母島 風が伝えた物語 の商品レビュー

川波静香(著者)

2022/05/21

日本で一番遠い島。小笠原諸島・母島。太平洋戦争前と戦時中の島の暮らしと、強制疎開命令後に島を出てから約50年ぶりに戻るまでが描かれている。文は非常に読みやすい。人物たちの個性や関係性を深く描くというよりは、起こった出来事や事実が描かれている。直近で小笠原の父島・母島へ行ったので、描かれている場所の描写や人々の様子もなんとなくイメージができて、だからこそ、描かれているやりきれなさのようなものがすごく苦しかった。わざわざ苦しい思いをする必要はないっていう人もいるかもしれないけれど、私はこういうことがあったということを知って平和を噛み締めたいと思う。