漱石先生 の商品レビュー
夏目漱石の一番弟子である著者の、夏目漱石に関する文章。 初めて読んだ時は著者のこともよく知らなかったし、夏目漱石以外のこともたくさん書いてあるなあ…と思って興味を失い、一度挫折したんだけど、それから夏目漱石とその周りの人のことを知り、改めて興味をもって読み始めた。そんな目線で見て...
夏目漱石の一番弟子である著者の、夏目漱石に関する文章。 初めて読んだ時は著者のこともよく知らなかったし、夏目漱石以外のこともたくさん書いてあるなあ…と思って興味を失い、一度挫折したんだけど、それから夏目漱石とその周りの人のことを知り、改めて興味をもって読み始めた。そんな目線で見てみると、この本は夏目漱石、と少しでも出てくる話を収録してるんだ、と気づいた。そして、著者の夏目漱石への愛!夏目先生、みんなから愛されすぎです!
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寺田寅彦自身の科学と文学の思想がいかなるものかについて、とりあえず手にとった本書では多くは語られていないが 当時の特色も踏まえた漱石との師弟関係のあり方や、寺田ー漱石を通じた俳句論の片鱗を垣間見ることができた。
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自他共に認める別格の弟子が文豪の素顔を親愛の情を籠めて綴る。高等学校での出会いから周辺に集う人々まで。文庫オリジナル。〈巻末エッセイ〉中谷宇吉郎
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寺田寅彦(吉村冬彦)が書いた文章のうち「夏目漱石」の名前が出てくるものをすべて寄せ集めた本、という感じでした。必ずしも、漱石が主人公じゃない文章もけっこうたくさんありました。でもまあ、全体としては寅彦が漱石をどんなふうに慕っていたかというのがよく分かる1冊になっています。テレビド...
寺田寅彦(吉村冬彦)が書いた文章のうち「夏目漱石」の名前が出てくるものをすべて寄せ集めた本、という感じでした。必ずしも、漱石が主人公じゃない文章もけっこうたくさんありました。でもまあ、全体としては寅彦が漱石をどんなふうに慕っていたかというのがよく分かる1冊になっています。テレビドラマなどで見る漱石は少し気難しい部分が目立ったりしていますが、寺田寅彦にとっては、いつも優しく迎えてくれる、とても信頼できる先生だったのだなと感じました。熊本での出会いというのを知りませんでした。そして、「猫」が売れる前からのほとんど唯一の弟子だったのだということを知りました。たしかに、寒月先生として「猫」に登場するわけだから、それ以前からの付き合いだったわけですね。そして、子規との出会いについても、また興味深く読むことができました。短歌を作る人と、俳句を作る人とでは自死の割合が違うという説も興味深い。もちろん、かどうか分かりませんが、歌人の方が多いようです。ちゃんと調べたわけではなさそうですが。さらに、最後の中谷宇吉郎による文章もいい。漱石の孫弟子ということになるのでしょうか。だれかに師事をするとか、1人の先生のところに多くの弟子たちが集まってくる雰囲気、いいなあと思います。寅彦先生、「落ちさまに 虻を伏せたる 椿哉」漱石作のこの句がどうも気になるようで、何度も登場します。俳句というのもなかなか良いものですね。よんでみようかなあ。
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8月13日購入。 一昨日の会食相手と夏目漱石や寺田寅彦の話などしていたものだから、書店で一際目に付き購入してしまった。 漱石先生のことを書いているようで、その実、明治大正という時代が垣間見える。 そうか、随筆はこういう楽しさがあるのだなと改めて思う。 ちなみに中谷宇吉郎著作の『...
8月13日購入。 一昨日の会食相手と夏目漱石や寺田寅彦の話などしていたものだから、書店で一際目に付き購入してしまった。 漱石先生のことを書いているようで、その実、明治大正という時代が垣間見える。 そうか、随筆はこういう楽しさがあるのだなと改めて思う。 ちなみに中谷宇吉郎著作の『寺田寅彦』も一緒に購入してしまったのだが、漱石先生の巻末に件の宇吉郎先生も登場しており、いやはや読む前から聯想の坩堝に見事にはまっていたなと苦笑。 こういう読書も楽しい。
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漱石先生と何ら関係のない行もあるが,寺田寅彦の夏目漱石への愛慕の情が終始溢れる.会話の中で,正岡子規は“子規”だが,夏目漱石は“先生”と呼称するあたり,如何に心酔しているのだと突っ込まずにはいられない.同様に,静かなれど中谷宇吉郎の寺田寅彦への畏敬の念が,巻末エッセィから伺える....
漱石先生と何ら関係のない行もあるが,寺田寅彦の夏目漱石への愛慕の情が終始溢れる.会話の中で,正岡子規は“子規”だが,夏目漱石は“先生”と呼称するあたり,如何に心酔しているのだと突っ込まずにはいられない.同様に,静かなれど中谷宇吉郎の寺田寅彦への畏敬の念が,巻末エッセィから伺える.連綿と続く古き良き師弟関係は今は昔である.
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こういう形で一冊を編んでもらえると、また違った角度から寅彦の文章を味わえる。 何よりも感じられるのは、師漱石に対する敬愛の念である。漱石だからということもあるのだろうが、当時の濃密でいて、だからと言ってベタついたところのない関係が偲ばれる。 特に本書からは、漱石の句...
こういう形で一冊を編んでもらえると、また違った角度から寅彦の文章を味わえる。 何よりも感じられるのは、師漱石に対する敬愛の念である。漱石だからということもあるのだろうが、当時の濃密でいて、だからと言ってベタついたところのない関係が偲ばれる。 特に本書からは、漱石の句作について、いろいろと教えられるところが多かった。 また、『根岸庵を訪う記」他子規に関する文章も多く収められているが、その跡家に最近行ったばかりなので、当時とは地形なども変わってしまったのだろうが、しみじみしたものを感じる。
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I先生の追憶、II先生に集う人たち、III先生の俳諧の3部構成。 IIは正岡子規がテーマの作品が多く、I・IIIも漱石が僅かしか登場しない作品も結構ある。小宮豊隆や森田草平と比べると、寅彦が漱石について書き残した量は少なかったということだろう。もっとも、IIでも例えば『仰臥漫録...
I先生の追憶、II先生に集う人たち、III先生の俳諧の3部構成。 IIは正岡子規がテーマの作品が多く、I・IIIも漱石が僅かしか登場しない作品も結構ある。小宮豊隆や森田草平と比べると、寅彦が漱石について書き残した量は少なかったということだろう。もっとも、IIでも例えば『仰臥漫録』を漱石の「修善寺日記」と対比しつつ論じたものなど、鮮やかな作品が収録されている。 「『朝 ヌク飯三ワン 佃煮 梅干 牛乳一合ココア入 菓子パン 塩センベイ……』こういう記事が毎日毎日繰返される。それが少しも無駄にもうるさくも感ぜられない。読んでいる自分はその度ごとに一つ一つの新しき朝を体験し、ヌク飯のヌク味とその香を実感する。そして著者と共に貴重な残り少ない生の一日一日を迎えるのである。牛乳一合がココア入りであるか紅茶入りであるかが重大な問題である。それは政友会が内閣をとるか憲政会が内閣をとるかよりは遥かに重大な問題である。」(「仰臥漫録」1927年) なお、中谷宇吉郎のエッセイ2本が解説代わりに付いている。うち1本は、『猫』の「首縊りの力学」と元ネタの英語論文とを比べるもので、なかなか面白かった。
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