銀杏手ならい の商品レビュー
前から気になっていた作家さん、初読み。 手習い堂に通ってくる10歳前後の子どもたちと、出戻り24歳の萌先生。悪ガキに手をやいて後ろ向きだった萌が、"教えること"を芯にしてたくましく、前向きになっていく。話の筋としては萌が中心なんだろうけど、私は子どもたちの様子...
前から気になっていた作家さん、初読み。 手習い堂に通ってくる10歳前後の子どもたちと、出戻り24歳の萌先生。悪ガキに手をやいて後ろ向きだった萌が、"教えること"を芯にしてたくましく、前向きになっていく。話の筋としては萌が中心なんだろうけど、私は子どもたちの様子にとても惹かれた。 ままならない自分の能力や境遇を嘆いたり、諦めかけていても、大人の手助けで(冬の海をわたるのに板切れを持たせてやる、と表現されている)これからの長い人生に希望を見出せる、柔軟な心がまぶしい。時代ものならではの展開なのかもしれないけれど、それでも、がんばれよ、としみじみしながら気持ちよく読んだ。 大人が出てこない『目白坂の難』が良かった。短いけれど少年少女の冒険譚になっていて、やんちゃ坊主の活躍が頼もしい。 解説(吉田伸子さん)の一文にもうなずき。 「義理とか人情とか人としての筋とか、そういうものを読みたいのだ。」 そういうときにぴったりの一冊、たしかに。 『五十の手習い』に、「あきない世傳」にも出てくる伊勢型紙が登場して、お、と思った。
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夢中で読ませてくれる作家さんのひとり。銀杏の葉の黄色に彩られた物語で、出戻りの萌先生の屈折や前を向く姿などに共感する。最後、駆け足気味だったけれど、それも緊張感があってよかった。ただ、「すべからく」の一文がちょっと気になった。 須らくは「すべて」ではなく、「(当然)なすべきこと」。
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手習所の新米師匠、萌の物語。 筆子たちとともに成長していく姿に元気づけられます。子どもたちを町の皆で見守る江戸の社会が今でも当たり前であって欲しい。年齢や家業、子供たちの得手不得手それぞれに合わせた教育が、現代でも普通であって欲しい。 さらにそこでもうまく導かれずにいた子どもたち...
手習所の新米師匠、萌の物語。 筆子たちとともに成長していく姿に元気づけられます。子どもたちを町の皆で見守る江戸の社会が今でも当たり前であって欲しい。年齢や家業、子供たちの得手不得手それぞれに合わせた教育が、現代でも普通であって欲しい。 さらにそこでもうまく導かれずにいた子どもたちを受け入れる「椎塾」の存在に救われます。 銀杏の木が全編にわたって静かに金色の光を注いでいるような美しいお話でした。実をつけてもつけなくても価値があるのですよね。
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手習所『銀杏堂』に通う子供たちと女先生と周りの人たちのお話し。 子供たちに教えることの意味を考えてしまう。生き抜くための力というか、基礎という土台を少しでも良いものに少しでも荒波に耐えうるものにするように手を貸す。 そんな風に思う
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