影を呑んだ少女 の商品レビュー
「嘘の木」が面白かったので、引き続きフランシス・ハーディングの小説を読んでみた。今回の小説はミステリではなく、ゴシックファンタジーと言うべきか。よくこんな設定が思いつくなあ。舞台は17世紀の英国、ピューリタン革命が起こった内乱の最中、死者の霊を取り込む事ができる一族の末端に生まれ...
「嘘の木」が面白かったので、引き続きフランシス・ハーディングの小説を読んでみた。今回の小説はミステリではなく、ゴシックファンタジーと言うべきか。よくこんな設定が思いつくなあ。舞台は17世紀の英国、ピューリタン革命が起こった内乱の最中、死者の霊を取り込む事ができる一族の末端に生まれた少女の生き様を描いたもの。ほとんど知らないチャールズ1世の統治時代、wikiでちょっと調べてみたり。前回の小説と同様、たくましく、真っ直ぐな少女メイクピースが良い。児童文学というカテゴリだが、ホラーな箇所もたくさんあって、私が児童であった時にこの小説を読んだら、トラウマになりそうだ。特に、死に間際の霊の移動が怖い。にも関わらず、絶体絶命な事態に負けじと立ち向かうメイクピースに引き込まれて読んでしまった。正直、好みではなかったけど面白かったです。
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2022.8 イギリスは熊が好き(笑) 始めの1/3までは遅々として進まなかったけれどそこから先はスビード感もあって面白かった。
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面白かった!! めちゃくちゃドキドキソワソワした。 メイクピースが、クマに話しかけてる場面がありありと見えてとってものめり込んでしまった。 最後まで怒涛の【どーなるんやろ】が続いて止まらんかった。 幽霊に取り憑かれることが出来る…ほんまに凄いシチュエーションやのに、違和感も無く読...
面白かった!! めちゃくちゃドキドキソワソワした。 メイクピースが、クマに話しかけてる場面がありありと見えてとってものめり込んでしまった。 最後まで怒涛の【どーなるんやろ】が続いて止まらんかった。 幽霊に取り憑かれることが出来る…ほんまに凄いシチュエーションやのに、違和感も無く読み進めれることに感動。 ハーディングさんと児玉さんの本をもっと読んでみたい!!
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主人公のメイクピース。貧しい庶民の少女ながら、勇敢で意志が強くて前向きで、ぐんぐん成長していく様子が魅力的。母、兄、もらわれた先の家政婦、味方も敵も立体的に描かれているから展開が読めなくてワクワクしました。海外の歴史的な内戦を庶民の目線から見られたのもよかった。
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メイクピースという女の子の10才から15才までの冒険・成長物語。旧家の血を引くヒロインは魂を支配されるというオカルト的な因襲から逃れるため、知恵を絞って城を抜け出しますが、城の外でも社会は激動の時を迎えていました。戦火を駆け抜け、追手を退け、幸せを手に入れることができるのか。 ...
メイクピースという女の子の10才から15才までの冒険・成長物語。旧家の血を引くヒロインは魂を支配されるというオカルト的な因襲から逃れるため、知恵を絞って城を抜け出しますが、城の外でも社会は激動の時を迎えていました。戦火を駆け抜け、追手を退け、幸せを手に入れることができるのか。 舞台は1638~1643年の英国。広義の清教徒革命(1639~1660)の前期にあたります。大航海時代の影響でインフレが進み、地租収入に頼る王室の財政は逼迫。チャールズ1世治下の英国も同様ですが、議会の反対で予算が取れず、また、チャールズのKYや王権を制限したい議会の思惑が交錯し、生じた王党派vs議会派の対立は、ピューリタリズムの影響を受けた民衆を巻き込む内乱状態になります。この時代背景を頭に入れて読みます。 魂に別人格を入れてキャラ変したり、自分の内面で対話したりするのは趣向ですね。なかなかのアドベンチャーで面白いのですが、前作「嘘の木」には、加えて、「宗教vs科学」という対立軸があり物語の深みがありました。欲を言えば、もう一工夫欲しかったという気がします。
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イギリスの児童文学は歴史ものの宝庫。これは清教徒革命の時代を背景にした幻想もの。一族の秘密にまつわる話だけれど、まあ暗くて参った。主人公の少女、たくましいよ。しかし、暗いし生理的にキモチワルイ話だった。これハッピーエンディングなの、よね? 読み終えて楽しくなる話ではないけれど、途中で読むのやめてもストレスだと思う。 最初の読み始めの段階でやめたほうが良かった。
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独特な世界観のファンタジー。 幽霊を取り込む能力という発想が 面白い。 別の人の記憶や思いに影響を受ける 人というものの存在を考えさせられる。
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『嘘の木』は素晴らしかった。『カッコーの歌』は好みではなかったが、よくできているし、アイデアもオリジナリティがあると感心した。 で、翻訳3作目のこれは。 舞台は一番古く17世紀。清教徒革命初期。なのに、主人公の喋り方がイマドキなんだな。日本の読み手を意識して読みやすくしたのだろうが、「そのことを恐れてるかもだけど。」(P331)とか、やりすぎではないか。喋りを読みやすくしたところで、この歴史的背景や錯綜した筋が、サクサク読みたい読者には大きな障壁となっているのだから、もう少し落ち着いた喋り方で良かったと思う。 この作者の作品(日本語訳されたもの)はどれも、ファンタジーと歴史を組み合わせたものだが、前二作より歴史的背景が前面に出ていて日本人、特に若い読者には分かりにくい。えーっと清教徒革命ってどんな経過だったっけ?チャールズ一世ってどんな人だっけ?と思ったし。(メアリー・スチュアートの孫でした。)前二作にあったミステリー要素が減ったのも物語の求心力を下げたように思う。 主人公が一筋縄ではいかない少女であるという点では共通しており、『カッコーの歌』の主人公程ではないが、クマに支配されたときの様子は凄まじく(牙を剥く、襲いかかるだけでなく、蟻を食べたり、魚を生でかじったりする)、幽霊との会話などを考えても映像化は難しそうだ。 作品の出来も前二作より劣る。取り込まれた幽霊に核があるとか、傷つくとか、いなくなるとか(なのにクマはいなくならないと言う)その辺がツッコミどころ。どうしても物語を作るために考えた、という感じがしてしまう。 幽霊を取り込む一族という発想は良いし、クマと折り合いをつけていくところは面白いのだが、乗っ取られ小説としては『73光年の妖怪』や『たったひとつの冴えたやりかた』という名作があるからなあ。あれくらいぐいぐい引き込まれるものが欲しかったし、コーティくらいキュートな女の子ならもっと楽しかっただろう。歴史ものにしないで、架空の中世を舞台にしても良かったかもしれない。 三作読んでみると『嘘の木』の主人公が一番普通だった。彼女は現代を生きる私たちにも共通する問題をかかえていたから、共感しやすかった。 『嘘の木』は、万人におすすめしたいし、『カッコーの歌』は、『嘘の木』を読んだ人なら読んでみたら?と言えるが、これは、うーん、前二作を読んだ人に、前のより面白いと期待しないでね、と言って渡すかな。 これが初めてのハーディングの人には、「いや、『嘘の木』はホントにいいんだよ!」と伝えたい。 読んでいる間、ロシア民話『てぶくろ』がずっと頭の一部で繰り返された。 「きばもちいのししだよ。わたしもいれてくれ」「ちょっとむりじゃないですか」「いや、どうしてもはいってみせる」 「うぉーうぉーのっそりぐまだ。わたしもいれてくれ」「とんでもない。まんいんです。」「いや、どうしてもはいるよ」「しかたがない。でも、ほんのはじっこにしてくださいよ。」てぶくろはいまにもはじけそうです。
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ピューリタン革命のロンドンを舞台にしたファンタジー。が、メイクピースが屋敷に引き取られた後半からは物語に脈絡がなく辻褄も合わなくて、ファンタジーだから仕方ないのかと納得させられた。
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おもしろかった。 ピューリタン革命という、歴史が激しく動く時代を背景に、邪悪で強力な一族から逃れようとする少女、メイクピースの奮闘を描く物語。 メイクピースには死者の霊を取りこんでしまう能力があるのだけど、それを邪悪な一族に利用されることを拒否して、生きのびるために、道々出会った霊をとりこんでいく。 受動的なら「取り憑かれる」と表現するのがふさわしいのだけど、彼女の場合は、あたかも成長の過程でさまざまな人たちと出会って、ケンカしたり議論したりしながら、相手のいいところを学んで成熟していく過程のよう。なので、仕掛けはまぎれもなくファンタジーなのだけど、成長小説のような趣が強い。 危機に次ぐ危機を乗りこえていくのも、魔力ではなく、あくまでも知恵と策略と意思の力。そしてときには、クマの爆発的なパワー。このクマが、ずっとクマらしくて、でももうメイクピースの一部であることも自然と了解できて、とてもよい。 ハーディングって、ほんとうに、こういう異常な設定をリアルな舞台背景のなかで説得力を持って描くのがうまいなああ。
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