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山田稔自選集(Ⅲ) の商品レビュー

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2024/07/08

 自選集の三巻目、そして最終巻。 主なものは、  ・初めてのパリ生活(1966年)、オートゥィユの閑静なアパルトマンで共に暮らした老人との生活の思い出  ・自らが翻訳した作家ルイ・フィリップの生地セリイの記念館でのシモーヌさんとの出会い(1994年)と再会(1999年)、そして別...

 自選集の三巻目、そして最終巻。 主なものは、  ・初めてのパリ生活(1966年)、オートゥィユの閑静なアパルトマンで共に暮らした老人との生活の思い出  ・自らが翻訳した作家ルイ・フィリップの生地セリイの記念館でのシモーヌさんとの出会い(1994年)と再会(1999年)、そして別れ  ・自らが翻訳したロジェ・グルニエが青春時代を過ごした町ポー、たまたまそこはかつて研修で過ごした町で、再訪を思い立ったのだが…  ・スコットランドの最北端ジョン・オグローツまでの旅で様々なアクシデントに見舞われるのだったが、そこで人の情けを知るのだった。  出会いがあれば、別れもある、いつか再会をと思いつつも、遠くにいるその人はいつかいなくなってしまう。心のふれ合いとやるせなさが、淡々とした文章から浮かび上がる。  巻末の自筆年譜は、作者の文筆や同人活動、好きな作家や映画のこと、作者の文章に出てくる人たちとの交流などが詳しく記されていて、とても貴重。

Posted byブクログ