室町幕府分裂と畿内近国の胎動 の商品レビュー
三好氏に関する本を沢山書かれている著者だけあって、ここでも三好氏の再評価がされている。 足利義輝が政権を放り投げていた期間、三好長慶が巧みに政権運営していた姿が光る。また、宿老達の多くがかつての戦で亡くなり、兄弟など各地に配置した身内にも部下を付けねばならぬ。一見すると悪い状況に...
三好氏に関する本を沢山書かれている著者だけあって、ここでも三好氏の再評価がされている。 足利義輝が政権を放り投げていた期間、三好長慶が巧みに政権運営していた姿が光る。また、宿老達の多くがかつての戦で亡くなり、兄弟など各地に配置した身内にも部下を付けねばならぬ。一見すると悪い状況にも思われるが、新たに取り立てた被官を重用する事で、これが主導的地位を築く事に繋がっていった。 宗教面や文化面に触れる章もあり、ここで気になったのが、松永久秀。彼の名前があちこちで出てくる。それらの教養があるからこそ、織田信長の傘下にも入ったんだろうね(最後は派手に裏切るが) それにしても、全く再評価される気配がない足利義輝は逆の意味で光っている。
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細川政元暗殺から足利義昭上洛までの時期における畿内近国を対象に、その政治過程と追いつつ、文化や宗教を含む在地の社会変動も描く内容。幕府権力の分裂がもたらした影響が波及する様が分かりやすい。
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シリーズ第3回配本。 本書の取り上げる時期範囲は、細川政元暗殺の永正の錯乱以降、信長が義昭を擁して上洛するまでのほぼ半世紀であり、畿内を巡る政治情勢を主に、経済、文化、宗教等にも目を配りつつ叙述していく。 一読し、将軍家及び管領家細川氏の分裂が、この時代の大枠に影響し...
シリーズ第3回配本。 本書の取り上げる時期範囲は、細川政元暗殺の永正の錯乱以降、信長が義昭を擁して上洛するまでのほぼ半世紀であり、畿内を巡る政治情勢を主に、経済、文化、宗教等にも目を配りつつ叙述していく。 一読し、将軍家及び管領家細川氏の分裂が、この時代の大枠に影響したということは分かるのだが、一族間の対立抗争が組合わせを代えつつ続いていくため、人名等の固有名詞がゴッチャになってしまう。敵の敵は味方だったのが、その敵がいなくなったため争いが始まるというように、どうしてそうした敵対関係になってしまうのか、この時代が分裂の時代とは言え、その点がもう一つ良く分からなかった。 とは言え、三好長慶の統治形態と信長のそれとの比較とか、都市の発展、戦国仏教の状況等、今までほとんど知識のなかった畿内における歴史の展開について、まとまった理解を得られて、大変勉強になった。
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