西田幾多郎書簡集 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初は明治24年の手紙から始まるのだが、まるで漢文のような文章だったのが、最後の昭和20年になると、今とあまり変わらなくなってくる。 50年でこんなにも日本語が変わったことにまずは驚いた。 西田幾多郎の哲学に関してはいくつか表面的なことを知っているだけだったので、理解しかねる部分も多々あったが、おそらく途中経過であるがため、むしろ分かりやすい表現もあり、興味深く読み進められた。 手紙の端々から、細かな配慮のできる人であったことがうかがえる。 ちょうど「歴史の交差路にて」という本を読み終わったところなのだが、西田幾多郎のことが語られている箇所があり、そのことを思い出した。 子どもにあてた手紙には、親として心底心配している姿に強く共感させられた。 ただしあくまで人生の先輩として助言している。 (そして辛酸をなめたこの人だからだろう、言葉がとても重い気がする) この時代の父親としては珍しいのではないだろうか。 優しさがあふれている。 もっと西田哲学を知りたい、それからまたこの本を読んでみたい、そう思った。
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