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迷子のままで の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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2020/10/19

p136 父が、高校生がそんな難しい問題をやって大丈夫なのか、って心配して尋ねたら・・・姉はいつになく険しい声で、高校生が大事な問題を考えることを心配してるの?私たちが本当に大事な問題を考えずにいることを、大丈夫かって心配すべきじゃないの?って言い返しました。お父さんたちは、競争...

p136 父が、高校生がそんな難しい問題をやって大丈夫なのか、って心配して尋ねたら・・・姉はいつになく険しい声で、高校生が大事な問題を考えることを心配してるの?私たちが本当に大事な問題を考えずにいることを、大丈夫かって心配すべきじゃないの?って言い返しました。お父さんたちは、競争に勝つこととか裕福な生活だとか、作られた幸福のイメージにだまされてるだけじゃないの、わたしたちが本当に学ばなきゃいけないのは・・・自分で自分の人生を作ってゆく強さと、いろんな立場の人たちと共に生きる喜びでしょ、って・・・。

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2020/10/18

自分が捨てた子が虐待死する。津波で亡くなった人が、幽霊になって表れる。私の知らないどこかに迷子がいるし、もしかしてやがて私も迷子になるのかもしれない。

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2020/09/27

だいぶ前に「永遠の仔」を読んで救いのない、なんとも言えない後味の悪さを感じ、今回もかな?と思いながら読みました。 「迷子のままで」の方は児童虐待を描いたもの。やはりやるせなさが強く残る。 「今から帰ります」は東日本大震災に絡む話で、どうしようもなかったことの中に救いが感じられ...

だいぶ前に「永遠の仔」を読んで救いのない、なんとも言えない後味の悪さを感じ、今回もかな?と思いながら読みました。 「迷子のままで」の方は児童虐待を描いたもの。やはりやるせなさが強く残る。 「今から帰ります」は東日本大震災に絡む話で、どうしようもなかったことの中に救いが感じられた。 引用された伊丹万作の言葉が刺さる。 『「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」ことを主張したいのである。  造作なくだまされるほど批判力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。 「だまされていた」といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。 伊丹万作』 この言葉は強烈だ。仕方がない、オレには責任がないということを肯定している。しかし、それを突きつけられた時、平気でいられるんだろうか?そうであってはいけない。

Posted byブクログ

2020/09/16

子供の虐待、震災。この2つを見事なまでに小説にしてくれました。短いお話ですが良かったです。悲しい話だけど読後はなぜだか清々しい気分です。

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2020/08/23

久しぶりの天童作品、とても良かった。 育児放棄、ネグレストをテーマにした『迷子のままで』と、東日本大地震の爪痕に向き合う『いまから帰ります』。 『いまから帰ります』が特に沁みた。いくつもの材を短篇に見事に詰めている。すごい。

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2020/08/12

迷子のままで いまから帰ります の2編 どちらも重いテーマだけど読みごたえのある そして考えさせられる作品であった。 ネグレクト・児童虐待 震災・津波・原発事故・ヘイト・先の大戦 拾った生徒手帳

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2020/08/11

児童虐待を扱ったタイトルの「迷子のままで」 宅配会社で働くうちに知り合った女性には5歳の男の子がいた。 交際ののち結婚することになった彼女の条件は、子供に手を上げないこと。 交際中と結婚後の子供の態度の変化に戸惑い苛立ち、とうとう手を挙げてしまった主人公。 結局破局を迎えるわけだ...

児童虐待を扱ったタイトルの「迷子のままで」 宅配会社で働くうちに知り合った女性には5歳の男の子がいた。 交際ののち結婚することになった彼女の条件は、子供に手を上げないこと。 交際中と結婚後の子供の態度の変化に戸惑い苛立ち、とうとう手を挙げてしまった主人公。 結局破局を迎えるわけだが、この主人公以前にも同様も理由で離婚していたのだ。幼い子供を妻に押し付けたまま。 あーあとため息が出る。 結局、人間は条件や環境を変えても同じ過ちを繰り返してしまうのか。 どれだけ悔い改め反省しても、土壇場では抑えられず本性が出てしまうのか。 今の世間の風潮と照らし合わせて、心が沈んでいく話です。 2作目、「いまから帰ります」 福島で(とは書いていないけれど)除染作業をしている数人の描写から話が始まる。 暑い中防具服にマスク、トイレが一苦労だからと水分を取らずに熱中症になりかけた人が出て作業中断、休憩に入る。 作業員の詳しい素性はわからないが、外国から来ている人もいる。若い人も年配の人も。 映画を撮る夢を持っている若者、妻子を別の場所において、作業に携わっている人、いろいろ。 読み進めていくほどに、日本人のほとんどは東日本大震災、津波のことや原発事故のことなど、忘れかけているだろう。 今の福島の現実など何も知らないだろう、と密かに責められているような気持になってくる。 つらい気持ちで読み終えてしまった。 今の日本は、次から次に問題難題が目白押しで、古い順番に過去になってしまう、それがまだ解決していなくても。 目の前で起こっていることに右往左往してしまって、それ以前のことは見えなくなっている、というか見ないようにしているのか。 いま改めて一人一人の意識の中にとどめておきたいと思った。

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2020/07/18

「迷子のままで」 児童虐待の一歩手前の 男性目線っていうのが目新しい。 自分の子どもであっても そんなに興味を持てない そういうことの悲しみ。切ない。 「いまから帰ります」 震災後、亡くなった人や行方不明の人を 見かけるという話はテレビなどでも 聞いたことがあったが 怖い話など...

「迷子のままで」 児童虐待の一歩手前の 男性目線っていうのが目新しい。 自分の子どもであっても そんなに興味を持てない そういうことの悲しみ。切ない。 「いまから帰ります」 震災後、亡くなった人や行方不明の人を 見かけるという話はテレビなどでも 聞いたことがあったが 怖い話などではなく 切なく、哀しいが 遺族にとっては希望でもあるんだね。

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2020/06/21

児童虐待をテーマにした「迷子のままで」、福島で除染作業に従事する男の束の間の休みを描いた「いまから帰ります」の2編を収めた短編集。「迷子」はこの素材をこの分量で発表してしまうのがもったいないと思う。膨らませて長編小説にしたら読み応えのある作品になりそうだ。「いまから」は、自分の中...

児童虐待をテーマにした「迷子のままで」、福島で除染作業に従事する男の束の間の休みを描いた「いまから帰ります」の2編を収めた短編集。「迷子」はこの素材をこの分量で発表してしまうのがもったいないと思う。膨らませて長編小説にしたら読み応えのある作品になりそうだ。「いまから」は、自分の中であの震災やそれがもたらしたものが既に風化しつつあることを認識させられ、軽いショックを覚えた。コロナ騒動もいつかそうなってしまうのだろうか……。

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2020/06/05

虐待の連鎖。そこから抜け出すには、子どもを持たないという選択肢が現れてしまうのが悲しい。 震災のタクシーの話。

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