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100分de名著 モモ ミヒャエル・エンデ(2020年8月) の商品レビュー

4.2

21件のお客様レビュー

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2023/10/01

臨床心理学者による『Momo』の解説書。 児童書だけれども、大人になって読み直すと非常に奥が深い。 モモが何故、人の話を聞くことができるのか、筆者の解説に納得。 「自分の中に星々や音楽が満ちている」とのこと。 我々はついつい相手の話を遮って、反論したり、ツッコミを入れたり、自分...

臨床心理学者による『Momo』の解説書。 児童書だけれども、大人になって読み直すと非常に奥が深い。 モモが何故、人の話を聞くことができるのか、筆者の解説に納得。 「自分の中に星々や音楽が満ちている」とのこと。 我々はついつい相手の話を遮って、反論したり、ツッコミを入れたり、自分の話をしてしまう。もちろん、相手の話を最後まで聞いて受け入れることが大事なのだが、解決策は「黙って我慢すること」ではないのだ。例えば職場で苦手な同僚がいたとして、業務上嫌でも相手に寄り添い、うまくやっていくためには、まずは「自分自身が豊かな時間を過ごせていること」が大事なのだろう。 そして「豊かな時間」とは、人が誰かと何かを「共有する」こと。 言葉で表すことで、出来事が「真実」となり、初めて共有される。 自分の言葉で「言語化」するために、そしてそれを聞いて理解するために、ある程度の時間が必要なのだろう。読書をしたり、思索にふけったり、雑談をする行為というのは、加速化した現代社会の「タイパ」という概念とは真逆であるが、豊かな人生と過ごすためには欠かせない行為だと思う。 何時までに○○と△△をやらないといけない!とか、◇◇が話しかけてきたせいで手が止まり残業が増えた!とか、毎日せわしなく働き、分単位で動いていて、心の余裕が無く疲れている人におススメの解説書である。

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2022/12/21

忙しない、物質主義以前に 自然(じねん)という 存在を超えた 根源的な働きがあるようだ そこを通過した 直観や無意識が 豊かな時間を取り戻し 人間を受動から能動へと 転換する鍵となる 亀のカシオペイア かわいらしい

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2022/05/08

大人になってから、モモを深く読み、知るきっかけになる。モモを再読へ。 資本主義社会についてまで考えることになろうとは思いもよらず。

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2021/12/30

臨床心理学の立場からモモを読み込む。読み落としていた部分もたくさんあり、示唆に富む。 二人だけだからこそ重要な物語。真理は共有しないと意味がない。早すぎたアクション。否定の意味。など。

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2021/07/29

筆者は精神科医とのことであるが、心に響く言葉、解釈、筆致だなと思いながら読んだ。一つひとつの言葉がスッと胸に届き、モモという作品の良さを物凄く綺麗な情景として届けてくれる。同時に我々に警鐘を鳴らしてくれる。 時間に対して我々はどう向き合うべきで、我々はどんな生活をすべきなのか。聞...

筆者は精神科医とのことであるが、心に響く言葉、解釈、筆致だなと思いながら読んだ。一つひとつの言葉がスッと胸に届き、モモという作品の良さを物凄く綺麗な情景として届けてくれる。同時に我々に警鐘を鳴らしてくれる。 時間に対して我々はどう向き合うべきで、我々はどんな生活をすべきなのか。聞くという姿勢はどんなものか。そういったことを考えるのに良い。

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2021/07/28

時間泥棒,でお馴染みのミヒャエル・エンデ『モモ』の解説本. 解説はとても平易でわかりやすく,チープな言い方をするとよくできた読書感想文だな〜という感じ.「モモ」を知らない人でも内容と要点を抑えられるようにあえてそういう構成にしているんだろう.これはこれで一つの技である. さて,...

時間泥棒,でお馴染みのミヒャエル・エンデ『モモ』の解説本. 解説はとても平易でわかりやすく,チープな言い方をするとよくできた読書感想文だな〜という感じ.「モモ」を知らない人でも内容と要点を抑えられるようにあえてそういう構成にしているんだろう.これはこれで一つの技である. さて,肝心の「モモ」だが,やはり気になるのは時間泥棒たる「灰色の男たち」とはいったいなんのメタファーなんだろうかという点である. (ファンタジーの構成要素にすぎず,実世界の何かのメタファーであるという議論がそもそもナンセンスという話は置いておいて) 解説文ではGAFAといったメガプラットフォーマーや国家といったシステムを供給するサイドの組織にリードするような文言も見られたが,何か違和感を感じる. 最後は「灰色の男は人間自身の毒である」と解説者も述べている.しかしGAFAも国家も人間が作ったじゃんとも言えてしまい,やはり腑に落ちない. とりあえず.灰色の男たちの特徴を並べてみる ・人間が今,目の前で対峙しているものに対し虚無感を感じると現れる ・今を何かに没頭することではなく,今を軽視,将来の充実を夢見させる. ・将来の充実のために,成長,生産性向上,無駄の排除,お金稼ぎといったことを促し,遊びやゆとり,余裕の排除を勧める. ・そうして時間貯蓄を唆した人たちから時間を盗み取る.時間貯蓄をした人はいつまでもゆとりを得られず,人間味ある心が失われる(彼らは奪った時間を糧にして生き延びる) 上記特徴が全部もしくは一部当てはまる概念はたくさんあげられる.ビジネス書,インフルエンサー,GAFA,国家,学校の教師,頭の硬い経済学者,宗教,マスメディアetcetc 多くの例示が出せるってことは,そこに何かしらの抽象的本質があり,かつ,そこに自分が到達できてないことを意味している気がする.ここがモヤモヤするところである. 捉えきれているとは思えないが 「現在を否定し,明るい将来という人参をぶら下げる」 (勉強しろ,金を貯めろ,老後に備えろ,死後の救済を祈れ) 「WIn-Winと見せかけてWin-Loseの構造に引き込む」(養分搾取系インフルエンサー,”従業員エンゲージメント促進”企業)といいうのは一つの特徴かもしれない. ただ,「今,この瞬間を楽しむ」ためにYoutubeをみたりTwitterをやっている人がいたらそれは虚無に漬け込むという条件とは少し合わない気がする.一方で,やることを見出せず手持ち無沙汰を埋めるべく,手軽な電子麻薬としてこれらを使い,何も得ずに消耗するというシーンも当然あり得る.つまるところこれら全てに言えるのは利用者側の気の持ちようで変わってしまうのではないかということである. 酒,アルコール,性欲といった物理的・性的快楽に加え,スマホ,テレビ,フェイクニュース,毒にも薬にもならない”バズった”動画,ソシャゲといった電子情報麻薬の跋扈を見ると己を律することができない人にとっては辛い時代になっていることは間違いない.そんなときにこのモモを読んだ人が「自分のうだつが上がらないのは自分を搾取する大きな仕組みのせいだ」「とてもかなわない巨大な悪VS.か弱い悲劇の主人公・自分」を投影し他責思考の材料にする.そんな使い方もできてしまう気がする. ====================== 時間の比較社会学 近代において、時間の節約をして得するのは個人ではなくシステムの側(灰色の男) "人間がツールを使っているのではなく、人間がシステムに使われているのです。これは、自分の時間を貯蓄したはずが実は灰色の男たちに全部盗られているという構図と全く同じです。" "確かに時間貯蓄家たちはあの円形劇場はどの近くに住む人たちより、良い服装はしていました。お金も余計に稼ぎましたし、使うのも良い余計です。けれども、不機嫌な、くたびれた、おこりっぽい顔をして、刺々しい目つきでした" 灰色の男たちという存在は人間自身が生み出した毒

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2021/06/20

テレビ放送は観てないんだか、最近読んだのに内容をすっかり忘れてたんで購入。ポイントが整理されててまさに100分で名著だ!

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2021/05/30

児童文学は物語と現実の乖離が大きく、 「子どものころは楽しめるかもしれないけど、大人は消化しきれないんじゃないか?」 と考えてしまい、なんとなく敬遠していました。 しかし、本書を読むことで、『モモ』は一味違うということを気づかせてもらいました。 まず、『モモ』という児童向けの作...

児童文学は物語と現実の乖離が大きく、 「子どものころは楽しめるかもしれないけど、大人は消化しきれないんじゃないか?」 と考えてしまい、なんとなく敬遠していました。 しかし、本書を読むことで、『モモ』は一味違うということを気づかせてもらいました。 まず、『モモ』という児童向けの作品に二面性があることに驚きました。 前述のように、子どもからすると『モモ』は王道の“物語”であり、現実とはかけ離れた、ありえない空想を文学作品として楽しむものといえます。 一方で、大人が読むと、現代社会批判や文面批判をしたうえで、「これから人間はどう立ち向かえばいいのか」を考えさせられる自己啓発本のような楽しみ方ができるといえます。 このように、大人になってからもう一度読んでみると、さらに違った味が出るような、複数の解釈ができるような作品と子どもの頃に出会っておきたかったと思ってしまいました。 また、本書は臨床心理学者の視点から『モモ』を分析しており、他者の話を傾聴するモモの姿勢や途中で出てくる灰色の男たちなど、心理療法と結びつけながら考察されていたため、大変興味深い一冊だと思います。 ただ文章を素直に解釈するのではなく、さまざまな視点から考察しながら読書することの面白さ、大切さ、などを噛みしめることができる一冊だといえます。 最後に、この本を読んでから、「たかが児童文学」と思って『モモ』をはじめとした子ども向けの作品を読むことを躊躇っていたのですが、成人になった今、一度読んでみたい文学作品のうちの一つになりました。

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2021/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人に話を聞いてもらうことで気持ちが落ち着き、解決の糸口を見出す 人の話を聞き続ける事は実は難しい 不満があるからこそ、次への発展が生まれる 時間の節約をして得をするのは、個人ではなくシステムの側 人間がツールを使っているのではなく、人間がシステムに使われている 物事があらかじ決められていると、人間の想像力は失われる 失敗も大事な経験 真実は誰かと共有しなければ意味がない 人と何かを共有することが、豊かな時間をつくり出す 時間の源は、人類の豊かさの源泉 クロノスとカイロス あれこれ思案し続けるのではなく、全部をあきらめたところから変化が起こる すべてを放棄することで、どんなものにも負けない勇気を得る 受動から能動へ ファンタジーこそがリアリティを見せる 現代は、灰色の男たちの論理に近い

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2021/01/30

番組を視聴し、ユング的な解釈で児童文学を読み解くのが面白かったのを記憶していたところ、Kindleセールになっていたので購入。 ミヒャエルエンデもユング心理学(というか、河合隼雄さん)も学生時代に大好きだったので、違和感なくスルスルと読み進められた。

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