疾風に折れぬ花あり(上) の商品レビュー

中村彰彦(著者)

2020/10/03

戦国期から江戸時代の初めの頃に生きた女性を主人公にした時代モノの小説である。
“花”と呼ぶべき、美しく身分の高い女性が、厳しい時代の中を生き抜き、文字どおりに「疾風に折れぬ花」という感で静かに強く生きる様を描く物語だ。
本作のヒロイン「松姫」は、会津松平家を起こした保科正之が産まれた経過にも関わった人物で、彼が育った高遠にも縁が在る人物だ。故に会津松平家関係の作品で知られる作者は、保科正之に纏わる人物達の一人として、このなかなかに魅力的なヒロインを見出したということになる。“あとがき”にもそういう趣旨が在る。
非常に面白かった!

2020/09/08

信玄の五女として生まれた松姫は、織田軍の侵攻による武田家滅亡の直前、かろうじて甲州を脱出した。非運に堪え凜然として生きた美貌の姫君の生涯を描く。