1,800円以上の注文で送料無料

梵字碑にザリガニ の商品レビュー

0

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/12/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

評価はつけない。星数個である作品の評価をつけることは難しいと思うから。 『梵字碑にザリガニ』を読む。著者が巻末で言及する作家、大江健三郎の書く文学の壮大さと比べると、この作品は小さな生活を書いた物語ということになるのだろうか。 未読の方のため、本書の本筋に触れることはしないが、この物語は「何かをはらんでいる」と感じる。主人公や家族の人生の行く末がどうなっていくのか、それがはっきりと書かれていないし、読者の目線は、主人公の目線であり、推測することしかできない。 掘り出すと深い、だがある一定以上は掘らない、という家族の雰囲気を感じる。それは、家族というより、主人公と家族との距離感かもしれない。大江健三郎の小説『取り替え子』に出てくる田亀という名前のカセットテープで耳を塞ぎ現実逃避するような息子に、主人公もまた距離を感じている。そしてその距離は、解消されそうにない。  息子の成長に感動するというよりも、今後の成り行き次第ではどうなってしまうのか分からない彼らの人生が心配になる。不安である。書かれなかった彼らの断片を思うと不安になる。そんなことを思った。

Posted byブクログ