ぞぞのむこ の商品レビュー
禍々しくも不可思議な、奇妙な町・漠市。 部下の矢崎と漠市に入り込んでしまった翌日から、島本には次々と幸運が舞い込んできた。そんなある日、会社から帰宅すると自宅の前に元カノが座り込んでいて……。(表題作) 漠市に関わってしまった人々に起こる不条理ホラー短編集。 周辺住人から忌避...
禍々しくも不可思議な、奇妙な町・漠市。 部下の矢崎と漠市に入り込んでしまった翌日から、島本には次々と幸運が舞い込んできた。そんなある日、会社から帰宅すると自宅の前に元カノが座り込んでいて……。(表題作) 漠市に関わってしまった人々に起こる不条理ホラー短編集。 周辺住人から忌避される奇妙な町・漠市。漠市の怪異にまつわるホラー短編集です。不条理ホラーと銘打っているだけあって、大半の人がさしたる理由も過失もなく怪異の世界にのみこまれていくのが恐ろしい。 ふとしたきっかけで漠市と関わってしまう→忠告を受けるがきかない、改善できない→破滅、というような、ある程度のパターンはありますが、グロテスクな話や生理的嫌悪感を誘うような気持ちの悪い話など、バラエティも豊富です。 表題作「ぞぞのむこ」もそうですが、その他の収録作品も「じょっぷに」「だあめんかべる」など、タイトルを見ただけでは意味の通らない言葉の羅列のようになっているのがまた不安を煽ります。意味が分かったら分かったでまた不気味で気持ちが悪いのですが。 ホラー小説で忌避される町や村というと、人里離れた場所にあったりするのが定石ですが、この漠市は電車やバス、徒歩でもすぐに立ち入れる場所にあり、不気味さを知りつつも対策を立て普通に住んでいる住民もいるというのが目新しくて面白いです。 起こるのは得体のしれないおぞましい怪異なのですが、どこか日常と極めて近い所にある恐怖という感じで、そこもまたぞわぞわします。
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ぞぞのむこ / #井上宮 6編からなる「漠市」を巡る奇妙な短編集。 大変面白かった。 まずそれぞれのタイトルのセンスが良い。 「じょっぷに」「ざむざのいえ」等、不安を煽るのにとても好奇心を掻き立てられる。 これはぜひ本編を読んで意味を確かめて欲しい。 ホラー好きに堂々お勧めできる...
ぞぞのむこ / #井上宮 6編からなる「漠市」を巡る奇妙な短編集。 大変面白かった。 まずそれぞれのタイトルのセンスが良い。 「じょっぷに」「ざむざのいえ」等、不安を煽るのにとても好奇心を掻き立てられる。 これはぜひ本編を読んで意味を確かめて欲しい。 ホラー好きに堂々お勧めできる一冊!
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さて、今年もホラーが読みたくなる季節到来。本作はブックオフ・ホラー特集から。幸先良いことに、なかなかの当たり作だった。まず漠市というネーミングと、その土地の不気味さ加減が良い。起こる超常現象も、各短編によってバラバラで、ともすれば散漫な印象になり兼ねず、ホラーってかコメディ?みた...
さて、今年もホラーが読みたくなる季節到来。本作はブックオフ・ホラー特集から。幸先良いことに、なかなかの当たり作だった。まず漠市というネーミングと、その土地の不気味さ加減が良い。起こる超常現象も、各短編によってバラバラで、ともすれば散漫な印象になり兼ねず、ホラーってかコメディ?みたいな結果を招きかねないと思うんだけど、本作においては、どの怪異もパンチが効いてて良い。普通に面白い作品でした。
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不条理なんてものじゃない、まさに’奇’としか言い表せない怪奇小説。 素手で神経を引っ張られるかのような読み心地。 本作に登場する「漠市」という街は幻だとか人里離れた山奥だとかではなく普通に電車で行けて一応普通に人々も暮らしている街。 だからなのか、全くもって理解し難く得体の知...
不条理なんてものじゃない、まさに’奇’としか言い表せない怪奇小説。 素手で神経を引っ張られるかのような読み心地。 本作に登場する「漠市」という街は幻だとか人里離れた山奥だとかではなく普通に電車で行けて一応普通に人々も暮らしている街。 だからなのか、全くもって理解し難く得体の知れない怪異が巻き起こるにも関わらずどことなく既視感や身近さすら感じる街。 正直、この本を読み始めてからずっと頭が痛い。 家に持ち帰ってはいけなかったのかも。 どうでもいいがサブタイトルが『ギャグマンガ日和』のブルルさんみたいでちょっと笑ってしまう。 〈ぞぞのむこ〉 すべてのはじまり。呆気に取られているうちにあれよと島本さんはドツボにハマっていく。妙に官能的。 〈じょっぷに〉 暴力性と加虐性に溢れた一作。個人的にはあまり好きではなく、「じょぷじょぷ」という擬音にもそこまで惹かれず。なんだけど、p81の文具店に入った瞬間の空気の切り替わりだとかp104「ハサミ」の怖さはえげつない。 〈だあめんかべる〉 タイトル的には一番わかりやすくリアル。老人ホーム職員の描写がじつに真に迫っている。本作中で最も力を吸い取られた結末。呆然。 〈くれのに〉 確かに解説の「民話的」(p349)という表現がピッタシ。因果応報、的な。 〈ざむざのいえ〉 いやー気持ち悪い。けど『かまいたちの夜2』で似たような話を読んだ事あるな…。 〈ナメルギー反応〉 短編に不可思議とグロテスクがギュッと濃縮された話。悲惨なんだけど唐突さにちょっと面食らうかも。 色々思う事はありつつも夢中になってしまった。 もの凄く印象に残る一冊。 1刷 2021.12.24
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確かに不条理とも言えるけど、強烈なグロテスクさもすごい。 正体不明の何者かに対峙するってこういう事なんだろうなぁと。 …にしても、よくこんな気味の悪いことを思いつくなぁと思う。 とにかく最初から最後まで生理的嫌悪感でいっぱいだった。 「だあめんかべる」あたりで、最後まで読めるか不安になったが、なんとか読了。 一気読みは難しい。
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コワいの読みたくなって、検索して探したやつ。 デビュー作。 めちゃめちゃコワいわけじゃないけど、なかなか読ませる。 面白かった! 漠市に近づいちゃいけないねー! いろいろヤバい、漠市をめぐる連続短編集。 井上宮って、男性かと思ったら、主婦だって。スゴイね!!
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単行本として2018年に刊行されたホラー短編集。2016年の表題作で「小説宝石新人賞」を受賞したデビュー作品集らしい。 この文庫を近所の書店で見て、「五感に刺さりまくる不条理ホラー!」と書かれた帯に惹かれて何となく買った。ホラーが不条理だというのは、良いことである。しかし買っ...
単行本として2018年に刊行されたホラー短編集。2016年の表題作で「小説宝石新人賞」を受賞したデビュー作品集らしい。 この文庫を近所の書店で見て、「五感に刺さりまくる不条理ホラー!」と書かれた帯に惹かれて何となく買った。ホラーが不条理だというのは、良いことである。しかし買ったものの、「新人」の作品らしいし、どうせたいしたことないだろうなあ、と思い直して読むのを後回しにしていたのだが、読んでみたら、意外と「掘り出し物」だった。 文体は良くはないが、まあ、不可ではない。まれに、異なるテクスチュアを混合したようなテクニカルな書き方をしている箇所があったが、これはわかりにくくて良くなかった。 内容は、けっこうグロテスクである。デヴィッド・リンチやクローネンバーグ、あるいはスプラッタ・ホラーを思わせるようなグロい場面描写を作者は好んでいるようだ。キングの小説やさんざんホラー映画を見て慣れきった私にはさほどショッキングではないが、何故かそういうものに惹かれてしまう人間性の闇の部分を惹き付けるものがある。 グロテスクな場面描写は、しかし、作者の力量不足をわずかながら感じてしまった。映像的な描写といえば大家スティーヴン・キングの圧倒的筆致に及ぶべくもないし、日本の作家でも貴志祐介さんの着実な筆致に比べると見劣りする。それでも、グロテスクさはじゅうぶんに伝わってくるから、ハナシそのものは「世にも奇妙な物語」程度のものであっても、ずーんと突き抜けるパワーがある。 特に2つめの「じょっぷに」はひどいスプラッタぶりで、私には刺激的だった。何故人間はこういうものに惹かれるのだろうなあ。それは生理的な反応のアイロニカルな現象なのだろうけれども。 そんな感じで、個人的趣味として私にとっては思いがけず良い作品集だった。 著者は「新人」だから若者かなと思ったが、1961年生まれだから私より8歳も上の女性だ。受賞時のプロフィールには「主婦」と書かれてあって、30年間、発表の当てもなく書きためた原稿がクローゼットにため込まれていたらしい。
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痛い痛い、気味悪い、でもクセになるホラー短編集。 忌み恐れられている漠市に関わってしまったばかりに、とんでもなく不条理な事態に陥ってしまった普通の人々の絶叫体験。 ぞぞ、アタサワ、トーロプ…漠市が秘める不可思議なワードや漠市という怪しげな世界の構築についもっと知りたいという欲がムクムク。危ない危ないw どの話も強烈にパンチを食らったようなインパクトだが、「だあめんかべる」と「ざむざのいえ」はその形容し難いこれ以上ない程のおぞましさに絶句、そして喝采。 漠市のナビゲーターとも言える矢崎くんの消息が知りたい。 5歳の息子が工作でハサミを使ってる時に思わず「じょっぷにじょっぷに」と呟いたら、息子もハサミを動かしながら笑顔で呟きだした…「じょっぷにじょっぷに…」。伝染ってしまったw
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トラウマ級の不条理ホラー。脳が嫌だなって感じる部分をぎゅいぎゅい押してくる感じがすごい。ストーリーは無茶苦茶なんだけど、とにかく嫌さがすごい。伊藤潤二の漫画を下品(というと語弊があるが)にした感じというか。 一切の非がない子供が犠牲になる「ざむざのいえ」が一番キツイ。 一気に読む...
トラウマ級の不条理ホラー。脳が嫌だなって感じる部分をぎゅいぎゅい押してくる感じがすごい。ストーリーは無茶苦茶なんだけど、とにかく嫌さがすごい。伊藤潤二の漫画を下品(というと語弊があるが)にした感じというか。 一切の非がない子供が犠牲になる「ざむざのいえ」が一番キツイ。 一気に読むと吐き気がします。一話ずつどうぞ。
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