1,800円以上の注文で送料無料

享徳の乱と戦国時代 の商品レビュー

3.7

4件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/10

幕府と鎌倉府の前史から振り返り、享徳の乱から。 享徳の乱では一方のリーダーが古河公方の足利持氏であったが、この長き戦いを持って、鎌倉府と包囲網、そして外縁という形が崩れ去る。著者のツッコミは鋭く、包囲網がろくに機能していない点、京からやって来るもお荷物となった堀越公方に対して手厳...

幕府と鎌倉府の前史から振り返り、享徳の乱から。 享徳の乱では一方のリーダーが古河公方の足利持氏であったが、この長き戦いを持って、鎌倉府と包囲網、そして外縁という形が崩れ去る。著者のツッコミは鋭く、包囲網がろくに機能していない点、京からやって来るもお荷物となった堀越公方に対して手厳しい。 混迷する東関東の中で寺社がどのような自治を行なっていたか?、また、在地の人々や、応仁の乱も起こる中で東国へやってきた連歌師の宗祇らなども取り上げていて面白い。

Posted byブクログ

2023/10/11

享徳の乱から長享の乱までを中心に周縁地域を含む展開を辿り、戦国時代の開幕を見通そうとする内容。時代の理解を深める要素として、寺社や村落・都市といった在地社会の事例、旅と文化伝播の諸相といった点も興味深い内容だった。

Posted byブクログ

2021/05/09

 日本の歴史の中でテレビドラマの題材になったりと安定した人気を保っている室町時代後期から戦国時代にかけてのこの時期、最近は歴史解釈の検証が進んでさまざまな角度から考察する新しい学説が増えてきているところでもある。新しい視点を得ることで楽しみの幅もぐっと広がる。  本書はそんな期待...

 日本の歴史の中でテレビドラマの題材になったりと安定した人気を保っている室町時代後期から戦国時代にかけてのこの時期、最近は歴史解釈の検証が進んでさまざまな角度から考察する新しい学説が増えてきているところでもある。新しい視点を得ることで楽しみの幅もぐっと広がる。  本書はそんな期待を裏切らず、いわゆる戦国時代に入っていく入口の時期を東日本の動向をもとに丁寧に解きほぐしていく内容となっている。政治史がメインであるが、在地の村落や文化的な背景もまじえて、話題を重ね合わせていくところにまだまだこれからの展開を想像させる。  それにしても、今日の見方は明日の敵という目まぐるしい動きに翻弄されて、読む方にもなかなかの注意が必要である。

Posted byブクログ

2020/05/31

「列島の戦国史」と題された新シリーズの第一巻。 戦国時代、戦国大名といった時代小説や映画、ドラマでなじんできた事件、人物、合戦等の様々も、近年の研究の進展により、だいぶ位置付けが変わってきたとのことなので、研究の最前線を知りたいとの思いから、楽しみにしていたものである。 応仁の...

「列島の戦国史」と題された新シリーズの第一巻。 戦国時代、戦国大名といった時代小説や映画、ドラマでなじんできた事件、人物、合戦等の様々も、近年の研究の進展により、だいぶ位置付けが変わってきたとのことなので、研究の最前線を知りたいとの思いから、楽しみにしていたものである。 応仁の乱で室町幕府の権威が衰退し、各地で下剋上により守護が取って替わられ、その中から戦国大名が成長してきた、というのが筆者が昔々習ったように記憶しているが、最近は、関東を舞台にした享徳の乱が大きな契機となったという考え方が有力になっているようである。 室町幕府と鎌倉府の関係、公方と関東管領の関係、古河公方と堀越公方の対抗を主軸として動いていたものが、時代が下るにつれて、長享の乱の山内上杉氏と扇谷上杉氏の抗争、主家と家宰の緊張関係がメインになっていく推移が、関東における動きであり、本書では、その経過の本筋を辿れるように叙述がされている。 特に、従来、戦国の世を切り開いた代表格として取り上げられることの多かった北条早雲(伊勢宗瑞との方が良しとされる)については、最新の説に依拠して著者の考察が示されており、勉強になった。 本書では、人名、地名のデータを細かく列挙するよりも、大きな流れや人びとの関わり方に重点を置いたとされる。一般読者としては大変ありがたく、時代を大掴みに捉えることも、ある程度出来たような気がする。 ただ、一族が敵味方に分かれて争い合うため、似たような名前が次々に出てくるので、読者それぞれの記憶術を試す良い機会になるかもしれない(笑)。

Posted byブクログ