくられた場面なのか、やっとわかった気がして嬉しかった。 ついていけないながらになんとなく既視感を感じつつ読み進める中で、make England great againとの記述にぶつかり、ああ、そういうことかと。ホワイトハウスに群がる暴徒たち、Twitterという現代のやり方で扇動する暴君よ。結部の最後の一行を読み、この決して穏やかとは言えぬ現代を生きる我々も良識ある人民として襟を正さなければと思わされた。

Posted byブクログ

2021/01/16

シェイクスピアの各作品での「暴君」の描かれ方をうまく抽出してあると感じた。 項目立てが絶妙なのか、各論的になりすぎず、一貫した書きぶりで読みやすい。 シェイクスピア作品に目を通したうえで再読してみたい。 トランプ政権誕生を明らかに意図しているはずだが、本文に指摘のシェイクスピアの...

シェイクスピアの各作品での「暴君」の描かれ方をうまく抽出してあると感じた。 項目立てが絶妙なのか、各論的になりすぎず、一貫した書きぶりで読みやすい。 シェイクスピア作品に目を通したうえで再読してみたい。 トランプ政権誕生を明らかに意図しているはずだが、本文に指摘のシェイクスピアのやり方と同様、「直接的な状況から遠くへ想像力を飛ばし」て書かれていたため、自らの政治主張の押し付けめいたものはそこまで感じられなかった。 暴君を放置、時には支持してしまう民衆らへの指摘についても、なるほどと思わされた。

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2020/12/05

シェイクスピア研究の泰斗、と知っていた。 でも、自分の予備知識なんていい加減。 著者はアメリカ育ちで、所属もアメリカの大学。 そう思って読むと、四章冒頭の暴君の性格は、もしかして有名なあの人に当て書きしたのかと思えてくる。 (謝辞を見ると、その理解でよさそうだ。) 取り上げた...

シェイクスピア研究の泰斗、と知っていた。 でも、自分の予備知識なんていい加減。 著者はアメリカ育ちで、所属もアメリカの大学。 そう思って読むと、四章冒頭の暴君の性格は、もしかして有名なあの人に当て書きしたのかと思えてくる。 (謝辞を見ると、その理解でよさそうだ。) 取り上げた作品は、『ヘンリー六世』『リチャード三世』『マクベス』『リア王』『冬物語』『ジュリアス・シーザー』『コリオレイナス』など。 これらの作品群を通して、暴君の特質、背景、そして周囲の人間のありようなどを分析する。 リチャードは、絵にかいたような暴君。 コンプレックスや愛情欠乏を権力で補償しようとする、ある意味わかりやすい悪者。 マクベスには「近代」的男性の悲劇が滲む。 妻から男性性を証明することを迫られ、正統な王殺害に追い込まれ王位を簒奪するが、狂気に陥る。 忠義の臣下や召使、親族は迫害される。 鶏まきは追従するか、沈黙する。 人々は、というと一筋縄ではいかない。 このあたりは古代ローマに材を取った『ジュリアス・シーザー』や、『コリオレイナス』から分析される。 混乱しながらも、民主制を守るためにシーザー殺害を決意するブルータス。 彼の理想主義は仲間のデマゴーグに踏みにじられ、肝心の市民から理解されることはない。 コリオレイナスは英雄軍人で、友人の貴族たちに執政官の候補として担ぎ上げられる。 彼自身は庶民を侮蔑しているが、貴族たちに選挙に勝つために、庶民に迎合せよと薦める。 しかし生来の性格から、その戦略を貫き通せず、結局ローマは内戦状態になる。 人々はコリオレイナスを憎んでいるはずだが、彼がローマを攻めてくると聞くと、彼の評価に「歴史修正主義」を適応しはじめる。 結局彼はローマから離れ、やがて死ぬことになるが、この暴君から民主制を救ったのは、庶民――とはならない。 私利私欲に走る俗物として描かれる護民官が、結果的には民主制を救う、という何とも皮肉な結末。 シェイクスピアの生きた時代の弾圧を思いやる。 けれど、「人民がいなくて、何が街だ?」というシェイクスピアのメッセージは、なかなか自分が作品から読み取ることは難しいとも思う。

Posted byブクログ

2020/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 最高権力者の心に宿る矜持と巣食う不安。最高権力者は、最高権力者がゆえに常に孤独である。自らの地位を危うくすることには誰よりも神経質で、その不安が抑えきれないほど強くなれば、暴君となる可能性が高まる。最高権力者には、権力にすり寄ってくるものたちが多く出て、その追従は、権力者に自信と自己満足をもたらす。ただ、それは躓きの石でもあり、自らを最高権力者にしてきた冷静な観察力と判断力を失わせることにつながる。権力をえる過程で行使した手段は、その強みを知るがゆえに、自らの権力を奪う有力な手段であるとの認識をもつ。暴力で地位を奪ったものは暴力を恐れ、権謀術数で地位を奪ったものは権謀術数をおそれる。強みが自縄自縛となって、権力失墜の崖に自らを追い込んでいく。  シェイクスピア研究の大家が、シェイクスピア作品を解説しながら暴君の姿を追う。

Posted byブクログ

2020/11/23

『ヘンリー六世』、『リチャード三世』、『マクベス』、『リア王』、『ジュリアス・シーザー』、『コレオレイナス』……。シェイクスピアは作家人生を通じて何度も〈暴君〉の有様を書き続けた。政治批判が直接命に関わるエリザベス一世の統治下で、シェイクスピアは〈暴君〉の政治をどう描いたのか。2...

『ヘンリー六世』、『リチャード三世』、『マクベス』、『リア王』、『ジュリアス・シーザー』、『コレオレイナス』……。シェイクスピアは作家人生を通じて何度も〈暴君〉の有様を書き続けた。政治批判が直接命に関わるエリザベス一世の統治下で、シェイクスピアは〈暴君〉の政治をどう描いたのか。2020年の今につながる刺激的な一冊。 北村紗衣先生と鴻巣友季子さんがアメリカ大統領選にあわせておすすめしていたので、絶対に間違いないと思い手にとったがやっぱり面白かった。 グリーンブラットがこの本を書いた発端は2016年の大統領選でのトランプの勝利に絶望し、食卓で妻と息子に現代政治とシェイクスピア劇の〈暴君〉との類似性を語ったことにあるという。つまり本書は、女王の専制政治下で当時の劇団がさまざまな逃げ口を用意しながらどう政治劇を上演したかについての本であると共に、トランプの名前をださずに痛烈にトランプを批判する一冊でもある。その二重写しが読んでいて楽しいし、ときに背筋を正される。 元は食卓での会話だったと言うとおり、研究書ではなく世間話の延長のように軽快にシェイクスピアを語るので、エリザベス朝がとても身近に感じられる。時折「シェイクスピアは〜」という主語で明らかに自身の主張を語っている節もあるがそれも愛嬌のうちだろう。 ハッとさせられたのは、シェイクスピア作品のほとんどに種本があるのは、お上からクレームがついたときに「我々の創作じゃないですよ、元ネタに書いてあったんですよ」と言い逃れするためだったという説。他にも専制君主に対して反抗的な台詞は作中の狂人に言わせるなど、劇団はさまざまな逃げ道を用意していたらしい。現代のオリジナリティ至上主義と異なる視点から、社会学的にシェイクスピアを読んでみるのはとても面白そう。エリザベス女王が「リチャードは私だ」と言ったというエピソードも初めて知った。すべてに勘づきながらシェイクスピアとその劇団を泳がせ続けたのだとすれば、やっぱり賢い人ではあったのだろう。 あからさまにトランプ批判のためにシェイクスピアをダシにした一冊ではあるのだが、ちゃんと戯曲も読みたくなるのがグリーンブラットの面目躍如。最終章で扱われている『コリオレイナス』は未読だが、紹介されているあらすじからするに毒母とバイオレンスマザコン野郎の成り上がりと敗北の物語で、三島みたいなので興味が湧いた。コリオレイナスを束縛しておいて最後には棄てる母・ヴォラムニアが元老院議員たちの手でローマ救済のシンボルに持ち上げられるくだりは、直前に読んだ『イメージの歴史』でやったとこ!と進研ゼミ気分だった。 単純に「実はシェイクスピア劇には専制政治批判のメッセージが隠されていた!」などと言えるものではないが、少なくともシェイクスピアとその劇団は演目の解釈可能性を広く保ち、多義的であることによって観客ごとの感想の違いを許し、〈物語の専制君主〉にはならなかったのだと思う。だからこそ、2020年になってもこんなシェイクスピア本がだせるんだもんね。

Posted byブクログ