哀しい運命の人々 二日市保養所 の商品レビュー
大陸から引き揚げてきた女性のケアをしていた二日市保養所について書かれた本です。当時は産めよ増やせよ、の政策の一環で堕胎罪がある、と言う前提がありました。堕胎手術に関わる医師も看護師も助産師も罪に問われたり免許を剥奪される畏れがある中で行ったことです。しかし、引き揚げでソ連兵や敗戦...
大陸から引き揚げてきた女性のケアをしていた二日市保養所について書かれた本です。当時は産めよ増やせよ、の政策の一環で堕胎罪がある、と言う前提がありました。堕胎手術に関わる医師も看護師も助産師も罪に問われたり免許を剥奪される畏れがある中で行ったことです。しかし、引き揚げでソ連兵や敗戦で立場が逆転した現地の人達から陵辱された若い女性達は未婚の母となって地元に帰ることも出来ず、悩んだ挙げ句、自殺を選ぶことも多かったそうです。未婚の母になるだけでも白い目で見られるのに、その赤ん坊が外国人の血を引いてると一目見て分かる場合はその苦悩は現在の人間の想像の及ばないことでしょう。 軍規が悪かったのはソ連兵に限ったことでは無いのかもしれません。現在の日本の領土に当たる内地で暮らしていた人々は空襲で大変な目に遭っていますが、引き揚げ者も若い女性は特に大変な目に遭っていると思います。戦争を二度と起こしてはいけないのはもちろんですが、何故、戦争状態に陥っていくのか、現在のウクライナとロシアのことを通してでも少しでも学び続けたいと考えます。
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