ラグビー日本代表 ONE TEAMの軌跡 の商品レビュー
史上初のベスト8入りを果たした、ラグビー日本代表チームはいかにして作られたか。ラグビーワールドカップ2019における日本代表の活躍とその舞台裏を紹介する。いまだから明かせる汗と涙のインサイドストーリー。 あの感動をもう1度!とまではいかなかったけれど、当時の「にわかラグビーマス...
史上初のベスト8入りを果たした、ラグビー日本代表チームはいかにして作られたか。ラグビーワールドカップ2019における日本代表の活躍とその舞台裏を紹介する。いまだから明かせる汗と涙のインサイドストーリー。 あの感動をもう1度!とまではいかなかったけれど、当時の「にわかラグビーマスコミ」が伝えなかったチームの実情がよく描かれていた。さすがに内部にいた者、監督側近だった者が描いただけのことはあった。 (B)
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<目次> プロローグ 2019年10月13日、横浜 第1章大会前夜 第2章不況和音 第3章情報戦 第4章地獄の猛特訓 第5章選ばれたメンバー 第6章開幕ーロシア戦 第7章奇跡ーアイルランド戦 第8章結束ーサモア戦 第9章確信ースコットランド戦 第10章敗者ー南アフリカ戦 第1...
<目次> プロローグ 2019年10月13日、横浜 第1章大会前夜 第2章不況和音 第3章情報戦 第4章地獄の猛特訓 第5章選ばれたメンバー 第6章開幕ーロシア戦 第7章奇跡ーアイルランド戦 第8章結束ーサモア戦 第9章確信ースコットランド戦 第10章敗者ー南アフリカ戦 第11章解散ー夢は続く あとがき 元ラグビー選手であった著者が、W杯のスタッフで あった藤井氏、薮木氏にインタビューして、自分の コメントと合わせてまとめた本。
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ラグビーW杯日本大会の裏側でなされた選択の記録、そしてその結果産み出されたことの記録。マインドセットの記録。
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もう一冊のPHP新書と重なる部分もあるが、ジェイミージャパンの語り部として、藤井雄一郎は存在感を見せる。藪木さんは、平尾さんの思いを感じさせるし。
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奇跡ではなく、軌跡。 もちろん、「もう奇跡とは言わせない」とNHKの豊原アナが叫んだからではない(2019/9/28 対アイルランド戦)。 「ラグビーワールドカップ2019、日本代表の活躍とその舞台裏を歴史に残す一冊」と紹介文にあるように、スタッフである藤井/薮木が綴る、“知られざる”軌跡が記されていて、読み応えあり。 著者のひとり藤井雄一郎氏は、同郷の奈良出身だ。ジェイミージャパンの強化委員長を務めたが、それ以前に、ジェイミーとは家族ぐるみの仲良し。ジェイミーのオフの部分を伝える記述が、他に例を見ない良いところ。 もうひとりの著者、藪木宏之は、明大から神戸製鋼と、同世代としてそのプレイを見続けていたひとりだ。日本代表の広報を担当し大会期間中は舞台裏をハンディカムで撮影していたという。その映像記録を見ながら文章を起こしているので、再現度合いが実にビビッドだ。 多くの振り返り書籍が、やはり試合を中心に、あるいは選手自身のコメントやのインタビューを元に構成されているか、スポーツライターが、俯瞰した視点から、RWC2019日本大会の意義や、エディからジェイミーへの日本代表の質の変遷と、そして2023年へ賭ける期待というトーンで描かれる。同じテーマ、振り返りや期待を本書が語っているとしても、著者2名が、直接選手(メンバー31人)ではない、けどONE TEAMの一員(スタッフ含めた51人)であるという絶妙の距離感故か、1年近く経た今読むには、心地よい温度感で「あの頃」を伝えてくれている。 2019年の日本代表選手たち及びRWC日本大会に何が期待され、そして何が達成されたか。 2016年9/5 ジェイミーのHC就任会見で岡村正会長が発した言葉が、端的に表していたかもしれない。 「『RWC2019』日本大会では、イングランド大会以上の成績を目指して、日本はもちろん、世界からもリスペクトされるチームにしてほしいと思っています」 世界からもリスペクトされた点はどこだったのか。 多様性のあるチーム編成は言うまでもない。日本代表でありながら、「日本人という概念は、もはやほとんど意味を持たなかった」と藤井が言うように、 「日本代表チームでありながら、日本人という概念は消し去っている。この点が、ジェイミー・ジャパンが大西さんやエディーが率いた日本代表チームと決定的に違う点だと思います。」 そんなチームが試合を重ね、勝利を積み上げていく姿に、 「このチームが体現する多様性の生み出す力の魅力に、我々日本人が魅了された」 のは間違いないと思う。 あとがきで伊藤芳明は 「異なる文化がお互いに尊重しあい、多様な価値観を共有することで、単一の文化では持ちえない新たな力が生まれる力学に瞠目した」 と記す。 終わってみれば、南アの優勝。日本代表は、その南アに準々決勝で敗れた。スタンドで観戦していたが、前半までのほぼ互角の緊迫感は、あっ晴れという他ない。もちろん、そんなジャパンを最後は圧倒したスプリングボクスもあっ晴れだった。そのスプリングボクス127年の歴史の中で、61代目にして初めての黒人キャプテン、シヤ・コリシは優勝後にこうコメントした。 「様々な背景、人種が一つになって優勝できた。一つになれば目標を達成できることを示せた」 口先だけ、お題目だけではない、多様性の意義、可能性を見せてくれたRWC2019。4年に1度じゃない、一生に一度の想い出を作ってくれたと思っている。本書を読んで思い出した、あの感動と勇気。 それがまた、この先の未来に続きますように。
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日本のラグビーには地熱がある。数は多くはないかもしれないが、ラグビーのことが好きで好きでたまらない熱いファンと現場の人たちが、日本代表の氷河期を支えていた。企業に例えるならば、大西鐡之助や宿沢広朗という稀有な指導者の手腕によって何とか世界に一矢を報いるも、その後のグローバル化とプロ化の波に見事さらわれ、一気に瀕死の状態に陥り、復活の兆しが見えない状態になってしまっていた。それでも、地下での熱は消えなかった。上層部は腐っているが、現場の熱い意志と努力と技がまだかろうじて灯火を消さずに、燃え続けていた会社のように。そこに変化を加えたのが、部長クラスといえばいいだろうか?中間層が改善を重ねたトップリーグだろう。ここにマグマが引き継がれ、改善を重ねることで、海外との繋がり、海外からの知見と経験が流れ込んだ。そしてその刺激によるトップリーグの進化が、その後のエディー・ジョーンズ体制を導いた。世界トップクラスの上層部を迎えたことで、ついに地熱が地上に溢れ出した。その結集が2015年W杯での躍進に繋がり、ブライトンの奇跡を生んだ。 「守破離」で例えるならば、エディージャパンの日本代表は、COOに世界レベルの仕込みを施され、それを徹底的に「守」に徹して成長した企業と言えるだろう。最終局面で選手たちは、指揮官を超えて自らトライを取りに行く判断を下して、自立と勝利を勝ち取って終わる物語であった。 今回のジョセフジャパンは、その「守」で成長した選手たちを「破」のステージに導く物語である。自ら考え、自ら行動し、エディージャパンのベースの上で、全く違うラグビーとチーム作りを展開した。 この本は、その過程を間近でみた二人のスタッフの視線で改めてその軌跡を辿る一冊である。カリスマCOOの強烈なリーダーシップとプロデュースのもと成長した選手たちが、今度はダイバーシティー、コミュニケーション、オーナーシップなど、世界トップレベルのコンピテンシーを発揮して、さらなる高みにたどり着いた軌跡を描いている。 コロナ禍の現在、彼らの活躍を見れた時間が、どれだけ幸せでありがたいことだったか、改めて感じさせる。熱い地熱が与えてくれた感動を思い出し、幸せにひたれる時間をくれる一冊だ。 ジョセフジャパンは2023年まで続くが、「破」のあとのステージには、何が待っているのだろうか?果たして「離」の境地にたどり着けるのだろうか?そのためには、上層部だけでなく、中間層もそして現場も一流でないと辿り着けないのだろうか?今後の4年間が楽しみだ。そして、この奇跡の源である、地熱が消えずに、むしろ増加し続けることを期待しよう。
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