ざらざらをさわる の商品レビュー
文章の全体から丁寧さが伝わってくる。 この文章は、一度自身の心を経由してから湧き出た言葉を書き出し、自分のイメージに近い感触の言葉を丁寧に探り当てながら推敲しているように感じた。だからこそ、輪郭のはっきりしない部分(表現しづらい部分)の魅力をこんなにもはっきりと表現できているの...
文章の全体から丁寧さが伝わってくる。 この文章は、一度自身の心を経由してから湧き出た言葉を書き出し、自分のイメージに近い感触の言葉を丁寧に探り当てながら推敲しているように感じた。だからこそ、輪郭のはっきりしない部分(表現しづらい部分)の魅力をこんなにもはっきりと表現できているのだろう。
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三好さんのイラストのような黒い目がそこにじっとあるような文体だった。 個人的には蟹の話が一番好き。 蟹の身を「ささくれの集合体」と記すところが面白いと思った。 カバーの触り心地も「ざらざら」していて、こだわりを感じた。
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ほっこりした文体のようで、何か核心をつくような、ゾッとするようなことを言っているエッセイだと思った。 各エッセイももちろん面白いけど、その後に添えられたイラストもまた楽しめた。
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この本の表紙のようなイラストが三好愛さんの画風なんですね。 美大にいっているのに、人の顔などがリアルに描けないと自他ともに認めているようです。 1つのエッセイに、もやもやっとした1つのイラストが添えられています。 イラストを見て感じられることがエッセイとして綴られているとも言え...
この本の表紙のようなイラストが三好愛さんの画風なんですね。 美大にいっているのに、人の顔などがリアルに描けないと自他ともに認めているようです。 1つのエッセイに、もやもやっとした1つのイラストが添えられています。 イラストを見て感じられることがエッセイとして綴られているとも言えます。 タイトルの「ざらざら」って何?と気になりますが、今までの経験だそうです。 「なめらか」には進めなかったけれど、とんでもない「でこぼこ」でもなかった。 しいて言えば「ざらざら」といった感覚。 「ざらざら」という言葉で表現しちゃうところが芸術家ならではですね。 はっきりと何であるか表せないけど、気のせいではなく確かに感じたもの、その時の気持ちが伝わって来ます。 このようなほんのりとしたエッセイには、13×17という本のサイズは似合っていて、なかなか良いなと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
川上弘美さん『某』、伊藤亜紗さん『どもる体』など、一度見たら忘れられない、ふわりもわりとした生き物の絵を描くイラストレーター・三好愛さんの哲学味を帯びたエッセイ&イラスト集。 イラストから受ける印象そのままの文章の方でした。 日常の些細な違和感を流すことなく受け止め、自分の中で大切に留めておいて、それを他者に理解できるように、ちゃんと言語化できる人なんだな、と。 最初の方のエッセイはまだこなれていない感じで、幼子がトコトコと歩く姿を眺めているハラハラ感があるけれど、稿を重ねるにつれ、だんだんと筆が乗ってきてるように思う。←偉そう。 『ひとりでしゃべる』は、こんなことやってるの私だけかと思っていたので、驚きを隠せない。 感想/ イマジナリーフレンドとはまた、違う、でも全く遠くなくはない、どちらかというと、「亡くなった、もう会えない人と心の中で話す」に、近いのかも。 過去に交流があって、もう一生会わないであろう人って、自分にとって、生きているような死んでいるような、生者というより幽霊に近い立ち位置になっている気がする。 私とはまるで関係のないところで、生活しているだけなんだろうけれど。 『つながらないと』は、自分の不安に思っていたことを、そのまま三好さんに言語化してもらった気分。 感想/ インターネットによって、ずっとつながってる気分がするのは、心強さと、心弱さが同時にある。 「自分の毎日から孤独がなくなってしまい、ついでに物語もなくなっていきました」p108 孤独な時間というものを、自分ひとりで愉しめていたのに、いちいちネットを覗く人になった自分は、あまり心地好いものではない。 今だって、つながろうと、必死で言葉を紡いでいる。 ネットって不思議ですよね。 画面の向こうにいるのは人間のはずなのに、”人間味“が抑えられてて、テキストだけのやりとりだけで、想像を膨らませたり、膨らませなかったり。 個人的には「本を読むのと現実で対面するのとの中間」だと思ってます。 まあ、現実で対面したら、こんなこと喋らない(喋れない)な、と、いうのもあります。 ネット書店で買ったら、帯が付いてて、帯文が大好きな岸本佐知子さん!ラッキー!表紙もざらざらしていて触っていると安心する、私にとって心地好い本でした。
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「怪談未満」がとても良かったのでさっそく取り寄せてみた。現実との間にある異和を、やり過ごしはしたけど腑には落ちていません…みたいな話がどこか遠いとぼけた文章で語られている。好き。 ぼんやりとぼけた語り口なのでするっと読めてしまうが、よくよく考えるとけっこういやな目にあっている話が...
「怪談未満」がとても良かったのでさっそく取り寄せてみた。現実との間にある異和を、やり過ごしはしたけど腑には落ちていません…みたいな話がどこか遠いとぼけた文章で語られている。好き。 ぼんやりとぼけた語り口なのでするっと読めてしまうが、よくよく考えるとけっこういやな目にあっている話が多い。空き巣が入ったり、タンメンにコバエがたくさん入っていたり。 「怪談未満」の時にも思ったけれど、抜群にサイズ感が良い本。少しがっかりした気分の時に手に取ったりすると良いかもしれない。
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日常の見逃していた些細な感覚や違和感を拾い上げ、うまく言葉にしてくれる。息抜きによみたくなるような本。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
さくらももこさんのエッセイ本以来 久しぶりに声を出して笑った本。(特に最後の方) 三好愛さんのことは元々、イラストレーター三好愛として認識していた。本の装画がとても好きで楽天のお気に入りに長らく入っていたのだが、今回エッセイ本出版を機に購入した。 自分がなにかを表現する意味。 創造意欲、自己表現欲がドバァっと溢れすぎないように、気持ちを引いたり出したりすること。 苗字の話は特に興味深く、なかなか心がジリジリと動いた。 ’’気持ち"というふわふわ掴みどころのないものが、三好さんの言葉によって少しずつ具現化されていく様が、とても面白く、自分もわかるなぁと思う部分が多かった。 それぞれの話の後につくイラストが、三好さんの頭と心を一緒にのぞいているようで、微笑ましく、少し寂しい気持ちを感じた。 また、三好愛さんご自身がかなり面白い感性を持った人間であった。
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繊細な感受性と、キャッチした何かを咀嚼し言葉で表現する技術。 自分になくて、あればいいのになと願う美しい表現が文章という形でそこにありました。 「私も、みんなも、どうしようもなくわかりあえないまま、今日を元気に生きています。」 さらっと読めるのに、ところどころ残る。 彼女の体験は...
繊細な感受性と、キャッチした何かを咀嚼し言葉で表現する技術。 自分になくて、あればいいのになと願う美しい表現が文章という形でそこにありました。 「私も、みんなも、どうしようもなくわかりあえないまま、今日を元気に生きています。」 さらっと読めるのに、ところどころ残る。 彼女の体験は彼女のものなのに、自分の過去の忘れていた記憶が蘇る。 ああ、たしかにあのとき、わたしはそんなふうに感じたな、と。 「呪いの先に」は、増田ミリさんの「どうしても嫌いな人」を思い出しました。どこにでも呪いをかける人はいます。 途中で気になってたまらず、著者の生年月日を調べにいってしまいました。わからなかったけど、たぶん調舒星。戌亥天中殺もあるかも。敏感さを大切に、強みにしている好例だと思いました。 こういうエッセイを、また読みたい。
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かわいい、不思議な生き物たちを描くことの多い、イラストレーター三好愛さんのエッセイ集。 以前、個展でお会いしたとき、川上弘美さんが好きで、川上さんの「某」の装丁画の仕事は本当にうれしかったと聞いた。「ざらざら」という川上さんの本があるが、おそらくそこから引用されたタイトルかと思...
かわいい、不思議な生き物たちを描くことの多い、イラストレーター三好愛さんのエッセイ集。 以前、個展でお会いしたとき、川上弘美さんが好きで、川上さんの「某」の装丁画の仕事は本当にうれしかったと聞いた。「ざらざら」という川上さんの本があるが、おそらくそこから引用されたタイトルかと思われる。 三好愛さんの絵が描かれている本、音楽、そうしたものはなんだか不思議でふわっとした、そんな内容のものが多くて好きだ。どこか、寂しく、うまく世の中に交われないような不思議なものたち。でもどこか愛おしくてかわいい。 誰かの作品にそっと寄り添うように描かれる挿画や表紙絵は、誰かの表現をより親しみやすく柔らかいものにして、私たちの手元に運んでくれている。三好さんの人柄が感じられる、優しいエッセイ。
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