ドクターM の商品レビュー
医療に関連する8つ短・中編が収録されているが、どれも非常に楽しめた.「エナメルの証言」は焼死体の鑑定で歯が決め手であることを鍵ととして実在人物と死体を入れ替える話だが、栗田の完璧な技術と裏腹に師匠・高岡の杜撰処置が暴力団員・蛸島の目論見をおじゃんにしてしまう.「嘘はキライ」では水...
医療に関連する8つ短・中編が収録されているが、どれも非常に楽しめた.「エナメルの証言」は焼死体の鑑定で歯が決め手であることを鍵ととして実在人物と死体を入れ替える話だが、栗田の完璧な技術と裏腹に師匠・高岡の杜撰処置が暴力団員・蛸島の目論見をおじゃんにしてしまう.「嘘はキライ」では水島道彦の特技が教授選定競争で生かされ、内部人材が予想外の展開で採用されるというどんでん返しが楽しめた.「第二病棟の魔女」は少し長い作品で、魔女の正体・キリコと看護師・只野さやかの行動が冗長だったが、最期にベテラン看護師舘野の秘密が判明し、にやりとできた.「人格再編」は実現できてほしくない脳の改造の話だが、他人の記憶を植え付けられるのは御免だ.「人魂の原料」は理論的な推論で人魂の作製方法を突き止める天久鷹央の破天荒な行動が楽しめた.「小医は病を医し」は角谷が自分の罪を最後に告白するまでのストーリーが秀逸だった.「解剖実習」は献体者の過去と医学生・久美との関連が不気味な感じの話だ.「厨子家の悪霊」は重厚なストーリーが展開されるが、登場人物が異様で二転三転するストーリーがやや冗長だった.
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※このレビューにはネタバレを含みます
海堂尊「エナメルの証言」。 歯科医師の仕事。手先が器用で処置はうまいが患者扱いがどうにもダメなドクター、死体の歯科処置をする。 先の展開はすぐにわかるが、発想が面白い。 これが一番だったかな。
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海堂尊さんの作品は今までチームバチスタシリーズや玉村警部補のシリーズを読んできた人にはすごく嬉しい話で、登場人物だけでもすごく楽しめる内容でした。篠田節子さんの人格再形成の話は近未来で本当に起こりうることでもあるかと。人魂の話も面白かったし、医療が関わるミステリーはすごく楽しく、...
海堂尊さんの作品は今までチームバチスタシリーズや玉村警部補のシリーズを読んできた人にはすごく嬉しい話で、登場人物だけでもすごく楽しめる内容でした。篠田節子さんの人格再形成の話は近未来で本当に起こりうることでもあるかと。人魂の話も面白かったし、医療が関わるミステリーはすごく楽しく、ドキドキします。このアンソロジーを元に著者さんたちの他の作品も読んでみたいと思いました。
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ありそうでなかった8人の作家による医療ミステリーのアンソロジー。 海堂尊、久坂部羊などの医療ミステリーの代表格や、最近人気の知念実希人の安定の病院ミステリーから、脳内にチップを埋め込むことで人格を変えてしまうという、少しSFっぽい話があったりで、アンソロジーだけど、ほとんどが中編...
ありそうでなかった8人の作家による医療ミステリーのアンソロジー。 海堂尊、久坂部羊などの医療ミステリーの代表格や、最近人気の知念実希人の安定の病院ミステリーから、脳内にチップを埋め込むことで人格を変えてしまうという、少しSFっぽい話があったりで、アンソロジーだけど、ほとんどが中編で読みごたえがあった。 うち3作が既読であったはずなのに、全く覚えていない・・・ 大好きな近藤史恵の既にシリーズ終了となった「キリコ」シリーズの記憶がなかったことがとてもショック・・・ それでも最近は読まなくなった篠田節子や新津きよみなどを久しぶりに読めたのは、アンソロジーならでは。 他の方のレビューにもあったが、やはりダントツで新津きよみの「解剖実習」が面白かった。 ラストの山田風太郎だけ初読みだったが、時代背景のせいか文章も読みにくく、二転三転する証言についていけなかった。ラストにこの話はちょっときつかったかな。
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色んな作家の作品があるので、作品ごとに好き嫌いはわかれる。 海堂尊の「エナメルの証言」は面白かった。なるほど、実際にそんな商売は存在するのかも‥と。 反対に、長岡弘樹の「小医は病を医し」と新津きよみの「解剖実習」は好きではなかった。
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医療ミステリー好きには贅沢なラインナップではあるが、シリーズものをおさえてないと楽しみが半減してしまうかも。中でも長岡弘樹さんの作品は短いお話でここまで盛り込めるのかと思わず唸ってしまった。すごい。 ラストの山田風太郎さんは文章が馴染めずあえなく挫折。。。新しい作家さんを発掘でき...
医療ミステリー好きには贅沢なラインナップではあるが、シリーズものをおさえてないと楽しみが半減してしまうかも。中でも長岡弘樹さんの作品は短いお話でここまで盛り込めるのかと思わず唸ってしまった。すごい。 ラストの山田風太郎さんは文章が馴染めずあえなく挫折。。。新しい作家さんを発掘できるかとワクワクしていたけれど残念だった。
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近藤史恵さんと新津きよみさんの作品が、続きが気になりとても引き込まれた。 医療ミステリーを読むのは初めてだけど、面白いジャンルなのでこれから読みたいと思う。
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医療ミステリーアンソロジー。どれもひねりを出してる短編集。ずば抜けて面白いのはないけど、悪くもない。 近藤史恵と新津きよみのがまあまあだった。
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タイトルには「ドクター」の文言が入っているので、医師が主役となる作品かと思いきや、掲載作品は広い意味での医療系ミステリーアンソロジー。 海堂尊は玉村警部補の作品。シニカルな主人公と桜宮サーガの馴染みのキャラクター達が繰り広げるファンならニヤニヤする作品。 久坂部羊は、嘘をついてい...
タイトルには「ドクター」の文言が入っているので、医師が主役となる作品かと思いきや、掲載作品は広い意味での医療系ミステリーアンソロジー。 海堂尊は玉村警部補の作品。シニカルな主人公と桜宮サーガの馴染みのキャラクター達が繰り広げるファンならニヤニヤする作品。 久坂部羊は、嘘をついているのが分かるという特殊な能力をもった総合病院勤務の内科医が、母校の大学病院前の時機教授選挙に巻き込まれる話。 近藤史恵は、清掃人探偵キリコからの作品で、総合病院の小児科入院病棟で奮闘する新人看護師のどこかほっこりとしたお話。 篠田節子は、近未来的内容なのにリアリティありありで流石な内容。 知念実希人は、天久鷹央シリーズからの1編。キーポイントは若手看護師。 長岡弘樹は、短編なのに内容の濃い傑作。この本では一番良かったかも。 新津きよみは、ひねりが効いたナイスな一編。 そしてラストの山田風太郎。流石に隔世を感じる内容だがあっと驚くどんでん返し。 コロナ禍の2020年に編纂され、書き下ろし作品は無いが、初読の作家に出会えるのがアンソロジーならではの楽しみ。
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8にんの作家による、医療に纏わるアンソロジー。 海堂尊『エナメルの証言』、近藤史恵『第二病棟の魔女』、知念実希人『人魂の原料』は、それぞれの作家のシリーズの一遍。 篠田節子『人格再編』は、好ましくない人格を変えてしまう近未来にあり得るかもしれない医療法を扱ったSF。 『小医は病を...
8にんの作家による、医療に纏わるアンソロジー。 海堂尊『エナメルの証言』、近藤史恵『第二病棟の魔女』、知念実希人『人魂の原料』は、それぞれの作家のシリーズの一遍。 篠田節子『人格再編』は、好ましくない人格を変えてしまう近未来にあり得るかもしれない医療法を扱ったSF。 『小医は病を医し』の長岡弘樹は、警察小説で名を馳せたが、解説を読むと、デビュー時から医療小説を扱っていたよう。 新津きよみ『解剖実習』は、進むにつれて視点を変えて行き、読者のミステリー感を刺激する。
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