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ぜんぶ本の話 の商品レビュー

3.9

31件のお客様レビュー

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2024/03/26

いやいや、お二人を作りあげた愛しい本たち、あまりに私の好みと合致していて、読んでいる間は感動の連続だった。楽しかった! ちょっと昔の岩波少年文庫をイメージさせる本のカバーも嬉しい。 池澤夏樹が福永武彦の息子だったというのは、初めて知った。そして、最後に紹介された母・原條あき子の作...

いやいや、お二人を作りあげた愛しい本たち、あまりに私の好みと合致していて、読んでいる間は感動の連続だった。楽しかった! ちょっと昔の岩波少年文庫をイメージさせる本のカバーも嬉しい。 池澤夏樹が福永武彦の息子だったというのは、初めて知った。そして、最後に紹介された母・原條あき子の作った練馬区立大泉第二中の校歌が素晴らしい!この学校で学ぶ生徒たちがうらやましい。

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2023/08/17

私も相当本を読んでいた幼年時代だったけれど、思っていた以上に海外作品に触れていなかったのかも あと同じ本を繰り返し読む子供だったからでもある というように自分の幼い頃の読書の記憶を辿りたくなる本である

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2022/10/11

知らない本についての話が大半な中、たまに読んだことがある本が出てくるとテンションが上がる。 結局一番印象に残ったのは、池澤夏樹先生が村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』に科学的な嘘があると指摘したところ。 『満州の真ん中で井戸の底に落ちた男の話が出て来る。井戸に落ちた男が絶望してい...

知らない本についての話が大半な中、たまに読んだことがある本が出てくるとテンションが上がる。 結局一番印象に残ったのは、池澤夏樹先生が村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』に科学的な嘘があると指摘したところ。 『満州の真ん中で井戸の底に落ちた男の話が出て来る。井戸に落ちた男が絶望していると、真上から日が差す。そういう描写がある。「それで少し希望が湧いてきた」と。だけどね、満州で井戸の底に日が差すことはあり得ないんだ。地球の形を考えればわかる。北回帰線から北にある土地で、そんな現象は起こらない。』 いや細かいわ!と思う反面「そういう細かいところが気になってもいいんだ」という肯定を得たような気になった。私もいい加減な所があると気になりやすいタチなんだけど、本筋ではないところに引っ掛かる自分は受け手として未熟なのではないか、もっと大らかな読者(時に観客)にならなければいけないのではと思ってしまうときがあるので。 でもどこを面白く感じるかどこに引っ掛かるかなんて自由だよ、天下の池澤夏樹先生なんてこんなに細かいんだぜ?と思っていくことにする。

Posted byブクログ

2022/07/26

本が好きな父娘が本について語り合う。ただそれだけなのに面白い。ただそれだけだから面白い。 児童文学から始まり、SFやミステリへと。物語の面白さが溢れ出す。正直自分とは本の好みは違うけど、だからこそ面白いのかも。 さあ本を読んで本を語ろう。

Posted byブクログ

2022/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

父と娘の本に関する対談。 羨ましい。 私も、読んだ本について思う存分語り、読んでない本について存分に語られているつもりで、つまり第3の話者のつもりで読みました。 もう本を読みながら心の中で語る、語る。 だって児童文学、少年文学、SF、ミステリ、好きなジャンルの本ばかりなんですもの。 比較的少年文学は読んでいないけれど。 私はイギリスの文化(小説、音楽、映画)が好きなのですが、児童文学というのは圧倒的にイギリスが多いのだそうです。 なるほど、子どもの頃イギリスの児童文学を読みふけった結果、すり込まれたんやな。 物心ついた時から周りには本が当たり前にある環境で育った娘は、留学していた時、段ボール箱1箱分の本を持って行った。 それっぽっちの本、すぐに読み終わってしまう。 そうしたら、そのあと読む者もなく、どうしたらいいのだろうと恐怖だったと。 (実際には体調不良で途中で帰国したようですが) 私は、家に本がふんだんにはなかったので、何度も何度も同じ本を読んで育ちましたから、多分一通り読み終わったら最初から読みなおすね。 何の恐怖もなく。 最強の読書人親子だと思いますが、実は彼らは翻訳物の児童小説で育ったので、日本の者をあまり読んでいない。 それは私もわかる気がする。 昔風の言い回しが今も残る近代の日本文学より、今の言葉で訳してくれている翻訳物の方が断然読みやすかったし、遠い世界の風物を想像する楽しみもあったり、何より日本の小説は(児童文学も)辛気臭くて説教臭くて貧乏ったらしいものが多かったので。 でも、池澤夏樹は「何が面白いの?」と切って捨てた『次郎物語』は、私すごく面白く読めたんだよねえ。 それに出て来る無計画の計画は、今も私の行動指針だ。 だから感想なんてものは人それぞれなんだよね。 読みながら心の中で大いに語っていたので、多分私の血液はふつふつと煮えたぎっていたと思います。 そのくらいエキサイティングな読書でした。 ああ、楽しかった。 でも本当はリアルでこういう話をしたいんだよねえ。 だれか誘ってくれないかなあ。←自分からは出て行けない小心者

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2022/06/07

読書は競わない。読んだ本の数だとかスピードだとかはどうでもいい。面白い本を読んだら、話し合いたいし、薦めたい。年齢も関係ない。同じ本でもそれぞれで読み方が違う。そして本読みはいつも本に飢えている。  だから寄ると触ると「何か面白い本読んだ?」「これ良かったよ」と薦めあう。今ではお...

読書は競わない。読んだ本の数だとかスピードだとかはどうでもいい。面白い本を読んだら、話し合いたいし、薦めたい。年齢も関係ない。同じ本でもそれぞれで読み方が違う。そして本読みはいつも本に飢えている。  だから寄ると触ると「何か面白い本読んだ?」「これ良かったよ」と薦めあう。今ではお互いの専門ジャンルも違うので、相手がアンテナを張っていないであろう、でも絶対に好きだと思う本を見つけると、やった!と得意になる。とても平和的で建設的。 と、池澤春菜は「まえがき」で書いている。 この時娘は45歳。えっ!?いつの間に‥‥。私は30代のエッセイストだと思っていた。彼女の半生語りを聴き、なおかつ調べると、声優から始まって、歌手、女優、エッセイ、SF書評(え?日本SF作家クラブ会長なの?)、最近は匿名でアニメ脚本まで書いているとな。本書では、翻訳もやりたいし、小説も書きたいと宣言している!知らなかった。かなり活躍している。よその家の子どもの成長は速い。 池澤夏樹は、娘と「すべて本の話」をテーマに児童文学、少年文学、SF、サスペンス、チョロリと時代小説などを縦横に語る。聴いていると、娘の守備範囲にかなり寄り添っている。放任主義で育てたらしいけど、溺愛しているのが丸わかりだ。流石に俎上にあげた本は200冊弱「しか」ないけど、池澤夏樹もほぼ読んでいる。そして、池澤春菜じゃないけど、付箋紙貼りまくり、参考になる本は以下の通り。 ⚫︎ 『ムーミン谷の彗星』『ムーミンパパ海へいく』は、案外狂気の世界。 ⚫︎ ヴェルヌの小説にはどれもひねりがある。たとえば『八十日間世界一周』(以下は省略) ⚫︎ 『星の王子さま』でよく問題になるのが、キツネを「飼いならす」という箇所だよね。 Apprivoiserという動詞について。(以下は省略) ⚫︎金原水端訳、宮崎駿絵の『水深五尋』(ロバート・ウェストール、岩波書店)。 ⚫︎ 『モービー・ディック・イン・ピクチャーズ』(スイッチパブリッシング刊行)という本、知ってる?  『白鯨』を各ページごとに文章を一部抜き出して、残りをイラストで埋める、それを全ページでやった大作でね。翻訳は柴田元幸。←これはついポチッてしまった。もうすぐ届く。 ⚫︎「テセウスの船問題」からSFの中の「魂」問題を扱った本に、トマス・ピンチョンの「V」、「歌う船」、カレル・チャペックの『 R. U. R』、『ブレードランナー』などに話が及んでゆく。 ⚫︎ クリスティについて今でもよく議論されるのは、『アクロイド殺し』はフェアか否かという話だよね。(以下は省略) 等々‥‥とっても楽しい! でも、さらっと読書の真髄も語っている。 ⚫︎ 読書って自分自身は本に向かって開かれているんだから自閉ではないんだよ。(略)本を読みふける子どもを、親は信じていい。本とのつきあいはこちらの主体がいる。そこがゲームとは違う。 さらにいえば、池澤夏樹も池澤春菜も、本書で初めて「自分語り」をしている。 特に、私は池澤夏樹と福永武彦とのちょっと複雑な親子の歴史を初めて知った。池澤夏樹は『塩の道』という詩集以外は、福永の存命中には何も書かなかったらしい。夏樹はいう。「作家としての自分は、好きなものをほぼ好きなように書いてきた。福永武彦から直積的な影響は受けていない。でも作家が一人身近にいたことで、そういう人種がどんなふうに暮らすのか、書く前から想像はついていた。そういう意味での影響はあったと思う」距離を置きながらかなり意識している。 娘の春菜も父の夏樹を「あとがき」で冷静に分析していた。 「池澤夏樹の魅力は世界との距離感だ。中ではない、外でもない。中と外の境、境界、波打ち際。端っこから世界を見ている。中にいては見えないものを見ようとする。それはたぶん、灯台守とか、船の不寝番のような、ひとりだけの孤独な場所だ。だけど、中にいては見えない美しいもの、離れすぎては気づけない愛しいものを見ることができる場所でもある。」 池澤一族3代のかなりレアな話もある、思った以上にお得な一冊だった。 2022年6月5日読了

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2022/04/27

池澤夏樹・春菜の父娘が本と読書について語った対談を文章化したもの。児童文学・SF・ミステリーなど、いままで読んできた本が多数紹介させている。そのほとんどが海外作品だったため、始めは読み進むのがシンドかったが、第六章『謎解きはいかが?(ミステリー)』以降で、知っている作品が出て来て...

池澤夏樹・春菜の父娘が本と読書について語った対談を文章化したもの。児童文学・SF・ミステリーなど、いままで読んできた本が多数紹介させている。そのほとんどが海外作品だったため、始めは読み進むのがシンドかったが、第六章『謎解きはいかが?(ミステリー)』以降で、知っている作品が出て来てからは、スイスイ読み進むことができた。なので、☆3です。

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2022/04/12

書評集付録で対談を読んだことがあったけど、本作は純粋に親子二人の対談本。自分もその場に居合わせて、一緒に読書論を交わし合ったような気分を体験できる。内容がちんぷんかんぷんだとそうはいかないけど、本書はちょうど良い感じ。本好き同士の話は面白い。そして、父・夏樹氏の発言から引いたこの...

書評集付録で対談を読んだことがあったけど、本作は純粋に親子二人の対談本。自分もその場に居合わせて、一緒に読書論を交わし合ったような気分を体験できる。内容がちんぷんかんぷんだとそうはいかないけど、本書はちょうど良い感じ。本好き同士の話は面白い。そして、父・夏樹氏の発言から引いたこのフレーズに、自分の感想は集約される。

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2022/03/27

たまたま書評っぽい本を2冊続けて読んだ 池澤夏樹と池澤春菜の父娘対談 語り下ろしだから話言葉で記されててそこがちと読みにくい 恩田陸の本の話は活字を雑食しまくりな感じが滲み出るけど、こちらは本を評価対象として距離感保ちつつ論評していく 所々酷評もあり、現役作家に関する箇所は大丈夫...

たまたま書評っぽい本を2冊続けて読んだ 池澤夏樹と池澤春菜の父娘対談 語り下ろしだから話言葉で記されててそこがちと読みにくい 恩田陸の本の話は活字を雑食しまくりな感じが滲み出るけど、こちらは本を評価対象として距離感保ちつつ論評していく 所々酷評もあり、現役作家に関する箇所は大丈夫なの?って心配になる

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2022/01/25

小説家の池澤夏樹氏、声優であり日本SF作家クラブ会長を務める池澤春菜さんがひたすら本について話す対談本。親子というよりも気の置けない友人同士のような喋りは冒頭で語られる「最高の本読み仲間」という関係がしっくりくる。登場するのはいずれも自分が読んだことのない本ばかりで非常に興味がそ...

小説家の池澤夏樹氏、声優であり日本SF作家クラブ会長を務める池澤春菜さんがひたすら本について話す対談本。親子というよりも気の置けない友人同士のような喋りは冒頭で語られる「最高の本読み仲間」という関係がしっくりくる。登場するのはいずれも自分が読んだことのない本ばかりで非常に興味がそそられました。特に海外の冒険小説はまったく未踏の分野なので読んでみたい。これをきっかけにお二人の作品や書評にも触れてみたいです。

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