殉国 新装版 の商品レビュー
旧制中学繰り上げ卒業した少年比嘉の目線での本土決戦の物語です。 とてもつらい話でした。 戦争とは、食料、衛生、寝る場所、水、生死、どこもかしこも追いやられている状況。 今の時代では全く考えられないのですが、吉村氏は過度な愛国心や方向性の違う戦争のとらえ方をした人の言葉をそのまま表...
旧制中学繰り上げ卒業した少年比嘉の目線での本土決戦の物語です。 とてもつらい話でした。 戦争とは、食料、衛生、寝る場所、水、生死、どこもかしこも追いやられている状況。 今の時代では全く考えられないのですが、吉村氏は過度な愛国心や方向性の違う戦争のとらえ方をした人の言葉をそのまま表現しています。 ジャッジしていない、ありのままの言葉。 そこが現代の私たちに深く突き刺さると思いました。
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『羆嵐』『戦艦武蔵』『関東大震災』『海も暮れきる』と、吉村昭の本は色々と読んできた。壮絶な出来事が静かな筆致で描かれており、手に持つ本がひんやりと空恐ろしく感じる。 沖縄出張の帰路、那覇空港の書店で沖縄を舞台にした本が陳列されていたので、読みやすそうなこの本をチョイスした。 ...
『羆嵐』『戦艦武蔵』『関東大震災』『海も暮れきる』と、吉村昭の本は色々と読んできた。壮絶な出来事が静かな筆致で描かれており、手に持つ本がひんやりと空恐ろしく感じる。 沖縄出張の帰路、那覇空港の書店で沖縄を舞台にした本が陳列されていたので、読みやすそうなこの本をチョイスした。 沖縄戦について小説を読むのは初めて。戦争の悲惨さ自体は、高校の修学旅行で当時の方々の話を伺ったり各施設を回った際に見聞きしていたが、15歳の軍国少年から見た沖縄戦というのはとても新鮮だった。少年時代の野望と挫折といった普遍的なテーマが沖縄戦という地獄と混ざり合って、悍ましい読み心地を与えてくる。 主人公の少年は当時の教育をしっかりと受けており、激しい戦闘の中で大量の死を目にして、命の価値がどんどん軽くなってゆくなかで、自分が兵士らしい行動がとれるようになってきたと満足感を抱くようになる。米国に降伏しようとする同胞の死を願うようにさえなる。 凄惨で悲しい物語なのだが、時代の価値観をそのまま飲み込み少年時代を過ごす一人の15歳の物語でもある。 現代日本にいれば戦争なんて歴史の教科書や他国の出来事のようにしか感じられないところだけど、意外と地続きのものなのかもしれないな、と思った。
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前立腺摘出手術の前日、病床にて読了。 配線濃厚な沖縄で15歳の少年(旧制中学3年生)が二等兵として召集を受け、戦場では武器も持たされず碌な任務も任されなかったが、前線の壕から壕へひたすら戦火を逃がれ生き残る姿。 米軍の猛攻を受け、残虐、残酷な描写が限りなく続き、終戦が目に見えてい...
前立腺摘出手術の前日、病床にて読了。 配線濃厚な沖縄で15歳の少年(旧制中学3年生)が二等兵として召集を受け、戦場では武器も持たされず碌な任務も任されなかったが、前線の壕から壕へひたすら戦火を逃がれ生き残る姿。 米軍の猛攻を受け、残虐、残酷な描写が限りなく続き、終戦が目に見えている段階での悲惨な戦争の現実を教えてくれる。 吉村昭、日本人必読書の一つ。ただし手術前の病床にはふさわしくない。
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沖縄戦の生々しい戦闘。 生に向かう戦闘なのか、死への序章なのか、向かうべき先を見失う。 吉村昭のノンフィクションはスゴイ。そう思わせてくれる作品ばかりだが、この作品もその一つ。 戦争には、エゴや本能としての生、そして腐乱する死というものがある。 極端過ぎれば例えノンフィクション...
沖縄戦の生々しい戦闘。 生に向かう戦闘なのか、死への序章なのか、向かうべき先を見失う。 吉村昭のノンフィクションはスゴイ。そう思わせてくれる作品ばかりだが、この作品もその一つ。 戦争には、エゴや本能としての生、そして腐乱する死というものがある。 極端過ぎれば例えノンフィクションと言えエグすぎて読めないとなる人もいる。 この作品にも本当にあった火炎放射や戦車で馬乗りされるシーンもあるのだけど、その惨さは読んだ後になってありありとわかる…読んだ後だから読めてしまう、でも書いてあることは本当にスゴイ事実。 沖縄戦がいかに酷かったかはしらない人はいないと思うけれど、少年が急拵えの兵隊にされ移ろい行く心情が少年と背伸びの兵隊の両側面からしっかりと描かれている。 鎮魂の意味も込めて、そして今起こっているウクライナの戦争に、思いを馳せている。
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太平洋戦争末期の沖縄戦を14歳男子の視点から綴る記録文学。 なんの疑念も持たない愛国心、忠誠心を育んだ軍国主義教育の結果、人の死になんの感慨も湧かなくなる過程...。虱、虱、蛆、蛆、蛆...。目を背けたくなる描写の数々...。後世に残すべき一冊。
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14歳の少年が目撃した沖縄戦。 吉村氏の取材力によって、壮絶な沖縄戦の実態がノンフィクションのように描かれる。 鉄血勤皇隊と国のために奉仕、死もいとわない少年たち。 一人でも多くの米兵を殺し、生き恥をさらさずに死ぬ、純真な心はそれを当然のこととして、強く思い、願う。 しかし...
14歳の少年が目撃した沖縄戦。 吉村氏の取材力によって、壮絶な沖縄戦の実態がノンフィクションのように描かれる。 鉄血勤皇隊と国のために奉仕、死もいとわない少年たち。 一人でも多くの米兵を殺し、生き恥をさらさずに死ぬ、純真な心はそれを当然のこととして、強く思い、願う。 しかし、戦況が悪化するにつれ、友人や沖縄の市民の死を目撃するにつれ、非日常であるはずの「死」が日常のものとなり、何の感慨ももたなくなってしまう。 風化させたくない沖縄戦の実相。 あの場所で何が起きたのか。 読み継がれるべき本だと感じた。
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2021.06.10.読了 太平洋戦争を題材にした作品はこれまで何冊も読んできた。いつも思うが点数なんてつけられない。 想像を絶する悲惨さはどの作品も同じだ 私は時々、宇宙ってどうなってるの?と考える。 宇宙って太陽があって、月があって、地球があって、その他数々の星があって。。...
2021.06.10.読了 太平洋戦争を題材にした作品はこれまで何冊も読んできた。いつも思うが点数なんてつけられない。 想像を絶する悲惨さはどの作品も同じだ 私は時々、宇宙ってどうなってるの?と考える。 宇宙って太陽があって、月があって、地球があって、その他数々の星があって。。。。宇宙の果てってあるの?と。 そんなことさえわからない巨大宇宙の中の小さな小さな星、地球でたまたま巡り合った人間たちは戦争をやめない。環境を悪化させ、資源を掘りまくって、競って原爆を作り威嚇しあって。本当に人間って馬鹿みたい。 そして、いつも犠牲になるのは弱者ばかりだ。 この作品が語る沖縄の惨状はたった76年前の出来事だ。ほんの最近。ぜったいにぜったいに繰り返してはならない。そのために絶対に忘れてはならない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
当たり前のように、国のために死んでいく者たち。 そんな嘘のような時代が、日本にも確かにあった。 考えられないという言葉しか出てこない。 本書は、戦争の凄まじさを如実に物語っている。
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1945年8月15日の終戦の日から75年が過ぎた。 同年6月23日は沖縄戦終結の日。 例によって吉村昭氏の徹底した取材に基づく「鉄血勤皇隊 比嘉真一陸軍二等兵 わずか14歳」の物語。70年以上前の沖縄戦という史実を知るという意味において、日本人として読むべき小説と言っても良いので...
1945年8月15日の終戦の日から75年が過ぎた。 同年6月23日は沖縄戦終結の日。 例によって吉村昭氏の徹底した取材に基づく「鉄血勤皇隊 比嘉真一陸軍二等兵 わずか14歳」の物語。70年以上前の沖縄戦という史実を知るという意味において、日本人として読むべき小説と言っても良いのではないかと思いました。
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【小柄な14歳の少年兵がその目で見たものは―。】「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」陸軍二等兵として祖国の防衛戦に参加した比嘉真一。その体験を通し沖縄戦の凄まじい実相を描く長篇。
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