チョウはなぜ飛ぶか の商品レビュー
アゲハチョウはなぜその様に飛ぶのか?という疑問から始まった研究。観察、考察、実験、失敗を繰り返し新たな疑問がまた湧いてくる。その過程をこの本ではユーモアを交えて非常にわかりやすく書かれていて、探究心を持ち続ける大切さを教わることができた。 巻末のエッセイも素晴らしくて日高先生の...
アゲハチョウはなぜその様に飛ぶのか?という疑問から始まった研究。観察、考察、実験、失敗を繰り返し新たな疑問がまた湧いてくる。その過程をこの本ではユーモアを交えて非常にわかりやすく書かれていて、探究心を持ち続ける大切さを教わることができた。 巻末のエッセイも素晴らしくて日高先生の言葉に感銘を受けたので子供の頃にこんな本に出会えてたらよかったのにと思った。 舘野鴻さんの後書きでは面白くて大好きな『うんこ虫を追え』(たくさんのふしぎ)の制作途中であると書かれていたのも楽しく読んだ。
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動物行動学の本でありながら、どこかミステリのようなワクワク感を伴う本。解説の舘野鴻さんも言う通り、日高先生を主人公とする物語が、内側に展開していく。そして、謎解きを楽しみにしていると、まさかの結末を迎える。それこそが、生物研究のリアリティなのだろう。また、表題作とエッセイのコント...
動物行動学の本でありながら、どこかミステリのようなワクワク感を伴う本。解説の舘野鴻さんも言う通り、日高先生を主人公とする物語が、内側に展開していく。そして、謎解きを楽しみにしていると、まさかの結末を迎える。それこそが、生物研究のリアリティなのだろう。また、表題作とエッセイのコントラストも良い。45歳の著者と、75歳を過ぎた著者の視点の違いと変わらないところが、寄り添っているように見えた。虫好きの人は勿論、生物の授業がつまらない人にお勧めしたい。ただし、研究の為とはいえ蝶を殺す描写が非常に多いので、注意。
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題名から飛び方とか仕組みの本なのかなと思って読んだが想像とはちょっと違ってた チョウ道のことは知らなかったのでおもしろかった うちにもベランダにレモンの木があって、数年前から春にアゲハの芋虫がつくようになったのだけど、屏より背の低いレモンの木にどうやって気がつくんだろう?ととても...
題名から飛び方とか仕組みの本なのかなと思って読んだが想像とはちょっと違ってた チョウ道のことは知らなかったのでおもしろかった うちにもベランダにレモンの木があって、数年前から春にアゲハの芋虫がつくようになったのだけど、屏より背の低いレモンの木にどうやって気がつくんだろう?ととても疑問だったので、そういうチョウ道から見えたか若葉の匂いがしたのかなと読んでてすこし納得できた
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※このレビューにはネタバレを含みます
今年はあまり岩波少年文庫を読んでないな、と反省し、ちょっと気になっていたこの本を借りてきた。 動物学者である日高氏による、モンシロチョウとアゲハチョウの飛びかた、メスの見つけ方、卵をうみつける植物の決め方など。 虫は目がいいんだなあと驚いた。 もとは70年代に出された本らしい。 そこに短いエッセイ二編を加えて新たに岩波少年文庫から出されたもの。 チョウのメスを表す「彼女は」という言い回し、愛情があって良いなと思う。 チョウの羽をむしったり、○したり、はあるけど、まあそれはもちろん実験のため。 ネタバレ?なのかもしれないが、いろんな仮説をたててチョウの行動を実験していくが、最後まで読んでも真相はわからない、というスタイルなので、昨今の科学番組やマンガに慣れた身としては新鮮だった。 エッセイは教育、科学、言語への学び、戦争のなかの学生生活の思い出など。 著者の学術的好奇心に感心。 子供のときから、チョウが同じ場所から現れ、同じところしか飛ばないことに気づいていたのも素晴らしい観察力。 昔の東京は世田谷でも田舎だなーー。
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学ぶことは、本来楽しいものである。ということを生き生きと語ってくれる本。 小中高のつまらない授業とは全く違う、本物の実験が学べます! 必ず答えがある学校の実験とは異なり、何度も何度も失敗と発見を繰り返しながらも、答えに辿り着かないまま終わる本の中の実験には衝撃を受けました。 ...
学ぶことは、本来楽しいものである。ということを生き生きと語ってくれる本。 小中高のつまらない授業とは全く違う、本物の実験が学べます! 必ず答えがある学校の実験とは異なり、何度も何度も失敗と発見を繰り返しながらも、答えに辿り着かないまま終わる本の中の実験には衝撃を受けました。 チョウには決まった道があるのではないか?という1つの仮説が多岐にわたる実験と、思いもよらぬ発見を生み出していく様は、人間の知りたいという気持ちにどれだけのエネルギーが込められているかということをまざまざと感じさせてくれます。 時に学校に反発しながらも、学ぶことの楽しさを見失わず、自学を続けた著者。 その姿を倣って、自分も知りたいという気持ちを見つけ、育んでいきたいと切に思います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
日高敏隆さんが1975年に出版した科学読み物。 立派な成果が出て、それに基づいた知識読み物ではなく、研究途中のもの、失敗や間違いを書きたいと本にしたもの。チョウの知識ではなく、研究内容でこの1冊というのが、まずスゴイ。 出版したあと、どのように研究をすすめはったのかなと考えるのも楽しい。 小さな人たちも、調べることの途轍もなさや本の知識の外にある体験の楽しさを味わえるのでは。 表紙絵も素晴らしいです。舘野さん。 ・チョウの飛ぶ道…アゲハチョウ・クロアゲハ・モンキチョウ 小学生の時に、アゲハチョウやクロアゲハの飛ぶ道が決まっているのではないかと気付いた。 戦後、虫仲間たちと調査を重ねる。 →アゲハチョウは、光と温度で飛ぶルートが異なることを発見・確認する。 →他、種類により、チョウの道を持つもの、持たないものがいることもわかる。 ・オスはメスをどうしてみつけるか なぜアゲハのオスはアゲハのメスに、モンシロチョウのオスはモンシロチョウのメスに惹かれるのか。 モンシロチョウ 匂い? →匂いがもれない箱にメスを入れたが、オスが次々とやってきた。 視覚? →昆虫は紫外線を光として感じることが知られていた。 …紫外線カメラでのモンシロチョウ撮影。オスとメスで、色が全く違うことがわかる。 →モンシロチョウのメスの紫外線色と同じ色の紙を用意。オスが、やってきた。 アゲハチョウ オスはメスに近づくと脚で触って交尾行動に入る。 …メスは拒否するときは翅をとじる。 紫外線カメラで撮影しても、オス・メスの区別はない。 翅の表裏? →メスの翅の表側と裏側を並べて実験。 ……オスの行動に違いは無し 匂い? →匂いのするモデル、しないモデルを設置。 …どちらのモデルにもオスはくる。数に違い無し。 翅の色? →翅だけのモデル。新鮮なもの、時間がたったもの、オス・メス両方で用意。 …どれにも、よく飛んできた。その後、脚で触り、「新鮮なメス」の翅の場合は、交尾行動が見られた。他は、すぐに離れる。 →黄色を塗りつぶす実験。通常のもの、赤く塗りつぶしたもの。 …赤モデルには、寄ってこない。 →真っ黄色モデル、真っ黒モデル、イエロー&ブラックモデルを用意。 …黄色モデルには寄ってこない。真っ黒モデルにはある程度寄ってきた。イエロー&ブラックモデルには、多数寄ってきた。 模様? →四角いボール紙にストライプの線。黒地に黄色。 …オスが沢山やってきて触っていく。 →黒地に水玉、パッチモデル …寄ってこない。 オスでもメスでもボール紙でも、黄色と黒の縞々にオスはとりあえず近づく。 その後、脚で触って、メスのアゲハチョウか判断する。 →「接触化学覚」 メスの匂いは何か。 →抽出物の実験をいくつか行ったが、未だに判明していない。 オスは緑色にも寄ってくる。なぜ? →黒と緑の縞々にするとオスが触りにくる。 →ポスターカラーの黄色はアゲハチョウの黄色と反射曲線が全く違い、ポスターカラーの青緑色はアゲハチョウの黄色と反射曲線が近い。 …青緑だけだと木の葉の色、黒との縞だとメスになる。 色を習得する状況を与えずに育てても、ストライプモデルや青緑に反応する。 →生得的な行動。 昆虫と食草 →どの植物でも栄養的にはいっしょ。なぜえり好みを、するのか。 …幼虫は匂い …成虫(アゲハチョウ)は、視覚+匂い 緑色→広葉樹→形と色合い→匂い(仮説) が、触角や脚で匂いを感じられなくしても、卵を産み付ける植物を、選んだ。 今後の研究を待つ エッセイ 思ってたこと思っていること 「ずる休み」…芋虫の気持ち、わかるかな。 「昆虫学」…戦時中の学校。昆虫学に必要なこと。 「動物学という軸」…必要・不必要で区別せず、どんな知識も。 「アゲハチョウ」…子どもの、ときな不思議 「東北での5か月」…アメリカ軍の砲撃の響き。 「東北弁」…発音記号で東北弁に挑む 「方言、学ぶべし」…方言は必要でないという父 「サクランボ」…戦時中の甘味。 「ヘビとガマ」…先生へのイタズラ 「ヘビとガマ2」…生徒からのイタズラ 「英語の発音」…先生のあだ名 「the の発音」…音の真似ではなく、口の中のどこを動かすかを学ぶ 「科学する心」…「科学する心」という言葉が大嫌い 「生物に出会う」…『生物から見た世界』との出会い 「苦手な人も必要なんだ」…いろんな人がいることが大切 生物の仕組みではなく、生物の生き方を知る楽しさを。
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どうやったら「なぜ」を解き明かせるのか。 「なぜ」から「発見」までの試行錯誤の実験の様子がありありと描かれている。 戦時中という厳しい環境の中でも、「好き」を貫き、担任の先生の「昆虫学をやるからといって虫ばかりを見ていてはだめだよ。まず本を読まなくちゃ。それには国語がいる。この虫...
どうやったら「なぜ」を解き明かせるのか。 「なぜ」から「発見」までの試行錯誤の実験の様子がありありと描かれている。 戦時中という厳しい環境の中でも、「好き」を貫き、担任の先生の「昆虫学をやるからといって虫ばかりを見ていてはだめだよ。まず本を読まなくちゃ。それには国語がいる。この虫は世界のどこにいるんだろう?それには地理がいる。いつから日本にいるんだろう?それには歴史がいる…」という言葉を受け、広く勉強し、「知る」ことを楽しんだ著者を見習いたい。
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