アルゴリズムとプログラミング 改訂版 の商品レビュー

鈴木一史【著】

2023/09/19

　C言語を用いて条件分岐やループのようなプリミティブなアルゴリズムや、配列やリストのような初歩のデータ構造の取り扱いを説明した教科書です。最初はif文、for文、while文などプログラミング言語の入門書にも載っていそうな内容から初まり、最終的にはソートアルゴリズムやポインタを用いたリストの実装なども記載されていて意外と盛りだくさんなテキストであるといえます。
　本書の良いところは、最初から最後まで（15章除く）すべてC言語で実装されていることです。配列もポインタもファイルも人間の指示で書くことになります。扱った技術の多くは昨今の高級言語だと1,2行書けば使えてしまうようなものですが、具体的にはどのような処理をしているのか学ぶことで応用につながることと思います。
　一方で、本書は扱っている内容のレベルが一般学習者とミスマッチかなと思います。一般的なC言語の文法書をこなした学習者であれば前半7章までの範囲はすでに知っていることと思います。後半で扱われるのも大雑把にはソートとリストだけであり、通常のアルゴリズムの本で学ばれることの多いツリーやハッシュなどは載っていません。放送大学の別の授業のテキスト（『データ構造とプログラミング』）と合わせて1つのカリキュラムだと思う必要があるでしょう。
　※放送大学の授業のテキストとして使用しましたが、本感想は授業とは独立した書籍のみに対するものです。