宇宙考古学の冒険 の商品レビュー
この本を読むと、考古学者の一番の苦労は資金繰りなんじゃないかと思わせられる。いかに研究助成金を申請するか。アピールポイントとして発掘するのに的確な場所を見つけなくてはならない。そのために、人工衛星からの情報がいかに役に立つか。埋もれている遺跡を見つけることはできないだろうと思って...
この本を読むと、考古学者の一番の苦労は資金繰りなんじゃないかと思わせられる。いかに研究助成金を申請するか。アピールポイントとして発掘するのに的確な場所を見つけなくてはならない。そのために、人工衛星からの情報がいかに役に立つか。埋もれている遺跡を見つけることはできないだろうと思っていたけれど、過去は現在に色々な形で影響を残していて、植生や地形からわかることがいかにたくさんあることか。さらに著者は、考古学で過去の人々の生活を知ることの面白さと、それが未来へも繋がっていくこと、そのために現代で解決すべき問題にも触れている。たとえば女性のこの分野への進出について。盗掘についての警鐘と、それを防ぐための教育。考古学を限られた人だけのものにしないという発想から、クラウドソーシングの利用まで、話題は多岐に渡っている。放題は、考古学と人工衛星という思いがけないものを結びつける面白さがあるが、原題は"Archeology from Space - How the Future Shapes our Past”で、本書全体を表すには、邦題よりもこちらの方が適切だと思う。
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12670649422.html
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考古学者の著者は、人工衛星が捉えた地表の画像から発掘すべき場所を絞りこむ「宇宙考古学」の第一人者。2016年、考古学者としては初めてTED Prizeを受賞している。 本書の前半部分は、著者がこれまでに取り組んできた遺跡の発掘と、それを可能にしたテクノロジーを紹介しており、発掘場...
考古学者の著者は、人工衛星が捉えた地表の画像から発掘すべき場所を絞りこむ「宇宙考古学」の第一人者。2016年、考古学者としては初めてTED Prizeを受賞している。 本書の前半部分は、著者がこれまでに取り組んできた遺跡の発掘と、それを可能にしたテクノロジーを紹介しており、発掘場所はアイスランド、イタリア、カナダ・ニューファンドランド島、エジプト、など多岐にわたる。個人的には第9章がハイライトで、未来の技術が考古学に与える影響を大胆に予測している。センシング技術やAIの導入で、遺跡の発掘が大幅に効率化されるという予測はなんだかワクワクする。著者が言う「考古学は人類のための希望製造装置」という言葉にはロマンを感じる。
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宇宙考古学といってもSF映画のような話ではなく、衛星写真やドローン画像を用いて、新旧の遺跡探索に役立てる技術のお話し。 異分野の協力による学祭研究の重要性を感じました。 衛星写真から復元した遺跡写真集みたいなものにしたら、もっと読みたくなるかも。
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人工衛星からの画像解析で進められる宇宙考古学についての一冊。 科学的研究の手法は技術の進歩で日々変わりますが、それは考古学も例外ではありません。 実地調査が主体であることは確かですが、遺構の発見には人工衛星からの探査が極めて重要になっているようです。 本書の主題は宇宙考古学ですが...
人工衛星からの画像解析で進められる宇宙考古学についての一冊。 科学的研究の手法は技術の進歩で日々変わりますが、それは考古学も例外ではありません。 実地調査が主体であることは確かですが、遺構の発見には人工衛星からの探査が極めて重要になっているようです。 本書の主題は宇宙考古学ですが、ユーモアたっぷりで脱線多めの楽しく読める入門書となっています。 空からの眺めだけでなく著者が足を運んで得た情報が綴られる見聞録と言えるでしょう。 本書に記述されていますが、考古学で得られる知識や情報は真実を齎すだけでなく我々の未来にも大いに役立ちます。 調査対象の文明が何故滅んだのか、今の文明が同じ轍を踏まないために活用できるからです。 様々な面で優れていたはずの古代文明から教えてもらうことはまだまだ多く、研究の余地が大量に残っていますね。
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子供の頃、考古学者になりたかった。 大学に入り教養部考古学ゼミで、三鷹東京天文台の旧石器時代遺跡の発掘に参加して、自分は考古学者に向いていないことが分かった。発掘は、暑く寒く疲れて汚れる地道な作業で、常にエキサイティングな発見がある訳では無く、何もないことの方が多い。 そんな当た...
子供の頃、考古学者になりたかった。 大学に入り教養部考古学ゼミで、三鷹東京天文台の旧石器時代遺跡の発掘に参加して、自分は考古学者に向いていないことが分かった。発掘は、暑く寒く疲れて汚れる地道な作業で、常にエキサイティングな発見がある訳では無く、何もないことの方が多い。 そんな当たり前のことを理解して、考古学は専攻しなかったが、話を聞くのは好きだ。 これは衛星からの画像を使った考古学調査の話。 日本でもそういうことをやっている人はいて、前に知人から、西大寺の平城宮趾の航空写真で等間隔で真っ直ぐな穴の列を見つけて、すわ大建築跡かと思ったら、近鉄から見えるように建てられた看板の跡だったという笑い話を聞いたことがある。 本は楽しい語り口で、一般向け。最新の考古学の状況が分かるが、テーマを絞った詳しい話では無い。
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航空写真、人工衛星からの写真で、遺跡の痕跡を見つけることを宇宙考古学と言っている。その第一人者の著者が、考古学について、実際の発掘を通じて、著者の専門であるエジプトの小王国中浮き彫りにしていく。 衛星写真の高解像度化、権利の解放、低価格化により多くの遺跡候補地が探索できるようにな...
航空写真、人工衛星からの写真で、遺跡の痕跡を見つけることを宇宙考古学と言っている。その第一人者の著者が、考古学について、実際の発掘を通じて、著者の専門であるエジプトの小王国中浮き彫りにしていく。 衛星写真の高解像度化、権利の解放、低価格化により多くの遺跡候補地が探索できるようになった。これにより過去のたまたま見つかるのとは違う、確率論的に遺跡の数、在りかがわかるようになった。著者はそのテクノロジーの進歩と旧然たる考古学を結びつけ改革していくことに熱意を注いでいる。
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