1,800円以上の注文で送料無料

ぼくだけのぶちまけ日記 の商品レビュー

4.6

12件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/09/15

これ程重いテーマを、ユーモアを交えながら読ませてしまう描き方に感心した。 事件の加害者や自殺で残された家族の想いはどれ程のものか、至らない想像でさえ胸が張り裂けそうになる。 いじめから始まった出来事が、たくさんの人に傷を与え、人生を変えてしまう。 事件が起きた時、世論は被害者の家...

これ程重いテーマを、ユーモアを交えながら読ませてしまう描き方に感心した。 事件の加害者や自殺で残された家族の想いはどれ程のものか、至らない想像でさえ胸が張り裂けそうになる。 いじめから始まった出来事が、たくさんの人に傷を与え、人生を変えてしまう。 事件が起きた時、世論は被害者の家族の悲しみに寄り添うのと同じように、加害者の家族の悲しみに寄り添っているだろうか。たとえ子どもでも加害者の家族であれば、誹謗中傷の矢面に立たされてしまうのだ。 兄の起こした事件の後、13才のヘンリーと父親は、誰も知らない場所でひっそり暮らしている。 ヘンリーが綴る日記を通して、事件の真相が徐々に明らかになり、ヘンリーの心の傷が痛いほど伝わってくる。 悲しみだけでなく、兄に対する憎しみ、それを感じてしまう自分への憎しみも。「あなたのせいじゃない」と周りが言っても、自分で納得するまでには時間がかかるのだろう。 「抱えて生きていく方法を学ぶことはできる」そうアドバイスをしてくれた隣人。寄りによってくれた友だち。 人を傷つけるのも人だが、救うのも癒すのも人なのだと、ラストはしみじみ嬉しかった。

Posted byブクログ

2020/08/25

ヘンリーの兄ジェシーは、父親の猟銃で自分を執拗にいじめていたスコットを撃ち殺し、自分も同じ銃で自殺した。残された家族は、地域の人たちから嫌がらせを受け、母親は精神科に入院、ヘンリーと父親は事件が知られていない町へ引っ越した。 ヘンリーはカウンセラーのセシルから、見せなくてもいいか...

ヘンリーの兄ジェシーは、父親の猟銃で自分を執拗にいじめていたスコットを撃ち殺し、自分も同じ銃で自殺した。残された家族は、地域の人たちから嫌がらせを受け、母親は精神科に入院、ヘンリーと父親は事件が知られていない町へ引っ越した。 ヘンリーはカウンセラーのセシルから、見せなくてもいいから日記を書くように勧められ、日記帳をもらう。新しい学校でヘンリーは友達を作らないと決めた。が、ちょっとオタクっぽいファーリーにクイズ研究会に連れていかれる。兄の事件を隠しながら、新しい学校での生活が始まる。 舞台はカナダだが、米国の高校の銃乱射事件を思い起こさせる。撃たれた方でなく、撃った方と残された家族。そして、その原因となるいじめ。思春期の男子の壮絶ないじめ。兄のジェシーもヘンリーも、最後に仕返しをすることになってしまうのだが、その状況は大きく違っていた。 衝撃的な事件の残された家族に目を向けた重たい話になりそうなところを、個性的な登場人物とユーモアで最後まで引っ張っていく。それでも、読み終わったときは涙と希望でいっぱいだった。

Posted byブクログ