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水壁 の商品レビュー

4.1

8件のお客様レビュー

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2024/01/07

アテルイ(802年)の死から71年。元慶の乱をモチーフにしたフィクション。「炎立つ」の時代はこれより170年ほど後なので、「火怨」と「炎立つ」の間を継ぐという感じではないかな。 登場人物は創作なので、ご都合主義な面も否めない。

Posted byブクログ

2023/07/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

火怨の75年後、阿弖流為の曾孫 天日子が主人公。火怨と同じように、強く将の器である天日子と、知略に富んだ安倍幻水を中心に、物部が重要な導き手となってストーリーが進む。 天日子と幻水は火怨の阿弖流為と母礼を思い起こさせるが、ひとつ決定的に違うのは、幻水が蝦夷ではなく都の人間だということ。都で冷遇されてきた幻水が、蝦夷と共に戦って初めて一人きりではなくなったと泣くシーンが熱い。風の陣や火怨で悲願を果たせずに散っていった多くが、全くの無駄ではなかったのだと感じられる。 風の陣や火怨に比べてだいぶあっさりしているので、欲を言えばもっと読みたかった。

Posted byブクログ

2023/03/11

平安初期、藤原北家が権力を独占し出した頃、圧政に苦しむ蝦夷と蝦夷に心を寄せるものが立ち上がる。 民の将来のために礎になろうとする阿弖流為たちの壮絶な決意、単なる英雄譚とは異なる熱さとだからこその哀しさに心揺さぶられた身には、とても暖かい後日譚になりました。 長さは半分ぐらい。...

平安初期、藤原北家が権力を独占し出した頃、圧政に苦しむ蝦夷と蝦夷に心を寄せるものが立ち上がる。 民の将来のために礎になろうとする阿弖流為たちの壮絶な決意、単なる英雄譚とは異なる熱さとだからこその哀しさに心揺さぶられた身には、とても暖かい後日譚になりました。 長さは半分ぐらい。そして、このラストはやっぱり心が安らぎます。阿弖流為たちもこのラストを暖かく見守っているかも。 主人公は阿弖流為の地を引く天日子だけども、都で不遇をかこっていた才人・安倍幻水が加わり、やがて己の才を活かすためではなく蝦夷のために戦い、最後には蝦夷となる物語でもあります。

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2022/08/15

火怨の後に読んだからか、比較してしまった。 アテルイを継ぐ天日子に、期待しすぎていたと思う。今にまで名が残っているアテルイの存在が大きすぎる。 それでもやっぱり感動する、蝦夷の心。 いいなあ。私もそういう風にありたい。

Posted byブクログ

2020/11/08

火焔の続編的な位置づけ。それから比べるとスケールは小さいものの、読了感はまだスッキリ。 史料等もそんなにない地域なので、つじつまさえ合っていれば話は膨らむ。そんな小さく、あまり知られていない史実から、こんなに大きな物語を作ってしまうとは… 物部氏ってまだそんなに権威があったっけ?...

火焔の続編的な位置づけ。それから比べるとスケールは小さいものの、読了感はまだスッキリ。 史料等もそんなにない地域なので、つじつまさえ合っていれば話は膨らむ。そんな小さく、あまり知られていない史実から、こんなに大きな物語を作ってしまうとは… 物部氏ってまだそんなに権威があったっけ?とか、この人このまま奥州安倍氏につながるんだっけ?とか、色々と突っ込みたいところもあったが、物語として読むには十分に楽しめた。 朝廷と蝦夷(そもそも自分たちをそう呼んでいたとも思えないが)の戦いはまだまだ続きそう…書いてくれないかな。

Posted byブクログ

2020/09/13

阿弖流為の死から75年後。陸奥を舞台とした元慶の乱を題材としている。阿弖流為の曾孫天日子を主人公に、軍師として阿部比羅夫の末裔である阿部幻水、物部の一族の纏め日明など、蝦夷らの誇り高い闘いを描く。

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2020/09/05

 平安時代、東北の英雄・アテルイの血を引く若者、天日子を中心に蝦夷たちの誇り高い闘いを描いた歴史小説。  アテルイの戦いを描いた作品「火怨」の興奮が忘れられず、その後の蝦夷たちの歴史を描いた作品ということだけあって、期待して読みました。  その期待は裏切られることなく、蝦夷た...

 平安時代、東北の英雄・アテルイの血を引く若者、天日子を中心に蝦夷たちの誇り高い闘いを描いた歴史小説。  アテルイの戦いを描いた作品「火怨」の興奮が忘れられず、その後の蝦夷たちの歴史を描いた作品ということだけあって、期待して読みました。  その期待は裏切られることなく、蝦夷たちの熱い思いが強く伝わってきました。  主人公・天日子を中心に魅力ある人物たちが集まり、知恵と勇気をもって戦い抜くさまは、読んでいて心が揺さぶられました。  歴史の狭間に生きる人たちの思いを想像することこそ、本当の歴史を知ることだと改めて思いました。

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2020/08/13

尊敬する高橋先生の新作。陸奥四部作に次ぐ5つ目の物語。 物語は「火怨」と「炎立つ」の間の時代。阿弖流為の反乱後、朝廷の支配下に入るものの、他国と同程度の扱いを受けられず、ただ租税を払うだけの立場に苦しむ時代。立ち上がったのは阿弖流為の子孫である天日子。元から部下や家族を背負い、...

尊敬する高橋先生の新作。陸奥四部作に次ぐ5つ目の物語。 物語は「火怨」と「炎立つ」の間の時代。阿弖流為の反乱後、朝廷の支配下に入るものの、他国と同程度の扱いを受けられず、ただ租税を払うだけの立場に苦しむ時代。立ち上がったのは阿弖流為の子孫である天日子。元から部下や家族を背負い、先頭に立っていた過去3作とは異なり、徐々にリーダーとしての資質を現していく姿は青春小説としての魅力もたっぷりとあった。また、右腕の阿部幻水の存在も良い。二人の関係は、阿弖流為と母礼、貞任と経清の関係を思い出させられる。 何より元慶の乱という事件を知らなかったため、敗北という事実が分かりきっている過去作と異なり、どういう結末になるのかというワクワク感が強いのも良かった。1巻完結のため、人物造形が若干薄く、また憎たらしいほど強い敵という存在もなかったのが残念ではあったが、最後には天日子たちに感情移入してしまうほど心を熱くしてくれるのはさすが高橋先生と言わざるを得ない。 炎立つの安倍氏はルーツが諸説あるそうだが、阿部幻水が東北に根づいて100年強であの強大な安倍帝国を築いたと考えると非常に面白い(幻水は架空の人物みたいだが)。

Posted byブクログ