中小企業の新・幸福経営 の商品レビュー

近藤宣之(著者)

2021/10/04

倒産寸前の会社を改革し、26年連続黒字を達成。株式会社日本レーザーを優良企業に導いた同社会長が、再建のカギとなった「人を大切にして利益を上げる経営」のノウハウを明かす書籍。

人口減少と少子高齢化が進行する中、「会社のあり方」は変わっていく。すなわち、会社の存在意義は、労働の対価として金銭報酬を支払う場だけではなく、働く人に「やりがい、成長する喜び、自己実現」を提供する場となる。企業はこの現実を受け入れ、転換しないと生き残れない。

日本レーザーは「人を大切にして利益を上げる経営」に徹することで業績を上げた。この経営には、頑張ればきちんと利益の上がるビジネスモデルと経営戦略が必要である。
同社は「大企業とは競合しない」「すべてを自社でやらない」などの判断基準を設けた上で、多角化戦略を進めている。

同社の「人を大切にして利益を上げる経営」は、8つの要素からなる。その要素とは、例えば次のようなもの。
・賃金と評価：
年功序列の賃金体系をとらない。毎期の努力や成績によって年収は変わる。
・人事労務：
多様な雇用形態があり、社員の都合に合わせてフレキシブルに仕事ができるようにしている。
・教育：
売上の1％を教育・研修費に充てている。

①賃金と評価、②人事労務、③採用、④教育、⑤組織、⑥リーダーシップとコミュニケーション、⑦財務、⑧後継者育成と事業承継

企業が持続的に成長するには、優秀な人財を採用することが必要。同社の採用戦略には、例えば次のような特徴がある。
・ジョブ（職務）型採用：
職種やポストなどの要件を明確に定め、それに合ったスキルや経験をもつ人を採用する。
・転職採用：
大企業出身のキャリア人財を積極的に採用する。
・能力よりも理念採用：
実務能力よりも、「理念（クレド）への共感度」を重視する。