サザエさん 漫画(第二十巻) の商品レビュー
もはやサザエさんを読む事が「癒し」になってしまった。ぼくは「サザエさん」連載時の世相を知らないので、まったくノスタルジーを本作から感じるはずはないのだが、しかしどうやら感じているらしい。この不可思議さの源泉はなんだろう。 おそらくそれは、ぼくの身近な人間、具体的にはサザエさんと同...
もはやサザエさんを読む事が「癒し」になってしまった。ぼくは「サザエさん」連載時の世相を知らないので、まったくノスタルジーを本作から感じるはずはないのだが、しかしどうやら感じているらしい。この不可思議さの源泉はなんだろう。 おそらくそれは、ぼくの身近な人間、具体的にはサザエさんと同世代人である祖母のバッグボーンに「サザエさん」的なものを感じていたからであろうと思う。 時間の流れは神秘的なもので、一人一人の体内にそれぞれの時間が流れている。祖母の体内で流れている時間を、当然ぼくは感じることはできないはずだが、なんとなく嗅ぎ取ってしまう。 その力が「サザエさん」の描写に現れているのだろう。これは「サザエさん」が傑作たる所以だと思われる。 世代の違う人々の時間を「顕在化」させるパワーが本作にはあるのだ。
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