言葉が見る夢 の商品レビュー
評論も一つの物語なんだ。この本の一篇一篇を読んでいて、そう思った。引用があるから、評論の対象となっている小説を読んでいなくても、評論家が語る物語は読める。柄谷行人とかの評論はそうはいかないが、永岡杜人の評論は物語だ。『言葉が見る夢』を学術的に読む人もいるだろうが、私は、この本を永...
評論も一つの物語なんだ。この本の一篇一篇を読んでいて、そう思った。引用があるから、評論の対象となっている小説を読んでいなくても、評論家が語る物語は読める。柄谷行人とかの評論はそうはいかないが、永岡杜人の評論は物語だ。『言葉が見る夢』を学術的に読む人もいるだろうが、私は、この本を永岡杜人が語る物語として読んだ。第三章「補遺鏡のなかの他者」まで読んで「あとがきにかえて」で作者が「同じ主題の変奏」と言っている意味がわかった。この本は、長大な物語なのだ。所々に『失われた時を求めて』が引用されているが、この評論家もプルーストと同じように一つの主題を追う長大な物語を書きたかったのだろう。
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