短歌ください 明日でイエスは2010才篇 の商品レビュー
極個人的な感覚だと思っていたものが、他の人によって鮮やかに言語化され、共有される驚きだったり、思いもよらない角度からのものの見方におお!となったり、かつて感じたことのある心の揺れがアルバムのように並んでいたり、31文字、季語がなくてOKな現代短歌の世界はとてもユニークで豊かでした...
極個人的な感覚だと思っていたものが、他の人によって鮮やかに言語化され、共有される驚きだったり、思いもよらない角度からのものの見方におお!となったり、かつて感じたことのある心の揺れがアルバムのように並んでいたり、31文字、季語がなくてOKな現代短歌の世界はとてもユニークで豊かでした。 このシリーズの他の本も、読んでみようと思います。 気になった短歌をいくつか さかあがり靴を飛ばして落下するもう懐かしい地上ただいま 明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット 戦争はもうなかったよ 飴を噛む六歳にとって私はおとな 煮え切らぬきみに別れを告げている細胞たちの多数決として
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2021年の初読み本。 「短歌をください」はダ・ヴィンチの中で一番好きな連載ですが、2010年頃はまだダ・ヴィンチを読んでいなかったので、この本に掲載している短歌をよむのは初めて。 短歌は読んでいると、世界を他人の目線で見ている感覚になります。 夜に読んでいたからか、明るい短歌よ...
2021年の初読み本。 「短歌をください」はダ・ヴィンチの中で一番好きな連載ですが、2010年頃はまだダ・ヴィンチを読んでいなかったので、この本に掲載している短歌をよむのは初めて。 短歌は読んでいると、世界を他人の目線で見ている感覚になります。 夜に読んでいたからか、明るい短歌よりも薄暗い短歌の方が目に止まりました。 特に心に残ったのは 「ドトールなう」つぶやく君のドトールはここじゃないのかいまじゃないのか (p200)
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「あるある」や「新発見」を通り越してギョッとさせられるような短歌の群れを楽しんだ。というかおののいた。 60のママ、これ以上生きないで 死に近づいていくのがこわい その傷がまぶたとなってひらいたらおそろしいからガーゼを当てる 声優を声優さんと呼んでいるあの子に呼び捨てされていた日々 聞いたことない花の名をあたしの名よりもはっきり言い切った母 「かぎかっこ、僕がつかうからとっといて」(だったら私はかっこでいいや) 愛ん家で見たエロ本と脱衣所のない風呂たぶん愛は美しい だしぬけに葡萄の種を吐き出せば葡萄の種の影が遅れる 柔らかい笑顔するのね下半身は暴力的に動いているのに 飲みながらおしっこしたらそれはもう管よ私は一本の管 死ぬときにこの手握ってくれる人募集中 すこし急いでいます 明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット
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わ、穂村さんの文庫新刊。笑わせてもらう気満々で手に取りましたが、私はこれまで彼のエッセイばかり読んでいて、短歌そのものが載っている本は初めて読むことに気づく。穂村さんは歌人なのに(^^。; 泣ける映画が必ずしもいい映画ではなかったりするけれど、怖い映画も必ずいい映画というわけで...
わ、穂村さんの文庫新刊。笑わせてもらう気満々で手に取りましたが、私はこれまで彼のエッセイばかり読んでいて、短歌そのものが載っている本は初めて読むことに気づく。穂村さんは歌人なのに(^^。; 泣ける映画が必ずしもいい映画ではなかったりするけれど、怖い映画も必ずいい映画というわけではない。でも怖い歌は必ずいい歌なのだそうです。他の感情よりも人間の深いところに根ざしているからかもしれないという推察になるほど。 それにしても選出された歌の作者は皆若い。ジジババおらんし。経験値高い爺婆が恐怖について詠んだらさらに怖い気がする。
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