シルクロード世界史 の商品レビュー
興亡の世界史のシリーズを読んでいて、中央アジアやシルクロード周辺の民族興亡がよくわからなかったので、同じ著者のこの本を手にしたのであるが、正直、読破するのがとても辛かったです。歴史学者は資料が好きなのは分かりますが、少しマニアック過ぎる。 読み出した以上、理解しようと努めたの...
興亡の世界史のシリーズを読んでいて、中央アジアやシルクロード周辺の民族興亡がよくわからなかったので、同じ著者のこの本を手にしたのであるが、正直、読破するのがとても辛かったです。歴史学者は資料が好きなのは分かりますが、少しマニアック過ぎる。 読み出した以上、理解しようと努めたので時間がかかりました。
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前近代における世界史を中央ヨーロッパの視点から問い直す一冊。騎馬遊牧民の形成過程、ソグド・ウイグルの位置付け、マニ教・仏教の展開、キャラバン交易の実相など興味深い点が多い。
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自らが研究してきた、とりわけソグド人が果たしてきた役割の大きさを強調している。加えて、西洋中心史観への強烈な反発を前面に出している。だから、一般向けに、あるいは教科書的に通説に従い微温的な見解でまとめた歴史本が多い中で、個性の強い本である。(トンデモ本ではない) ただし自説である...
自らが研究してきた、とりわけソグド人が果たしてきた役割の大きさを強調している。加えて、西洋中心史観への強烈な反発を前面に出している。だから、一般向けに、あるいは教科書的に通説に従い微温的な見解でまとめた歴史本が多い中で、個性の強い本である。(トンデモ本ではない) ただし自説であるところは明記して、しかも簡潔に根拠も示しているから、他の論述と容易に区別できる。 他の研究者の営みを乗り越えて先に進むところをを垣間見ることができる楽しさがあって、あちこち付箋だらけになった。とはいえ近頃の、波風を立てることを嫌がる若い人たちからすると刺激的すぎるかもしれない。
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「興亡の世界史」シリーズの『シルクロードと唐帝国』において、決して多くはない騎馬遊牧民側の史料も縦横に読み解き、中華史観を一掃する歴史の捉え方を提示した著者による、新たな一般向け概説書である。 現在の学会の水準では通説化しているのかもしれないが、非常に刺激的な見方や見解が随...
「興亡の世界史」シリーズの『シルクロードと唐帝国』において、決して多くはない騎馬遊牧民側の史料も縦横に読み解き、中華史観を一掃する歴史の捉え方を提示した著者による、新たな一般向け概説書である。 現在の学会の水準では通説化しているのかもしれないが、非常に刺激的な見方や見解が随所に展開され、また新たな資料群が紹介されるなど、ページを繰るのが楽しかった。 著者はウォーラステインの「近代世界システム論」に倣って、「前近代ユーラシア世界システム論」を提唱する。それは、ユーラシア北半分の遊牧国家が騎馬軍団の軍事力に依拠して南の農耕国家から資源・財物を恒常的に吸収し、その再分配システムを構築し、国家を維持・発展させた現象を指す。 具体的には、シルクロード貿易の実態、ソグド系ウィグル人の活躍とネットワークの広がり、マニ教の伝播状況などがダイナミックに語られる。 そして、最終章では、日本に伝来していたマニ教絵画が紹介される。これはすごい!見る人が見なければ、資料はその価値が分からないということを改めて知らされた。 東西交流史やモンゴル帝国研究の進展により、単純な西洋中心史観、中華史観は薄らいできているが、何といっても史料の少なさにより、遊牧民の歴史の実相を知ることは難しく、もどかしい。本書は、そうした渇きを癒してくれる一冊である。
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