KAMINARI の商品レビュー

最東対地(著者)

2022/02/22

関西弁の暴力的なおっさん「カミナリ」が延々追いかけてくるホラーサスペンス。と紹介してしまうと身もふたもないのですが。いやいや、本当に内容はほぼそれだけです。
だけど、「それだけ」なのに怖いしはらはらどきどきさせられて一気読みの一冊なのです。終始テンションマックス状態で、フィクションとして読む分にはスリリングで楽しい物語ですが、絶対に自分では味わいたくない！　だってねえ……何なんですかこの「カミナリ」。とてつもなく怪物じみてはいるのだけれど、さほど超常的なものを感じないのが却って気味が悪い。もしかしてこれ、暴力的で常軌を逸してはいるけれどただの人間なんじゃないの？　と思えてしまうところが一番怖いのではないでしょうか。
ラストまでとことん気持ち悪い……こういう怖さの方がぐさぐさと来ます。ここまで極端なことはないにしても、こういう人間っているものねえ。