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アフリカ経済の真実 の商品レビュー

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2024/09/09

アフリカの深くて暗い闇を見た。世界の誰かの生活を豊かにするためにアフリカの資源開発を行いながらも当事者たちは豊かにならず血を流す。特に第3章絶望の国のダイヤモンドは衝撃だった。「永遠の愛」を誓い、愛する人に贈るための美しいダイヤモンドは、アフリカの人々の憎しみを増幅させ、子供兵を...

アフリカの深くて暗い闇を見た。世界の誰かの生活を豊かにするためにアフリカの資源開発を行いながらも当事者たちは豊かにならず血を流す。特に第3章絶望の国のダイヤモンドは衝撃だった。「永遠の愛」を誓い、愛する人に贈るための美しいダイヤモンドは、アフリカの人々の憎しみを増幅させ、子供兵を麻薬漬けにするための資金源とされる。どうあっても許されない行為が起き続けている事に言葉を失う。当然自分なんかに解決できる問題ではないが、真実を知れただけでもこの本を読んだ甲斐があった。無知は罪であるのだとすれば、ある意味自分も共犯であり、知る事をできたことだけでも罪から抜け出す一歩目だったのかもしれない。

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2024/08/09

アフリカが誰にとっての「希望に満ちた大陸」であるのか(15ページ)という問いから始められる本書。 サヘル地帯、マダガスカル、アルジェリア、コンゴ民主共和国の政治・経済史とその現状に言及し、最後にアフリカ大陸各地で行なわれるランドグラブについて述べられる。 多国籍企業、現地政権等の...

アフリカが誰にとっての「希望に満ちた大陸」であるのか(15ページ)という問いから始められる本書。 サヘル地帯、マダガスカル、アルジェリア、コンゴ民主共和国の政治・経済史とその現状に言及し、最後にアフリカ大陸各地で行なわれるランドグラブについて述べられる。 多国籍企業、現地政権等の特権的受益者に翻弄され苦しみ続ける人々。私にとって、本書初めの問いは、これらとアフリカからの原材料から作られる安価な製品を手に入れることができる他国の人々にとっての希望に満ちた大陸なのだという答えしか考えられなかった。そこからは現地の民衆は排除されているのだ。 絶望の国のダイヤモンドの章にかなりショッキングな内容があることに注意。

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2023/11/14

アフリカについても、資源開発についても詳しくないわたしでも、わかりやすく読めた。 開発と聞くと何か良いことのように思えるが、その裏には紛争やさらなる貧困への転落など人々の葛藤がある。真にその土地に住み暮らす人々とともに行われる開発を望みたい。

Posted byブクログ

2021/02/14

アフリカの発展について、数カ国を例に挙げてわかりやすくまとめている本。 経済だけでなく、アフリカでなぜテロが発生するのか?まで描かれており非常に興味深い。 ダイヤモンドがついた指輪の購入が間接的に紛争を助長するってのはわかっていても、実際日常生活では認識出来ないのが現状。 自分...

アフリカの発展について、数カ国を例に挙げてわかりやすくまとめている本。 経済だけでなく、アフリカでなぜテロが発生するのか?まで描かれており非常に興味深い。 ダイヤモンドがついた指輪の購入が間接的に紛争を助長するってのはわかっていても、実際日常生活では認識出来ないのが現状。 自分の生活について今一度熟考したい。

Posted byブクログ

2020/09/25

吉田敦(1973年~)は、明治大学大学院商学研究科博士課程、仏パリ第10大学DEA課程修了。パリ第1大学博士課程、(財)海外投融資情報財団特別研究員などを経て、現・千葉商科大学人間社会学部准教授。専門は国際貿易論、資源開発、アフリカ経済。 一般に、アフリカというと、21世紀に入り...

吉田敦(1973年~)は、明治大学大学院商学研究科博士課程、仏パリ第10大学DEA課程修了。パリ第1大学博士課程、(財)海外投融資情報財団特別研究員などを経て、現・千葉商科大学人間社会学部准教授。専門は国際貿易論、資源開発、アフリカ経済。 一般に、アフリカというと、21世紀に入り高い経済成長率を維持し、今後も100年以上に亘り人口が増加し続けると予想され(中国、インドを含むアジアはその前に人口減少に転じる)、「最後のフロンティア」、「最後の巨大市場」という明るいイメージが先行する。しかし、著者が本書で描いているのは、そうした希望に満ちたアフリカの姿ではなく、自らの国家のヴィジョンを描くこともままならず、グローバリゼーションの歪みでテロや紛争が生じ、そして、人びとが市場競争から取り残され、貧困と絶望の中で手足をもがれたまま「沈みゆく大陸・アフリカ」の姿である。 具体的には、①近年イスラーム急進派勢力のテロ攻撃や反政府武装勢力による反乱が頻発するサヘル地域(モーリタニア、マリ、ニジェール、チャド、スーダン、エリトリアに跨る、サハラ砂漠の南縁に広がる地域)、②地下資源の乱掘と森林資源の伐採が国家を崩壊させたマダガスカル、③石油資源が豊富であるがゆえに産業の多角化が進まず、権力構造の腐敗が続いたアルジェリア、④豊富なダイヤモンドやレアメタルなどの資源を巡って内戦が続くコンゴ民主共和国(旧ザイール)➄外国企業が大規模農地を確保するための土地収奪が進む、エチオピア、シエラレオネ、モザンビーク、を取り上げて、アフリカ諸国の実態を描き、そこに通底する問題を分析している。 そして、著者は、その問題の大きな原因の一つとして、日本を含む先進国が外から持ち込む「開発」に目を向けている。即ち、アフリカの多くの国においては、外からの「開発」によって特定産業のみが肥大化した、いびつな経済構造が固定化し、そのいびつさが新たな歪みを生み、それが民衆の暴動やテロや内戦となって表出するのであり、先進国の「開発」が、直接的ではなくても暴力・毒として作用しているというのである。 米国の社会・歴史学者ウォーラーステインが1970年代に提唱した巨視的歴史理論である「世界システム論」によれば、「大航海時代」以降の世界の歴史は、資本主義の根本原理ともいえる、飽くなき成長・拡大を追求する内的動機を背景に、世界の「周辺」地域の経済的余剰を世界の「中核」地域に移送する、世界的分業システムの中に、地球上の全ての地域を取り込んで行く過程であった。しかし、20世紀末期~21世紀に至り、そのシステムが地球のほぼ全域を覆い、パイの拡大が望めなくなっている中で、「周辺」地域(アフリカはここに含まれる)で起こっている現実が、本書に示されているのだ。 著者は、「我々日本人もアフリカの「病」の原因をつくっている、という視点を持つ必要がある」として筆を置いているのだが、我々はそこに留まっているわけにはいかないだろう。資本主義(特に、1980年代以降に欧米から急速に広がり、世界のあらゆる場所・階層で格差を拡大させた、規制の少ない資本主義)の在り方を考え直すべきときに来ているのは間違いない。 (2020年9月了)

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2020/09/22

「フランス語圏アフリカ」・「資源」をキーワードに、アフリカにおける紛争の現実を踏まえつつ、現状のアフリカの課題について、幅広く取り扱っている本。ただ、悲観的な記述とともに、このようなアフリカの現状を踏まえ、どのような今後・将来のアフリカが期待できるのか、筆者としての「開発」に対す...

「フランス語圏アフリカ」・「資源」をキーワードに、アフリカにおける紛争の現実を踏まえつつ、現状のアフリカの課題について、幅広く取り扱っている本。ただ、悲観的な記述とともに、このようなアフリカの現状を踏まえ、どのような今後・将来のアフリカが期待できるのか、筆者としての「開発」に対する明確な定義が指し示していない点が残念である。

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2020/09/17

日本人にとって心理的にも遠いアフリカ。あまりにカオスで興味すら湧かない。そんな状況を丁寧かつコンパクトに説明してくれる良書。著者は学者だが読みやすく配慮されている。 「統治されない空間が莫大な利益を生む」というのが印象に残った。破綻国家で内戦が相次ぐ状況で収奪や密輸で利益を得てい...

日本人にとって心理的にも遠いアフリカ。あまりにカオスで興味すら湧かない。そんな状況を丁寧かつコンパクトに説明してくれる良書。著者は学者だが読みやすく配慮されている。 「統治されない空間が莫大な利益を生む」というのが印象に残った。破綻国家で内戦が相次ぐ状況で収奪や密輸で利益を得ている集団があるという現実。 そうした集団を利用している多国籍企業や先進国があるという現実。人道主義だけではどうにもならない絶望的な現実を知ることができた。 「世界の成り立ちを知ることができる書」の一冊である。

Posted byブクログ