メイドの手帖 の商品レビュー
ルシア・ベルリンの「掃除婦のための手引き書」がとてもよかったので、似たような書名の本を手に取る。先入観との落差に少々眩暈のような感覚を覚えながら読み通す。 2019年に元米国大統領が推薦している理由は、"A single mother's personal,...
ルシア・ベルリンの「掃除婦のための手引き書」がとてもよかったので、似たような書名の本を手に取る。先入観との落差に少々眩暈のような感覚を覚えながら読み通す。 2019年に元米国大統領が推薦している理由は、"A single mother's personal, unflinching look at America's class divide, a description of the tightrope many families walk just to get by, and a reminder of the dignity of all work." つまり格差社会の現実と全ての仕事に対する尊厳への気付きを期待して読むことを薦めるというもの。読んだ印象もまさにその通りと思うものの、本書はルポルタージュと呼ぶには中立的な視点での記録ではないし、小説と呼ぶには著者に起きた様々な出来事の鮮度が余りに高過ぎる。 例えば、この本は優れてポスト・グローバル的な社会を覆う雰囲気を映し出している、と言ってみれば、この本が米国での評判を得たことの理由となるのだろうか。付け加えて言えば、最終的に著者が努力によって社会の底辺から抜け出ることが出来たという事実が極めてアメリカン・ドリーム的であることは無視出来ないだろう。その典型的な構図が、ひょっとしたら、ノン・フィクションでありながら書き記される事実の認識という思考過程を滑らかに行わせない小さな違和感の元なのかも知れない。 フィクションは思考の抽象化を助ける。ひょっとしたら逆の意味でステロタイプな思考パターンなのかも知れないが、社会の在り方に対する無力感の描き方として、例えば「真夜中のカーボーイ」のジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンの二人組のことを、比較としてぱっと思い浮かべる。ハリー・二ルソンの歌う「Everybody's Talkin'」の明るい歌声が悲しく響くように、物語の中で振り上げた拳の落としどころが無いことが描かれることによって、社会に対する強烈な連帯感は生まれる。その時、初めて社会の仕組みが変わるような力を人々が持ち得る。それが文学の力であるように思う。 もちろん、それはドラマツルギー的仕組みの話で、その仕組み自体が良い悪いということではない。それを利用して民主的でない運動を扇動することも当然ながら可能であることは先日の米国の騒動を見ても明かな通り。因みに「真夜中のカーボーイ」は1969年公開。その前年の1968年は、五月革命、キング牧師暗殺、ロバート・ケネディ暗殺、ウッドストック開催。 本書の中で、他者の評価が主人公の置かれた状況の浮き沈みで如実に変わるのを自己中心的と呼んでしまうことには抵抗はあるが、一つひとつのエピソードがどれも蕾のまま開花しないような印象を残すのは他者の視線があまりに描かれない為ではないか、とも考えてみる。世の中には露悪的に意地悪な人もいるだろうけれど、誰もが他人を出し抜こうとして行動するばかりとも思えない。ひょっとしたら彼の国は既にそんな考えは通用しないほどに格差の壁が高くそびえているのかも知れないけれども。 "Everybody's talking at me / I don't hear a word they're saying / Only the echoes of my mind"("Everybody's Talkin'" by Harry Nilsson)
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村井理子さんの翻訳本。途中、著者にこれでもかと降りかかる困難は、読むのが苦しくなるほど。福祉を利用する人達への偏見は、どこも同じなのだなと思う。
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アメリカの格差社会の凄まじさが衝撃的。苦しさに負けずに、大学の単位を取得し、子どもにはオーガニックのものを食べさせるよう努力するなど、意識の高さを保ち続けたことに感服する。
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メイドをしながら一人で子育てをし、勉強をして文筆家となったアメリカの女性の今に至るまでを書いた回想録。オバマ前アメリカ大統領が2019年推薦図書の1冊に選んだ作品。 何処の国も貧困層、しかもシングルマザーは生きることの苦労をするということを感じた。それにめげずに自分を向上していく...
メイドをしながら一人で子育てをし、勉強をして文筆家となったアメリカの女性の今に至るまでを書いた回想録。オバマ前アメリカ大統領が2019年推薦図書の1冊に選んだ作品。 何処の国も貧困層、しかもシングルマザーは生きることの苦労をするということを感じた。それにめげずに自分を向上していく努力をして現在の著者がいるのだろう。それには自身の強い意志と努力、そして公的支援を見つけていく知識も必要だということだ。 アメリカという国のことは一番身近な外国と思っていたが、「メイド」という職業がどういうものか、またアメリカでは「メイド」を雇うことが日本の「お手伝いさん」「家事代行」とは違うということをこの本を読むまでしらなかった。 翻訳本ということもあり読みにくいが、日本人と若いシングルマザーに対する感覚が違うこと(新しいパートナーを積極的に見つけ、それをオープンにすること等)も感じ、また文化の違い、生活習慣の違いを知った一冊である。
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「これはどう考えても無理ゲーじゃね!?」と読みながら何度も思った。 無理ゲー、つまり "難易度が高すぎてクリアするのが無理なゲーム" ってことですが、この本で描かれているシングルマザーの極貧生活は、私にはどう考えても、抜け出すことはおろか、続けることすら無理な...
「これはどう考えても無理ゲーじゃね!?」と読みながら何度も思った。 無理ゲー、つまり "難易度が高すぎてクリアするのが無理なゲーム" ってことですが、この本で描かれているシングルマザーの極貧生活は、私にはどう考えても、抜け出すことはおろか、続けることすら無理なものに見えた。 時給9ドル、交通費支給なし、福利厚生一切なし。そんな仕事しか見つからない状況で、家族の援助は一切ないまま未就学児を育てる。 受けられる仕事はめいっぱい受けても、やっとギリギリ生活費が賄えるかどうか、という状態。具合の悪くなった子供を病院に連れていくために仕事を休めば、その月の収支は途端に厳しいものになる。 やっとのことで借りることができた小さな部屋は結露と黒カビだらけで、子どもは呼吸器疾患に悩まされるが、引っ越す資金などまったくない。 ・・・本当によく生き延びたな、と思う。 以前に読んだ「ヒルビリー・エレジー」と対になる本だと思った。 「ヒルビリー・エレジー」は、貧困状態で育てられた子供の立場で書かれている。自立できるはずなのに、意志が弱いために助成金に頼ってだらしなく生きる大人たちの姿が描かれ、著者は助成金の制度についてはかなり批判的な立場で書いている。 一方、この本の著者は、生きるために必死で働き、それだけでは日々の暮らしを賄うのは不可能で、フードスタンプや補助金、助成金が命綱だったことを伝えている。 やはり、こうした社会保障制度は誰がなんと言おうと重要で、絶対になくしちゃいけないものなんだなとつくづく思った。 利用する人を批判するなんてもってのほかだと思う。 著者の友達が「お礼はいいわよ」と言った、というエピソード(自分が払っている税金のおかげで暮らしていけてるのよね、という意味)は読んでいて本当に悲しくなった。 著者が未来のない満身創痍の自転車操業から抜け出せたきっかけは、意を決して学生ローンを組んだことのようだ。 そして働きづめのスケジュールを緩め、進学準備をし、奨学金の申請をし、それが認められ・・・と、そこから人生がうまく回っていくようになる。 でも、それって・・・やはり万人にできることではないと思う。無理ゲーをクリアしたに等しい特殊なケースだと私は思う。 彼女の事例は貧困と社会保障制度の関係について、つくづくと考えさせられる。 保障が手厚過ぎるから怠ける人が出てくる、と言う意見は多いが、ぎりぎりの暮らしでは、ずっと頼りつづけるか、ローンを組んで抜け出す道しかないように思う。でも、ローンを組むことで逆に救いようのない穴に落ちていく人もいるだろう。 貧困が生きる気力を奪うということは読む前からなんとなく分かっていたことだが、それ以外にもうひとつ、なるほど、と思ったのが、「低いクラスの人間だとみなされること」の辛さ。 顧客はメイドに名前があることすら認識していない、どんなに頑張っても同じ人間と見てもらえない、透明人間同様、という状況の辛さ、読んでいてとても理解できた。 ある種のサービス業についておられる方は多少なりとも感じておられる感覚かもしれない。 そうした中で、ヘンリーに代表される、何人かの顧客とのわずかだけれど暖かい交流には読んでいてとても救われた。雇い主の思いやりのある態度も素晴らしかった。 私も誰に対してもヘンリーみたいにふるまえる人間だといいな、と心から思う。 最後にどうでもいいことだけど、ミズーラって、あの「マクリーンの川」の舞台だったのですね! この「メイドの手帖」では憧れの土地としてその名前が何度も口にされる。 ミズーラと言えば、最近読んだ集団レイプ事件を取材したノンフィクション「ミズーラ」をまず思い浮かべてしまったけれど・・・。 映画「リバー・ランズ・スルー・イット」は大好きな映画で、私は同じ映画を何度も見るタイプではないけれど、この映画は本当に好きで例外的に何度も見た。そして、ノーマン・マクリーンの本も3冊全部読んだのだった。(マクリーンの渓谷が一番好きだった) 本の方は一度しか読んでおらず、昔すぎてあんまり覚えていないけれど。
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清掃会社から派遣され、家庭の掃除をする。 ハウスメイドというそうだ。 本書はタイトルの通り通り、このハウスメイドとして働きながら、一人で娘を育てる女性の手記である。 日本でもお掃除サービスが家庭で利用されるようになってきた。 解説を読むと、アメリカではかなりの家庭が掃除をハウス...
清掃会社から派遣され、家庭の掃除をする。 ハウスメイドというそうだ。 本書はタイトルの通り通り、このハウスメイドとして働きながら、一人で娘を育てる女性の手記である。 日本でもお掃除サービスが家庭で利用されるようになってきた。 解説を読むと、アメリカではかなりの家庭が掃除をハウスメイドに任せているとのこと。 その仕事は肉体的にも精神的にも過酷だ。 もちろん、大変だろうと予想していたが、それ以上だった。 何より読んでいてつらいのは、お金がないということが、どれほど人の尊厳を傷つけるのかということだった。 たしかに、衣食住、医療に対する補助はある。 著者は懸命に各種の制度にアクセスして、何とか娘との生活を続けようとするのだが…。 例えば、フードスタンプを利用してスーパーで支払いをしようとする際、周囲の人から煩わしそうな顔をされたりする。 ステファニー自身も、かごの中の食品が補助以上の贅沢なものだと見られないか気にしている。 日本でも生活保護を受ける人へのバッシングがあったりすることを思うと、何と言っていいか分からない気持ちになる。 アメリカは自己責任の国だけど、失敗してもチャレンジができる、といわれる。 ステファニーは、苦労の末、奨学金で大学卒業を果たし、再チャレンジで成功した実例といえる。 けれど、貧困層から這い上がれる人は少数で、再チャレンジの実効性はどれくらいあるのだろう?
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シングルマザーで人生絶望の主人公が日常のことや考えをブログに綴っていたものをまとめた本でした。 この著者の場合はシングルマザーになってしまって、人生どん底でも自分なりに自分の道を模索しながら少しずつでも切り開いていってる感じは少しですが感じ取れました。 もしかしたら同じような...
シングルマザーで人生絶望の主人公が日常のことや考えをブログに綴っていたものをまとめた本でした。 この著者の場合はシングルマザーになってしまって、人生どん底でも自分なりに自分の道を模索しながら少しずつでも切り開いていってる感じは少しですが感じ取れました。 もしかしたら同じような境遇(アメリカと日本ではまったく違うけれども)の方には勇気づけられたり、今がツライ時には私なんかよりはもっと大変な人がいると思わせてくれるかもしれません。 けど、読みながら同時にどうしてシングルマザーになってしまったのか?シングルマザーにならないようにどうするべきだったのか?というところも考えさせられたのはありました。 結局、自分たちが責任も持てないのに子供を作ってしまったことが、自分を貧困へと追いやった部分もあるでは?と冷徹ですがそう思ってしまいました。 仕方なく、シングルマザーになった方もいると思いますが、シングルで子供を育てながら生きていくというのは今の時代はやはり大変なんだなと、そして子供を産んで育てること自体が今の時代では贅沢なことなのかもと感じずにはいられない本でした。
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シングルマザーでメイド(住宅の清掃員)の体験記。 メイドは、最低賃金で(時給9ドルなので、1000円以下か)、汚くて身体的にもきつい仕事をさせられているにもかかわらず、対等な人とは扱われず、幽霊のように見えない存在とされている。 幽霊は、高等教育も受ける機会がなく、構造的に貯金が...
シングルマザーでメイド(住宅の清掃員)の体験記。 メイドは、最低賃金で(時給9ドルなので、1000円以下か)、汚くて身体的にもきつい仕事をさせられているにもかかわらず、対等な人とは扱われず、幽霊のように見えない存在とされている。 幽霊は、高等教育も受ける機会がなく、構造的に貯金ができない社会システムの中で擦り切れるほど働き、繰り返し侮蔑され、自尊心を傷つけられ、表現するだけの勇気をへし折られている。特にきついのは自分が人として扱われる価値があるのかについてすら自信がなくなってくることだ。そんな中、著者は異様なほどの強い意志(多くの衝突は著者のキャラクターに原因がある気がする)で書くことを続けたために、他では読めないような本書が生まれた。 ハッピーエンドだとはわかっていても、第1章はホームレスシェルターから始まって何の希望もなく、DV、虐待、両親との不和、不安定な雇用、きつい労働環境、劣悪な住環境による病気などが立て続けに描かれて読むのがただ辛い。そのあと、良くなってくかと思いきや、基本的にはずっと辛い。 そんな中で幽霊ではなくゲストとして扱ってくれる数少ないクライアントであるヘンリーがロブスターをプレゼントしてくれるシーンは、その不釣合いな感じも含めて感動的だ。
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村井理子さんのお名前を知っていたので手に取った。 表題どおりの本だけど、睡眠時間を削って読んだ。 シングルマザーではない私にもわかりみがすぎる一冊だった。 女性、育児、就労、貧困、差別、プライド、孤独、家族、、、いろんなことを考えた。 ステファニーの実家も家族不和で、それぞれ新...
村井理子さんのお名前を知っていたので手に取った。 表題どおりの本だけど、睡眠時間を削って読んだ。 シングルマザーではない私にもわかりみがすぎる一冊だった。 女性、育児、就労、貧困、差別、プライド、孤独、家族、、、いろんなことを考えた。 ステファニーの実家も家族不和で、それぞれ新しい家族がいて、祖父、父、母、みんな経済的に余裕がなく、ステファニーのことも、娘のミアのことも、ほとんど助けてはくれない。 助けて、と言える近親者の不在はステファニーを孤独にした。 お母さんにもお母さんが必要なんだ、という言葉で涙が出る。 あとがきにも号泣してしまった。 育児の中身は、人によってあまりに違う。 おとなしい子、親の言うことを聞ける子、と、そうでない子の子育てでは親の手間暇や心理ストレスは何倍も違うだろう。 しかも作者はたった一人で、お金を稼ぎ、子供を育てないといけないのだから、苦労は並大抵ではない。 育児は大変だけど、助けてくれる人が身内にいればかなり楽になる。 祖父母に預ければ済むところを高いお金を払ってイマイチな保育園にいれるのは辛かったはず。 特に保育園の別れの場面が辛さが胸に残った。 子供と一緒に幸せに生きるためにこの道を選んだのに、子供に苦しめられる場面も多かった事実が胸に痛い。 最後に、子供とのカビだらけのアパート時代を、幸せな思い出にできてよかった。 (実家から離れた土地での育児専業の私にも近い感覚があった。発達凹凸の多い長男の1歳、2歳時代は本当に苦しかった。経済的な心配がなかったことで自分を守れたのかもしれない。毎日狭い家で一緒に過ごし、外では孤独に苦しんだ。多動や他害の大きい長男とでは、友達親子を作る努力をしたが虚しい結果に終わった。夫は当時、仕事で多忙&精神的に擦り切れていて、長男の存在は休日の夫のストレスを限界まで高めていたと思う。幼稚園プレスクールが始まるまで、私も毎日死にたかった。その長男は私にとって、死ぬほど面倒くさいクライアントであり、私の生活を破壊したモンスターだったけど、苦しい時代を二人で過ごした戦友でもあった) アメリカらしいと思えたのは、離婚(そもそも未婚か)した男性にも二週に一度は子供を預ける義務&権利があり、それを粛々と続けている点。 日本ではこれが難しいらしい。 父親に預ける時間に、子供と父親が心中した事件もあった。 この、子供を預けられる時間をステファニーは、子供ミアの心配をしながらも、勉強や読書にあてることができた。 日本のシングルマザーはそれすらないはず。まあどっちがいいかは状況次第だけど。 ステファニーがいろんな家を見ながら、その住人の生活や為人を想像するのが面白い。 私もタウン誌のポスティングをやった時期があり、それを思い出した。 玄関しか見えなくても住んでいる人の個性があり、気配が感じられた。 掃除はさらに内部で汚いものと対面する仕事だから、奥底にある人柄が見えたと思う。 ステファニーを最初に人間として扱ってくれた、ヘンリーがロブスターをくれる場面、おばあちゃんみたいな老女がお茶と食べ物とおしゃべりをくれた時間は、読んでいて嬉しかった。 シングル親子の幸せな生活を作るための社会制度はいろいろある。 でも完全なものではないし、自分が落ちぶれていると感じてしまうのは辛い。 子供を持つことで貧困になるか、dvに耐えるか、の選択肢を迫られる世界では、少子化の理由がはっきりわかる。 (女が、男と社会を信用しなくなったら少子化が生まれる、と聞いたことがある。うう) 筆者が、貧困の苦しさは、常に忙しかった、常に緊張と不安だった、孤独だった、選択肢がなかった、というあたりでよく分かる。 引っ越しの連続で、狭い家しか選べず、大事なものを所有できなくて処分する辛さ。 貧困は、シングルマザーに限らず、誰もが陥る可能性はある。 社会に余裕がないと弱者にしわ寄せがいく。教育はそこから抜け出る一つの方法なのは間違いないけど、個人の努力や運に左右される世界は苦しい。
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"見ること、学ぶこと、疑問に思うことをやめた。二人で生きることで精一杯だった。いつも何かが期限切れだった。いつも車に乗っていた。いつも急いで食べて、急いで片付けていた。常に移動し、息を吸うために立ち止まることさえできなかった。"(p.50) "私...
"見ること、学ぶこと、疑問に思うことをやめた。二人で生きることで精一杯だった。いつも何かが期限切れだった。いつも車に乗っていた。いつも急いで食べて、急いで片付けていた。常に移動し、息を吸うために立ち止まることさえできなかった。"(p.50) "私はミアのためにそこにいたけれど、私の手を握ってくれる誰かが必要だった。私のためにそこにいてくれる人が。お母さんにだって、お母さんが必要なんだ。"(p.211) "誰かを雇って家の掃除をしてもらえる生活って、どんな感じだろう。その立場になったことは一度もないし、そうなれるとも思えなかった。もしその必要が出てきたら、彼らにはチップをたくさんあげて、食べ物を渡したり、いい香りのするキャンドルを残したりするだろうと思う。"(p.235)
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