ニキ の商品レビュー
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前評判がいいだけに、想像以上の展開を期待してしまった。ただ、すごく共感できることが多かった。 一般的な感覚とは違う感性をもっているからこそ、生きづらさを感じる。もちろん感性だけじゃなくて、価値観や考えとかいろんなものがあるけど、世間とずれていると居心地が悪い。特に日本はそれが顕著な気がする。 親に病院に行かされ、障害ではないと診断された、いわゆるグレーゾーンな子ども。母親の心情吐露のシーンが苦しくもあり、親としての責任も感じた。 誰かに合わせるか。個として生きるか。それだけではなく、もっと柔軟な生き方もできる。二木先生自身が、それに思い悩み、苦しんだからこそ、田井中の心情が分かるんだろうな。 田井中は「普通」を学ぶ機会として、人との関わりを増やしていったことが、社会に順応しようと努力していて尊敬できた。 暗い展開かと思いきや、小説に青春を懸けた話に傾いてびっくりだった。 主人公が小説の才能があって、賞を狙えるくらいの才能の持ち主という裏設定はちょっとズルいなとは思ったけど、自分の生き方の指針を見つけて、進むべき方向を見つけられて良かった。 自分は才能もないし、器用に立ち回ることもできない。でも、無理せず、出来ることをすればいいんだなって感じた。
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多数派になろうとする気持ちはよく分かる。 自分が特別だと思い込む気持ちもよく分かる。 他を寛容的に受け入れることよりも自分自身を好きになることを、まずは大切にしていきたい。
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人とは違うという想い、多かれ少なかれ多分に誰にでもあるのではないかと思う。その想いの重さとか、自分でそれに気付いているのかとか。それを自分で抱え込む人、完全スルーの人、人と共有できる人、色々なんだろうけど、ただそのはけ口がどこに向くのか向かうのか。家庭環境というのも少なからず影響...
人とは違うという想い、多かれ少なかれ多分に誰にでもあるのではないかと思う。その想いの重さとか、自分でそれに気付いているのかとか。それを自分で抱え込む人、完全スルーの人、人と共有できる人、色々なんだろうけど、ただそのはけ口がどこに向くのか向かうのか。家庭環境というのも少なからず影響していると思うし、難しい話なんだと思う。少しずれると犯罪と言う方向に走らないとも限らないし。本の趣旨とは違うかもだけど、マイノリティで悩んでいる人へ向けてのメッセージ性のある物語なのかなぁと思ったり。
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『二木先生』と改題し、文庫化された今作。細心の注意を行き届かせながら、かなりディープなところまで二人の主要登場人物の設定が施されている。だからこそ、時に反感を抱き、時に共感しながら、二人の言動に最後まで揺さぶられてしまうのでしょう。二人とも、どうか健やかに。
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誰にも言えない秘密を持つ美術教師(二木先生)とクラスで浮いている男子生徒(田井中)のやりとりがみどころ。 自分自身を好きになることで自分で自分を裏切らないように律する二木先生の強さに私はひかれた。 自分を好きになれず、自分を見て欲しい、認めて欲しいという思いが捻じ曲がって二木先生を脅すことになる田井中は哀れ。 少数派の生きづらさが丁寧に描かれた作品。 多様性について今一度考えさせられた。 なかなか衝撃的。
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ちょっと変わったテーマというか、関係性だけど、そこがまた新鮮でした。勢いよく読めて面白かったです。主人公にも共感できるし、二木先生が謎めいてるけど筋が通ってる感じがして、2人のやりとりも良かったし、個性的でセンスある作品だなと思いました。
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これはどうなっていくんだろうとページをめくる手が止まらず。 最後の教室のシーンは、没頭しすぎて、なんなら目が血走っていたかもしれない。 人それぞれ違うはずなのに、多数が正義になることの危うさを感じる。 でも、二木先生の抱えているものが大きすぎて、それを知ったらやっぱり私は受け入れられるのだろうかと考えさせられてしまった。 広一の小説はどうなったんだろう。 吉田との関係はどうなったのかな。 気になることはあるけれど、なんとなく上手く収まったような。 今も余韻をひきずっている。
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表現は、少し汚いかもしれないですが 「ブッ飛んでいる」 読みはじめてすぐにこんな言葉がパッと浮かんだ。出てくる主人公、今まで出会ったことがなく新鮮でした。好き嫌いはあると思いますが、私は好きだったので☆4にしました
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んな高校生いねーだろ、と思いながら読んだけど、読書体験としては良かった。 意外とこういうのが忘れられない一冊になる。 周りの人と違うこととどうやって凌いでいくのか? 平々凡々な自分には想像もつかない。 外見や所謂個性を強く意識すると、自分とは何かを考えてしまって益々隘路にはまり込むのか。 特に性癖や性向へのレッテルに怯える日々はストレスになるのだろうな。 作品紹介・あらすじ 高校生・田井中広一は黙っていても、口を開いても、つねに人から馬鹿にされ、世界から浮き上がってしまう。そんな広一が「この人なら」と唯一、人間的な関心を寄せたのが美術教師の二木良平だった。穏やかな人気教師で通っていたが、それは表の顔。彼が自分以上に危険な人間であると確信する広一は、二木に近づき、脅し、とんでもない取引をもちかける――。嘘と誠実が崖っぷちで交錯し、追い詰めあうふたり。生徒と教師の悪戦苦闘をスリリングに描き、読後に爽やかな感動を呼ぶ青春小説。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。
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