私の絵本ろん 新装版 の商品レビュー
絵本ろんというか、赤羽さんと絵本、ご自身の製作風景を振り返ったエッセイでした。 その飄々としたお人柄を偲ばせるユニークな文章。一気に読んでしまいました。 国際アンデルセン賞の授賞式でのヨーロッパの旅はすこぶる楽しまれたようだ。生き生きピカピカした赤羽さんに対し、お供の斎藤さん...
絵本ろんというか、赤羽さんと絵本、ご自身の製作風景を振り返ったエッセイでした。 その飄々としたお人柄を偲ばせるユニークな文章。一気に読んでしまいました。 国際アンデルセン賞の授賞式でのヨーロッパの旅はすこぶる楽しまれたようだ。生き生きピカピカした赤羽さんに対し、お供の斎藤さんはお疲れのようでした…と、奥さま。きっと好奇心のおもむくまま、飛びまわってらしたんだろうな。 約四十年前に当時出版された絵本群への評論。今でも子どもたちに愛される現役絵本たちだ。作家さんたちも、ビッグネームなお歴々でござる。 赤羽さんの1作1作にかける情熱と姿勢。 背景から小道具、国や時代の調査。 試行錯誤して、物語と語りにぴったりの描き方やシーン、展開を考えに考え尽くす。 満州で暮らし、敗戦後日本に画材道具と家族だけで戻る。 どこまでも広がる乾いた大陸と小さいけれど緑したたる島と。 赤羽末吉さんの宮沢賢治をみたかった。どの作品を取り上げてらしたのかな。
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1983年単行本(偕成社)、2005年平凡社ライブラリー入、生誕110年没後30年の節目にあたって今回新装版にて復刊。 日本の風土・文化・文学についてのエッセイ、自分の作品の解題、1980年頃に出版された絵本の批評、紀行文、最後には国際アンデルセン賞画家賞受賞にあたっての挨拶。 ...
1983年単行本(偕成社)、2005年平凡社ライブラリー入、生誕110年没後30年の節目にあたって今回新装版にて復刊。 日本の風土・文化・文学についてのエッセイ、自分の作品の解題、1980年頃に出版された絵本の批評、紀行文、最後には国際アンデルセン賞画家賞受賞にあたっての挨拶。 五味太郎、長新太、谷川俊太郎などに一目置くまなざし、作品や画風の方向性が全く違いつつも同じ国際アンデルセン賞受賞者(赤羽末吉のほうが先)である安野光雅へのライバル意識などがわりとダダ漏れで興味深い。こうした錚々たる才能が福音館書店の松居直のもとで絵本作家として切磋琢磨(それぞれが個別に才能を伸ばしただけかもしれないが)した結果が今のゆたかな絵本界なのだなぁと改めて思う。そして登場する人々(巻末にリストあり)の多くがすでに亡くなっているのがさびしい。(新装版復刊にあたってここは情報アップデートしてほしかった) しかし、この著作と同時期に制作されたと思われる「おへそがえる・ごん」(1986年)が絵本リスト(1990年の没年まであり)に載っていないのはどういうことだろう? (赤羽末吉の新境地というかんじですごく気に入っているのだけど…) 読みかけのまま1年近く経ったところで、教文館の「赤羽末吉展」をみた(2021.6.24)。代表作「スーホの白い馬」の原画全点を中心に、中国の民話の絵本の原画や取材の様子などをじっくりみることができ、青年期をすごした戦前の満州での経験やその後の思いが、中国各地に取材した絵本として結実したと思うと、一つ一つの作品の奥行きも増すと感じた。
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