羽ばたき Ein Marchen の商品レビュー
原作が小説のコミカライズということで、鳩山先生っぽさが欠けてたら嫌だなーと思ってたんだけど、どっこい鳩山先生が一から描いた作品かと思うほどオリジナルっぽい作品だった。巻末の原作小説を読んだところ、とても自然に文章を切り取って絵に変換しておられるので、原作と照らし合わせて読むのがま...
原作が小説のコミカライズということで、鳩山先生っぽさが欠けてたら嫌だなーと思ってたんだけど、どっこい鳩山先生が一から描いた作品かと思うほどオリジナルっぽい作品だった。巻末の原作小説を読んだところ、とても自然に文章を切り取って絵に変換しておられるので、原作と照らし合わせて読むのがまた楽しかった。今回もイラストの美麗さに目眩が。コマで表した間や、小物や背景、衣装などのひとつひとつを見逃すまいと1ページ1ページ穴があくほど見てしまう。ジジの小悪魔さにも翻弄された。ああもう色々たまらん。
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堀辰雄の『羽ばたき Ein Märchen』をコミカライズしたもの。 原作小説と文筆家・長山靖生氏による解説を同時収録。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鳩山郁子の本は8割がた読んでいる。 毎回ため息をつくほど好きなのに、どこか走り去りゆく作者の背にタッチできないような、隔靴搔痒を感じていた。 が、今回は確実に、少しだけ触れた。 もちろん読後、その感触だけ残していつものように作者は逃げていったのだが、触れた瞬間の喜びと、走り去られるに違いない喪失感の予感とが、同時に感じられたこの読書体験だけは、憶えておきたい。 内容についてはもう、わざわざ書かない。 何度でも読み返すだろうから。 原作小説の展開のあとに、18ページほど、鳩山郁子なりの解釈が描かれているのだが、 ここだけで萩尾望都「残酷な神が支配する」の達成に、届かんとしていると思う。 鳩山郁子も、誰かの背を追っているのではないか。 今回は確実に堀辰雄の背に触れた、いや堀辰雄を背後から抱き留めた、と感じているのではないだろうか。
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