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ロマノフ王朝時代の日露交流 の商品レビュー

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2021/01/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

普通の歴史本などからすると★3つくらいかもしれないが、タイトルのとおりロマノフ王朝時代の日露交流のテーマのみでまるごと一冊である点が貴重なので、★4つにしておきます。 ロシア史の研究者も日本史の研究者も、外交といえば西欧を向いており、日露関係は通史ではほんの少ししか登場しないため、たいへん貴重だと思うのです。 本書は18世紀の漂流民から19世紀に始まる幕府との外構、20世紀に至るまでの日露交流について史料をもとに複数の研究者が個別に事実と考察を述べた論文集のような印象でした。 本書はアジアの貴重書を収蔵する東洋文庫編であり、専門的な文献研究あり、一連の歴史的イベントについての考察あり、ロシアでの研究や旅の雑感のようなコラムもあったりと、専門機関の紀要のような構成になっていて、各記事の密度もバラつきがあります。 どこが面白いかは読者の興味次第となるでしょう。 個人的に面白かったこと ・司馬遼太郎や吉村昭の小説でおなじみの人物・逸話の元ネタがはっきりした ・露米会社からするとオホーツク(北海道沿岸域)はアリューシャン・千島・サハリン・アムールの結節点にあり、往来頻繁であった。(しかし警戒すべきは日本でなくイギリスだった) ・プチャーチン来航図などカラー図版がついており、細かい解説が見られた ・日露戦争後、日本はロシアとの関係から西欧列強と並ぶことができた ・古儀式派について。ソビエトは古儀式派がいたために結成可能だった。現在も古儀式派の力は大きく、さらに研究が必要 露米会社と古儀式派はノーマークだったので、新しく読書テーマができて、嬉しい。この本を読んだ成果でした。

Posted byブクログ