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べストSF2020 の商品レビュー

3.6

17件のお客様レビュー

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2022/12/31

SF。短編集。2019年。 全体的にはそれなりに楽しめた、という感じ。 ハードなSFは少なく、不思議だったり、不条理だったり、コミカルだったり、広い意味でのSF作品たち。 個人的ベストはオキシタケヒコ「平林君と魚の裔」。 コメディ路線のスペースオペラながら、生物学的アイディアと、...

SF。短編集。2019年。 全体的にはそれなりに楽しめた、という感じ。 ハードなSFは少なく、不思議だったり、不条理だったり、コミカルだったり、広い意味でのSF作品たち。 個人的ベストはオキシタケヒコ「平林君と魚の裔」。 コメディ路線のスペースオペラながら、生物学的アイディアと、宇宙規模の生物淘汰システムが詰め込まれ、とても興味深い。かなり好き。 次いで、「年金生活」「トビンメの木陰」の短めの2作品が、上手くまとまっていて良い。

Posted byブクログ

2022/08/28

このベストSF2020は、2008~2019年の12年間に亘って東京創元社から刊行された「年刊日本SF傑作選」の後継となるもの。出版社は竹書房へと移るが、その路線は今後もあまり変わらず進んで行くことを期待している。 SFのテーマは、基本的に宇宙・時間・空間(次元)・科学、そして...

このベストSF2020は、2008~2019年の12年間に亘って東京創元社から刊行された「年刊日本SF傑作選」の後継となるもの。出版社は竹書房へと移るが、その路線は今後もあまり変わらず進んで行くことを期待している。 SFのテーマは、基本的に宇宙・時間・空間(次元)・科学、そして非日常。最近のSF作家のテーマに多いのがAI(人工知能)でカテゴリーは科学と非日常に属する。ロボットSFも昔からあるが、AIとは少々趣が異なる。ところが、今回の収載作品にはそれらの領域を超えているものが散見される。私がSFから一時離れている間にSFにどのような変遷があったのか知る由もないが、最近の作品を我慢強く読み重ね、私のSF空白時代に出版された作品を積極的に調達して読むように心がけている。 本書の感想を簡略に述べる。 〇 円城塔「歌束」 これがSFなのか・・・ 〇 岸本佐知子「年金生活」 不思議SF、つまり非日常SFということなのか・・・ 〇 オキシタケヒコ「平林君と魚の裔」 宇宙SF+ドタバタ。筒井康隆系か? 〇 草上仁「トビンメの木陰」 やっとSFらしいSFを読めてホッとした。これがSFだよと言いたい。 〇 高山羽根子「あざらしが丘」 最近流行りの擬人化が取り入られている。あまり感動は得られない。 〇 片瀬二郎「ミサイルマン」 単なるドタバタ。 〇 石川宗生「恥辱」 何が言いたいのか・・・ 〇 空木春宵「地獄を縫い取る」 素晴らしい作品。この本でのNo.1。この本を買った甲斐があった。実は、積読のGenesisにも含まれていた。本を読むスピードが買うスピードにかなり負けているのが原因。反省する次第。 〇 草野原々「断φ圧縮」 大学1年の物理化学の授業で習ったカルノー・サイクルが題材らしいが、単にこれにSF感を当てはめただけの作品といった浅い内容。 〇 陸秋槎「色のない緑」 中国SFには全く興味なし。もしかしたら自分の偏見かなと思いつつ読み始めたが、やはり早々に読むのを諦めた。 〇 飛浩隆「鎭子」 この作者は興味なし。文字は沢山使うが内容があまりない、いわば密度が少ない作品ばかり。これも読むのを諦めた。 以上、空木春宵「地獄を縫い取る」に出会えただけでも、この本を買って良かったと安堵する。矢継ぎ早にベストSF 2021に着手した。近日中にベストSF 2022が刊行される予定とのことで、早急に2021も読了したい。

Posted byブクログ

2022/04/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み甲斐があったのは3作くらいかなと。本当は伴名練の「ひかりより早く、ゆるやかに」が年間ベストだそうだが、ハヤカワから許可が降りず、入れられなかったとのこと。 「歌束」★★★☆☆ - 架空の日本の伝統文化「歌束」についての語り。緻密すぎる妄想を文章にするのが得意な円城塔らしい作品。 「年金生活」★★★☆☆ - ショートショート。街中が荒廃した近未来、自給自足で生き長らえる老夫婦に「ねんきん」と呼ばれる物質が送られてくる。それは様々なものに形を変え、食料になったり、物を修復したりする。最後は死んだ娘の形になりホノボノ終わる。 「平林君と魚の裔」★☆☆☆☆ - 宇宙もののおバカSF。長い割にくだらなすぎて読むのをやめた。 「トビンメの木陰」★★☆☆☆ - かつて宇宙帝国を築き上げた皇帝の話。でっていう。 「あざらしが丘」★☆☆☆☆ - NOVAにて既読。 「ミサイルマン」★★★☆☆ - セヤナ共和国の大統領の命令でミサイルマンにされたンナホナさんが発射されるというジョークSF。 「恥辱」★★★★☆ - 石川宗生著。ノアの方舟をモチーフにした短編。各種の動物をひとつがいずつしか方舟に乗せなかった人類。そこにフォーカスしたダークめな仕上がり。 「地獄を縫い取る」★★★★★ - 空木春宵(うつぎ しゅんしょう)著。読み始めた瞬間から「これはすごそうだ」と感じさせるエグみ。エンパスという感覚を伝送するテクノロジーがある未来。小児愛者をおびき出し、告発するためのAIを開発するジェーン。実は強烈な恐怖を脳に流し込み、殺すために作っていた。 「断Φ圧縮」★★☆☆☆ - 謎理論を展開していくおバカSFショートショート。 「色のない緑」★★★★☆ - パシテア、墓石(トゥームストーン)などAIが大きく進歩し、旧来の仕事が無意味になっていく。 - ジュディ:私。犯罪小説に脚色(?)する仕事。グラマースクール出身のアナログ人間。 - エマ:友人。計算言語学者(生成言語学)。 - モニカはAIの限界を証明する論文を書いたが、人間に査読される前にAIによって機械的に却下されていた。 - モニカ:自殺した友人。計算言語学(形式言語学)の第一人者。 「鎭子」★☆☆☆☆ - 面白くないのでスキップ。「海の指」と同じ世界(設定)の短編。

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2022/04/03

既読もあったけど、まぁまぁかなぁ  苦手な円城作品。申し訳ないけどパスして、他の作品へ。どれもあまり知らない作家さんだから期待。でも、その世界観というか論理性というか、仮設に乗り切れない物語が多くて、今回はあまりワクワクしなかったな。  中では草上仁作品のトビンメの木陰がお気...

既読もあったけど、まぁまぁかなぁ  苦手な円城作品。申し訳ないけどパスして、他の作品へ。どれもあまり知らない作家さんだから期待。でも、その世界観というか論理性というか、仮設に乗り切れない物語が多くて、今回はあまりワクワクしなかったな。  中では草上仁作品のトビンメの木陰がお気に入りかな。静かな物語が雨の寒い一日にはちょうどよい。

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2021/09/15

はじめてSF短編集を買って読んだが、これほどお得な買い物はない!(笑) 毛色の違う傑作が並び、まるで宝箱のようで、大人になってこんなにワクワクできるのが嬉しい。 随所の大森望さんのコメントで、SF愛が伝わる。 大森さんが熱望するも諸事情で入れられなかったという、伴名練さんの「なめ...

はじめてSF短編集を買って読んだが、これほどお得な買い物はない!(笑) 毛色の違う傑作が並び、まるで宝箱のようで、大人になってこんなにワクワクできるのが嬉しい。 随所の大森望さんのコメントで、SF愛が伝わる。 大森さんが熱望するも諸事情で入れられなかったという、伴名練さんの「なめらかな世界と、その敵」はそっこーぽちった。 これからの楽しみが広がる、素晴らしいきっかけになった気がする。感謝!

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2021/08/15

編者が選ぶ2019年のベストSF 11編。オキシタケヒコ「平林君と魚の裔」、高山羽根子「あざらしが丘」、石川宗生「恥辱」、陸秋槎「色のない緑」は既読。一番最初に円城塔はハードルが高い。草野原の熱力学SF「断Φ圧縮」は凄く振り切っているし、片瀬二郎の「ミサイルマン」もはちゃめちゃで...

編者が選ぶ2019年のベストSF 11編。オキシタケヒコ「平林君と魚の裔」、高山羽根子「あざらしが丘」、石川宗生「恥辱」、陸秋槎「色のない緑」は既読。一番最初に円城塔はハードルが高い。草野原の熱力学SF「断Φ圧縮」は凄く振り切っているし、片瀬二郎の「ミサイルマン」もはちゃめちゃで面白い。空木春宵「地獄を縫い取る」は小児性愛者を扱ったとんでもない衝撃的なSFだ。編集後記にある伴名練「なめらかな世界と、その敵」のネタ話がなんだかんだ言って一番面白かった。2019年の短編SFリストも付いていて、お得な一冊。

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2022/04/03

20201226-20210213_2021②_【ベストSF2020:大森 望 (編);竹書房文庫】_BOOK_SF_アンソロジー_文庫_¥1540 【感想】 近未来モノの中にはAIとの関わりを扱ったものが幾つか収録されてる。 コロナ禍の中でヒトは何と繋がろうとするのか? 出...

20201226-20210213_2021②_【ベストSF2020:大森 望 (編);竹書房文庫】_BOOK_SF_アンソロジー_文庫_¥1540 【感想】 近未来モノの中にはAIとの関わりを扱ったものが幾つか収録されてる。 コロナ禍の中でヒトは何と繋がろうとするのか? 出版社 ‏ : ‎ 竹書房 (2020/7/30) 発売日 ‏ : ‎ 2020/7/30 言語 ‏ : ‎ 日本語 文庫 ‏ : ‎ 439ページ ISBN-10 ‏ : ‎ 480192350X ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4801923508 【序文:大森 望】 SFが、面白い だから、その歴史を刻み続けよう―― 去年発表された傑作短編SFを読みたいひとへ 新たにスタートする竹書房文庫《ベスト日本SF》に関しては、“初心に戻って、一年間のベスト短編を十本前後選ぶ”という方針を立てた。 作品の長さや個人短編集収録の有無などの事情は斟酌せず、とにかく大森がベストだと思うものを候補に挙げ、 最終的に、各版元および著者から許諾が得られた十一編をこの『ベストSF2020』に収録している。 創元版と比べて、収録作品数とページ数は減少したものの、精鋭中の精鋭が集まったと勝手に自負している。 短歌にお湯を注いで歌を淹れる失われた典雅な趣味の話に始まり、ウルトラスーパーハードな熱力学バカSFや、 九種族の存亡をかけた交易に挑むスペース商人(あきんど)オペラなどなど、おそろしく個性的な花々の競演をごゆるりとお楽しみください。 ――大森望「序文」より 【収録内容】 円城塔「歌束」 岸本佐知子「年金生活」 オキシタケヒコ「平林君と魚の裔」 草上仁「トビンメの木陰」 高山羽根子「あざらしが丘」 片瀬二郎「ミサイルマン」 石川宗生「恥辱」 空木春宵「地獄を縫い取る」 草野原々「断φ圧縮」 陸秋槎「色のない緑」 飛浩隆「鎭子」 内容(「BOOK」データベースより) 去年発表された傑作短編SFを読みたいひとへ。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 大森/望 1961年、高知市生まれ。京都大学文学部卒。翻訳家、書評家、SFアンソロジスト。責任編集の『NOVA』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門受賞。共編の“年刊日本SF傑作選”全12巻で第40回日本SF大賞特別賞受賞。「ゲンロン大森望SF創作講座」主任講師

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2022/10/17

SFって興味はあるけど何から手をつけたらいいのか分からない....という状態の私には、格好のガイドブックでした。気になった作家と編集後記/推薦作リストからも読んでいこうと思います。読書の幅が広がりそう!編者に感謝です。 SFって短編やアンソロジーが多い分野なんでしょうか?? ...

SFって興味はあるけど何から手をつけたらいいのか分からない....という状態の私には、格好のガイドブックでした。気になった作家と編集後記/推薦作リストからも読んでいこうと思います。読書の幅が広がりそう!編者に感謝です。 SFって短編やアンソロジーが多い分野なんでしょうか?? ★個人的best3 1.「平林君と魚の裔」 スペースオペラって単語、知りませんでした。キャラ立ちが秀逸でぐいぐい読めました。 2.「トビンメの木陰」 宇宙、冒険、未知の生物、ワクワクと哀愁がぎゅっと詰め込まれている。何となく小さい頃に読んだ星新一に通じるものを感じて、そうか私のSFの原点はあれだったんだと感慨深かった。 3.「ミサイルマン」 おバカ(褒めてます)なんだけどキツめのブラックジョークがびりびり効いていて....絶望的なラストは爽快感さえ覚えました。

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2021/03/27

年度ごとのアンソロジーを編むのは難しい仕事なのだと認識できる。2019年に発表されたSF作品を収録する志は素晴らしいものだと思う。しかし、大人の事情で収録できない作品が多く、結果として“ベストSF”にはできなかったと感じた。そのような意味では、最も役に立ったのは巻末の2019年度...

年度ごとのアンソロジーを編むのは難しい仕事なのだと認識できる。2019年に発表されたSF作品を収録する志は素晴らしいものだと思う。しかし、大人の事情で収録できない作品が多く、結果として“ベストSF”にはできなかったと感じた。そのような意味では、最も役に立ったのは巻末の2019年度短編SF推薦作リストが最も価値あるものだった。

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2021/03/22

創元SF文庫「年間日本SF傑作選」が昨年で刊行ストップしたのを残念に思っていたところ、竹書房文庫で装いも新たに継続する運びとなりました。 素直に嬉しい。 ただ、嬉しいというものの2019年の傑作選は積読になっている状況。それを読まずに2020年を読むのは、どうかと思いますが、積読...

創元SF文庫「年間日本SF傑作選」が昨年で刊行ストップしたのを残念に思っていたところ、竹書房文庫で装いも新たに継続する運びとなりました。 素直に嬉しい。 ただ、嬉しいというものの2019年の傑作選は積読になっている状況。それを読まずに2020年を読むのは、どうかと思いますが、積読に気づかず手に取ってしまったのだから仕方ない。積読の整理ができていないせいです。 積読の整理っておかしな話だよなぁ。そうなる前に読んでしまわないと、という逆転が起きています。本の虫ならあるあるだと思います。 「年金生活」 悠々たる老後のために積み重ねているはずの年金。もらえないであろうあやふやなものを払い続けているという不確かな現象は、希望なくゆるゆると死につつある老夫婦に近いものがあるのかな、と思い読み進めました。そこに生まれた微かな喜び。 ただ、過去の暖かな記憶に寄りかかりながら暮らしてゆく未来は、やはりゆるゆると死んでゆくように思えて、少し残酷。最後の一文の行為。それを決意させたものが未来への希望に思えるだけに余計に。 「平林君と魚の裔」 あのUMAを平林君と読んでしまうことで、一気に親近感。オカルト好きなら、誰もが知る彼ら。子供心には3mという巨体と、どこかユーモラスなあの外見がミスマッチで恐怖を覚えたものですが、呼び方ひとつでここまで印象変わりますか。 これで、ロマニー牧場に出てきても怖くないもんね。 フラットウッズ。直訳して平林。言葉遊びの一環なんだけど、すごい力がありますね。言霊って、こういうこと言うんだな。 「地獄を縫い取る」 誰もが持つ嗜虐性を抉り出す展開。登場人物が陥った場所は、極端な例かもしれませんが、自分の心のどこかに眠っているものであると感じたので、恐ろしくもあり共感もあり。歪み溜め込み撓む前に、健全に発散しようと思います。下半身だけの感想。 心に残った3作品。

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