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恋する弟子の節約術 の商品レビュー

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2020/07/24
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※このレビューにはネタバレを含みます

伏線の張り方が凄かった。 確かに冒頭に「全て想定内」と言ってはいたが、主人公は分かっていたんだなと。 初恋相手が何故主人公のことを思い出せなかったのか、主人公が極端に多くを望まない理由などなど、段々と明かされる秘密に「ああ、だからこういう書き方していたんだな」と後からびっくりさせられること多数。 構成がうまい。 幻香師という職業も細やかに練られていて、素敵な職業に思えた。 実際はクレームも多いのだろうが。 自分が実際に身に着けているお守りの力を信じてみたい、そんな気にさせてくれる話だった。 そう、主人公が彼のことを「魔法使い」だと信じてきていたから、彼も救われたことが多々あった。 信じる力は、こちらが思っているより遥かに強大な力になるのだろう。 一つ一つのエピソードも本当にしっかり練られていて、どれも印象的。 そんな中、柊木なる人物の活躍が少ないなと思っていたら、最後の最後でやらかしてくれて「やっぱりな」と無駄のない人物配置に拍手。 こいつがまた平気で嘘を吐くえげつない野郎だったという。 利用するものは利用して、不必要になったらポイ捨て。 うん、でもこういうキャラがいてこそ、あの展開があってこそ、ヒーローの活躍が目立つ。 主人公が抱えていた最大の悩み。 それを解決するのはヒーローの純粋なる願いだったのが感動的で思わず泣けた。 「頼む、信じてくれ。魔法にかかってくれ」 この言葉で涙腺が大決壊。 ここまで彼が積み重ねてきたものがあったから余計にぐっと来た。 その魔法にかかった場面がまた非常に美しくて幻想的で綺麗で、とにかく印象的。 あのシーンを拝めただけでも読んだ甲斐はある。 だだ漏れだった恋心には決着がつかなかったが、主人公の幻香師の弟子としての修行はこれからも続く。 目指せ、稀代の幻香師! これまで我慢してきた分、思う存分自分の幸せを願ってくれと切に思う。 この主人公、貧乏暮らしが長いせいで非常に逞しい。 オオバコもタンポポも彼女にかかれば立派な食材になる。 節約、野草料理はお手の物。 家事は無論バリバリこなす。 いい嫁になるぞ、これは。 金銭感覚麻痺しているお坊ちゃまなヒーローにはぴったりな相手だ。 末永くお幸せに、というのは早い祝福だろうか。

Posted byブクログ