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パトリックと本を読む の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2024/09/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アメリカの根深い人種差別、格差問題、司法制度、著名人のエピソード、難しい言葉が混ざる説明部分は読むのがしんどかった。 パトリックと著者のやりとりは読みやすいけど、詩を深めていく場面は詩がわからない私にはさっぱりだったり、著者の言動に疑問に思う部分が多々あってモヤモヤしてしまった。 著者が1人の青年に寄り添って希望を与えたのは素晴らしい。 スターズの他の生徒たちも誰か著者のような存在がいたらドロップアウトしたり犯罪を犯す生徒が減ったかもしれない。 だけどパトリックでさえ、著者がロースクールに行くとドロップアウトしてしまい、刑務所で本と向き合い知能レベルが上がるも、出所後にドラッグ、積み上げてきた学力も低下が見られ、また著者が会いに行って世話を焼くも学校をサボっている。絶望から立ち上がったからと言って結局めでたしではなかった。 あまりにも劣悪な環境で暮らす人たちがまともに自立していくことがいかに困難かを思い知った。 著者の自己発見と他者理解の記録としては見事。

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2023/10/06

図らずも殺人を犯した黒人少年と、 中国系アメリカ人女性教師の、 2人だけの読書会。 今年No.1だった。 読み終わり高揚感のせいでやや壮大な気持ちになってるが、まさに人間讃歌。そして教師という職業の神聖さにも感動した。

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2023/09/28

パトリックと本を読むのは主に後半から。 パトリックとの出会いや経験を通じて、自身と他人の人生のままならさと向き合う話。 本を読むのは良い。

Posted byブクログ

2023/06/02

本を読むこととは何だろうと考えるために、本を読んでいる今日この頃なのだけれども、そんなことを考えているのを忘れるほど、著者とパトリックの物語に没頭した。 絶望から立ち上がり、誤り、また立ち上がろうとしてまた誤り。そしてそれは、絶望と貧困の街に生まれたパトリックだけでなく、寄り添...

本を読むこととは何だろうと考えるために、本を読んでいる今日この頃なのだけれども、そんなことを考えているのを忘れるほど、著者とパトリックの物語に没頭した。 絶望から立ち上がり、誤り、また立ち上がろうとしてまた誤り。そしてそれは、絶望と貧困の街に生まれたパトリックだけでなく、寄り添い続ける著者、ミシェル・クオにとっても同じことだったのだ。誰かを理解することの難しさよ。 人は人を必要とする。人が気にかけてくれることを必要とする。すごく似た感覚で、本も必要なのだ。 ミシェルは自分の受け持った授業でこう言う。 「本を読むと、人の心の声が聞こえてきます」「とんでもないことをしたりする人でも、その人がどう感じているのかがわかる。その人の心の中で起きていることが理解できるようになる」(P57) まさにこの読書体験ができた。遠く離れたアメリカの、きっとこの本を読まなかったら一生知ることもなかったかもしれない、生きることが困難な街のパトリックの声が聞こえた。とんでもないことをした彼のことを、彼の心の中を理解できた、少なくとも理解しようとすることができた。と思う。 本とは、誰かを想うことでもある。

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2023/03/11

いろいろなことが詰まりすぎていて、何を書いていいのかわからない。 ヘレナの学校での出来事、パトリックとの出会い、作者がセレナを去った翌年のパトリックの殺人、拘置所のパトリックとの読書会。どこをとっても一つ一つが重く暗く美しく尊い。 作者自身の個人的な事情、家庭状況も書かれている。...

いろいろなことが詰まりすぎていて、何を書いていいのかわからない。 ヘレナの学校での出来事、パトリックとの出会い、作者がセレナを去った翌年のパトリックの殺人、拘置所のパトリックとの読書会。どこをとっても一つ一つが重く暗く美しく尊い。 作者自身の個人的な事情、家庭状況も書かれている。作者の心の声も事細かに記され、ここまで丁寧に詳しく赤裸々に教えてくれなくてもと思いつつ、作者自身の人間的な魅力に惹かれていく。 特に最後に「もし自分がデルタに残っていたなら」というのが、わざわざ書かれているのが、私にはとてもうれしかった。「もしあの時こうしてたなら」というのはおそらく誰にでもあるのではないか。私などはあえて考えない。わざと振り返らない。振り返ることを禁じる。なんか負けてしまうような気がして。でも本当はその妄想に浸りたい。このような優れた人でも、そのようなことを考えるのか最後まで、と思うと個人的にすごく安心した。 人と人との出会い、読書の素晴らしさを深く感じさせてくれた。 こんな感想では全然足りない濃い内容の本であった。 高橋源一郎さんの「飛ぶ教室」で紹介されていて手に取ることになったが、たくさんの人に読まれるといいなと思う。

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2023/03/04

本で読んで、教育を受けただけの人が、現実を知らずに、他人を傷つける。 現実に人と交流することで、お互いに理解し合える。

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2022/07/19

台湾系アメリカ人、家族の期待に応えて勉強して大学進学し、後に司法試験を受け、「成功」している立場の著者が、黒人の権利獲得運動に共感することで、出口のない貧困地域で教員の経験をし、そこで出会った人との深い交流を通して綴ったルポルタージュ 家族の期待に応えなければいけない、というア...

台湾系アメリカ人、家族の期待に応えて勉強して大学進学し、後に司法試験を受け、「成功」している立場の著者が、黒人の権利獲得運動に共感することで、出口のない貧困地域で教員の経験をし、そこで出会った人との深い交流を通して綴ったルポルタージュ 家族の期待に応えなければいけない、というアジア系特有(?)の息苦しさと、自分が善と信じることをしたい、でもそれは本当に善いことなのか、という葛藤 言葉を信じ、教育によって表現することを学べば、世界は言葉によって開かれるということ

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2022/05/03

アメリカという国における移民や黒人の、とても生々しく、具体的な話。おもしろかったです。いろいろ考えさせられました。図書館で借りて読みましたが、買えばよかったです。将来、ふと気になった時に手に取って読んでみることがありそうな、そんな気がします。 ぼく自身は詩というものを読みつけない...

アメリカという国における移民や黒人の、とても生々しく、具体的な話。おもしろかったです。いろいろ考えさせられました。図書館で借りて読みましたが、買えばよかったです。将来、ふと気になった時に手に取って読んでみることがありそうな、そんな気がします。 ぼく自身は詩というものを読みつけないんですが、こういう話を読むと、詩を深く味わうことを、いつかどこかで学びたいと思います。【2022年3月18日読了】

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2021/09/12

丸の内の丸善でノンフィクションの特集の本棚に置いてあった。 初めは気づかなかったが、「パトリックと本を読む」というタイトルが目に入った。読書会に関する本かなと思い、手に取って帯に書いてある「自己発見と他者理解」という言葉に惹かれた。 それは自分にとっての本を読むという行為、読...

丸の内の丸善でノンフィクションの特集の本棚に置いてあった。 初めは気づかなかったが、「パトリックと本を読む」というタイトルが目に入った。読書会に関する本かなと思い、手に取って帯に書いてある「自己発見と他者理解」という言葉に惹かれた。 それは自分にとっての本を読むという行為、読書会をしていて思う、その本質を言い表しているような気がしたからだ。 買って一週間もたたずに読んでしまった。 本書のあらすじとしては、アジア系アメリカ人の作者が大学時代にボランティアとして黒人差別とその抵抗運動が激しかったデルタ地域に赴く。 しかし、今はそのような名残もなく貧困と諦めが蔓延している学校で、彼女は教師として学生と本や詩を通じて向き合う。 その後、司法試験のためにこの地を離れ、弁護士のインターンを目前に再びこのデルタ地域に戻る。教え子はかつての輝きを失った姿として現れる、というものだ。 作者の読書に関する一連の文章がとても良かった。 「パトリックと本を読んでいたとき、彼がまるで初めて出会った、私が理解し始めたばかりの人のように思える瞬間が何度もあった。その一瞬一瞬、私たちのあいだには、不思議な、根本的な、ありそうにもない平等さがあるように思えた。本を読めばたとえつかのまだろうと、人は予測を超えた存在になれる。それが読書の力だ。本を読んでいるとき、その人は別のだれかかが『こういうタイプ』と決めつけることのできる人間ではなく、あらかじめ規定されていない素のままの人になっている」(342ページ) このような気づきや丁寧な自己の描写が繰り返し、重複しつつも進んで行く。 自分と他者を見つめる中からアメリカのある地方の歴史、公民権運動の過程、司法制度等様々な環境を描写していく。 言葉が連なってできる文章が本という形態をとる事によって、または詩という形態をとる事によって、その形態が何を引き起こしうるのかという事の一つの事例でもあるように思う。 立場や認知の異なる人々を乗り越えて同じ景色を見るという現象が起きている。 そういう事を自分も目の前で見ているようだった。それは次の瞬間には揺らいでしまうものだったりもするけれども。

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2021/08/17

教師は生徒をすこやかに生きる力を与られるが、今より明るい未来へ導けるか、そして相互間に信頼関係を結べるか? そう言うことを考えさせられた。 荒れ果てすさんだデルタ、仕事もなく犯罪の巣のような町で生きることに投げやりな人々。根強い黒人蔑視、筆者自身も中国系ということで差別体験はあり...

教師は生徒をすこやかに生きる力を与られるが、今より明るい未来へ導けるか、そして相互間に信頼関係を結べるか? そう言うことを考えさせられた。 荒れ果てすさんだデルタ、仕事もなく犯罪の巣のような町で生きることに投げやりな人々。根強い黒人蔑視、筆者自身も中国系ということで差別体験はあり、そのような泥沼感に理解がある。だからクオ先生の記録としても興味深い。 そして何より筆者がパトリックを助けようとキャリアを犠牲にして刑務所に通い本を読みながら共有した時間、会話に感動した。 最後、あったかもしれない未来に思いを馳せるところ胸に響いています。

Posted byブクログ