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アウグストゥス の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/10/27

ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスの話。 書簡による第三者の目線で、アウグストゥスの行動や人となりが語られ、最後にようやく本人の語りがある。 最後の語りでは、途中のちょっとしたエピソードがそんな時系列でそんな意味があったのかと言う驚きもあった。 以前に読んだローマ人の物語によると...

ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスの話。 書簡による第三者の目線で、アウグストゥスの行動や人となりが語られ、最後にようやく本人の語りがある。 最後の語りでは、途中のちょっとしたエピソードがそんな時系列でそんな意味があったのかと言う驚きもあった。 以前に読んだローマ人の物語によると、実際の本人も自分の業績を声高には語らなかったらしく淡々とした業績録だけが残っているとのこと。 この小説での人物造形はさもありなんという人物になっていて、想像していたアウグストゥスや周りの人物イメージに肉付けがされた感じがした。 出来事とか登場人物についての説明は薄いので、ローマ人の物語を読んでから、この本を読んだほうが面白く読めると思います。

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2023/07/21

世界史の知識が乏しい自分でも楽しめた。ストーリーについていけた。 ストーナーが気に入り、他作を読んだが、全くテーマは違うものの面白かった。 人は誰しも、遅かれ早かれいつかは自分はひとりであり、孤立していて、自分という哀れな存在以上のものにはなれない

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2021/08/03

【情熱とは、必然的に度を越すものだ。愛においても戦争においても】(文中より引用) ローマ皇帝・アウグストゥスの生涯、そして彼が生きた頃のローマ帝国を、書簡や日誌から浮かび上がらせる形を取った「歴史書簡小説」。類い稀なストーリー・テリングで、読者に物語としてのローマ帝国を感じさせ...

【情熱とは、必然的に度を越すものだ。愛においても戦争においても】(文中より引用) ローマ皇帝・アウグストゥスの生涯、そして彼が生きた頃のローマ帝国を、書簡や日誌から浮かび上がらせる形を取った「歴史書簡小説」。類い稀なストーリー・テリングで、読者に物語としてのローマ帝国を感じさせてくれる一冊です。著者は、『ストーナー』が死後に注目を集めたジョン・ウィリアムズ。訳者は、ジョン・ウィリアムズのその他の作品の翻訳も手がけた布施由紀子。 堂々たる風格漂う名著。書簡の内容をいわば「小出し」しながら話を進めていくため、読み手の頭の中に次第にミステリーやサスペンスの要素が付け足されていく仕組みになっており、「どうやったらこんな手法を思いつくのだろう」と驚嘆せずにはいられませんでした。そして手法だけでなく、静逸さを備えた文体と翻訳もまた魅力的です。 こういう本をじっくり読むのってイイなと☆5つ

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2021/02/07

世界史の知識がほとんどないので、最初の登場人物評に付箋を貼ってたびたび参照し、あとはときどき世界史地図を見ながら地名を確認したりして読み進めたが、途中からぐんぐんひきこまれて、一気に読みおえた。 すべて書簡や手記や報告書などを組みあわせて、史実や人物像を浮かびあがらせる手法なの...

世界史の知識がほとんどないので、最初の登場人物評に付箋を貼ってたびたび参照し、あとはときどき世界史地図を見ながら地名を確認したりして読み進めたが、途中からぐんぐんひきこまれて、一気に読みおえた。 すべて書簡や手記や報告書などを組みあわせて、史実や人物像を浮かびあがらせる手法なのだけれど、わかりにくさがないところが、作者も訳者もすばらしい。 第一部は史実をたどる形。カエサル暗殺の報を受けたときの友人達の回想は、大河ドラマを彷彿とさせるよう。そこからアントニウスとの対立と和解、最終的な決戦へと向かっていく。(ここらへんは、電子辞書で百科事典をちょいちょいカンニングしながら読んだりした。) 辻邦生の『背教者ユリアヌス』あたりとも読んだ感触が似ているかな。読んだのだいぶ前だから記憶がおぼろだけど。 第2部はオクタウィウス(アウグストゥス)の娘ユリアの回想。心の自由にめざめ、愛人と奔放な生活を送るようになるのだが、それがために陰謀に巻きこまれて、父の手で流刑になる。為政者の娘という自分ではいかんともしがたい境遇に生まれたことの悲劇でもあるし、すぐれた知性と感性をそなえた女性の誇り高さも伝わってきて、単に史実を追うだけの物語ではないんだと新鮮だった。 そして第3部は、オクタウィウス本人が死の間際に、ただひとり生きのこっている(と思われた)友人にあててしたためた回想。自分を殺し、ローマのことだけを思って、淡々と、冷徹に政務をこなして、はたして何が残ったのか。それがほんとうにローマのためだったのか。この都市はまた腐敗へ向かおうとしているではないかという諦観にさいなまれながらも、「強くて永続的な愛」を感じる瞬間があったから、満足して死に向かうことができる……このあたりに『ストーナー』との共通点を感じた。寡作の作者で、生前は作品が評価されず、不遇であったかもしれないが、きっとオクタウィウスに語らせたような愛を感じながら生涯を生きたのだろうな。 「あの詩人達が最も幸福でいられたのも、そのような愛があったからでしょう。それは、古典学者が原典にいだく愛であり、哲学者が概念にいだく愛であり、詩人が言葉にいだく愛です」(p.385)

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2020/11/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

史実や残された文書などから、この内面、この寂寥、この人生をよく作り上げるなあ。素晴らしい。前半は、アウグストゥスの回りの人々の覚え書きや書簡で綴られ、外堀から埋められていく感じ。第三部でようやく本人が語る。 時代や運命ってなんだろう。時代や運命としか言いようのないものに翻弄される人間。でも確かにそこで生き抜いていく人間。 『ストーナー』も『ブッチャーズ・クロッシング』も大好きなのだけれど、3作に共通するのは、運命としか言いようのないものも受け止めてただ淡々と真摯に生きること、なのではないか。

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2020/11/08

養父カエサル(シーザ-)の後を継いで、ロ-マ帝国初代皇帝「アウグストゥス(尊厳者)」の称号を贈られた「オクタウィアヌス」の波乱の生涯を、彼を取巻く周辺の人々の書簡や回顧録で綴られた歴史長編小説です。地中海世界を統一し皇帝となるまでの興奮の第一部、帝国の繁栄と辺境の防備・後継者問題...

養父カエサル(シーザ-)の後を継いで、ロ-マ帝国初代皇帝「アウグストゥス(尊厳者)」の称号を贈られた「オクタウィアヌス」の波乱の生涯を、彼を取巻く周辺の人々の書簡や回顧録で綴られた歴史長編小説です。地中海世界を統一し皇帝となるまでの興奮の第一部、帝国の繁栄と辺境の防備・後継者問題に絡む陰謀・妻リウィアと娘ユリアとの確執に苦悩する第二部、76歳の生涯の忌憚のない回想を、友人ニコラウスに送った書簡(第三部)まで、壮大な創造力で語られる生身の男の人物像が、二千年の時を超えて浮かび上がってきます。

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