おれの眼を撃った男は死んだ の商品レビュー
なんて魅力的なタイトルなんだろう。手にとらずにはいられないタイトルだ。 人の命や人権が、現在ほどに重みを持たなかった1800年代のアメリカが描かれている。俺の目を撃った男はまだ少年で、もちろん俺が撃ち殺した。その男の兄は、今、俺を撃とうと企てている・・・。ほかにも銀行強盗に...
なんて魅力的なタイトルなんだろう。手にとらずにはいられないタイトルだ。 人の命や人権が、現在ほどに重みを持たなかった1800年代のアメリカが描かれている。俺の目を撃った男はまだ少年で、もちろん俺が撃ち殺した。その男の兄は、今、俺を撃とうと企てている・・・。ほかにも銀行強盗に押し入り、行員を撃ったやつも大衆の前で吊るされる。でも、その生い立ちは・・・。 どうにもやりきれない哀しみを背負った主人公たちを描いた短編集だ。できれば楽しい物語を読みたいのだが、たまにはやりきれない人生に触れるのも良いかもしれない。
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衝撃的な題名でハードボイルドと間違えて手に取った作品(苦笑) O・ヘンリー賞受賞の短編集。全編を通して社会の底辺層や父権全盛期の報われない女こどもの日常ややりきれない未来を描いてる。私が間違えた題名も、哲学者か誰かの引用かと思えば、「死を悼む人々」の中の一節だった。国柄や宗教が影...
衝撃的な題名でハードボイルドと間違えて手に取った作品(苦笑) O・ヘンリー賞受賞の短編集。全編を通して社会の底辺層や父権全盛期の報われない女こどもの日常ややりきれない未来を描いてる。私が間違えた題名も、哲学者か誰かの引用かと思えば、「死を悼む人々」の中の一節だった。国柄や宗教が影響してるので、私には難しかった。
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久々に衝撃的、かつ唯一無二の短編小説集に出くわした。本書は作者のデビュー作でありながら、独自の才気を匂わせつつ、危険と謎の香気に満ちた10種の濃厚熟成作品集である。時代や趣向をそれぞれ異としつつ、多種多様な味わいを作品毎に見せてくれる。切断面はどれも個性的で、凡百の分析を退ける...
久々に衝撃的、かつ唯一無二の短編小説集に出くわした。本書は作者のデビュー作でありながら、独自の才気を匂わせつつ、危険と謎の香気に満ちた10種の濃厚熟成作品集である。時代や趣向をそれぞれ異としつつ、多種多様な味わいを作品毎に見せてくれる。切断面はどれも個性的で、凡百の分析を退ける独自性を持ち、誇らかに屹立しているかに見える。 最初の短編『よくある西部の物語』は、文字通り西部劇題材。そしてO・ヘンリー賞受賞作品。「冒頭の一編はあなたの息の根を止める」と帯に込められた出版社の狙い通り、衝撃のスタートとなるこの作品。実は、この後も次から次へと異なる横顔を見せる本作品集では、何度も息の根を止められることになるので、これですべてとは思わないで頂きたい。 様々な小説表現手法を、思いもよらぬ領域にまで駆使し、実に根気よく練り上げられた趣向や方法に満ちている。一行とて手抜きの見当たらない、実に内圧の高い作品ばかりなのだ。 カリブの血を引く作者とあって、米国や世界が内包する、歴史、宗教、人種などの問題に楔を打ち込む。熱して冷めやらぬ鉄の迸りの鋭さで、人間の情念や、人生の無常、歴史の冷徹を作品に練り込む。それでいて登場人物の生命力や、情念などは活き活きと熱く、ダイナミックなまでに語られる。 人知を超える運命を描き、人の原罪を描き、命の儚さ、運命、自然の猛威をも描き、愛や魂を描き込む。そして読者に極めつけの謎を残し、それぞれの解釈を求めてゆく。これほど密度が濃く深い短編集をぼくはかつて読んだことがないかもしれない。 作品によっては、文章に込められた仕掛けや伏線が多過ぎるゆえ、最初に戻って再読したくなるものも少なくなかった。ページ数の割に重量感を感じてしまうのも、作品世界の深み、人間描写の厚み、時や場所を変えての仕掛け、そして作品世界の豊饒さ等々、唸らせられるものに事欠かない。じっくりと読みこなしたい味のあるすべての作品に、文字通り魅せられる一冊なのである。 ちなみにタイトルの『おれの眼を撃った男は死んだ』は、『死を悼む人々』という作品中、ある人物によって放たれる言葉である。なぜこの一句がタイトルになったのかを含めて全体がとてもミステリアスな書物なのである。悪夢的なまでに日常生活から遠いところへ、様々な極限の地平へとこの作品集が旅立たせてくれることだけは、最後に確約しておこう。未知の読書体験へようこそ、と付け加えて。
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タイトルと、O・ヘンリー賞受賞の「よくある西部の物語」から西部劇&ノワールな短編集かとワクワクしていたら、さにあらず。スカッ!とする話、いっこもなかった。
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