五行歌集 風紋 の商品レビュー
私が柳瀬氏の本の装丁をさせていただくのも3冊めとなった。ご自身4冊目の五行歌集となる。 2010年寅年から2019年豬年までの作品を章立てした総まとめのような作品集となっている。 柳瀬さんの作品は、どこか血の匂いがすると感じている。生々しく拍動する血の通った肉体を通した歌を詠う人...
私が柳瀬氏の本の装丁をさせていただくのも3冊めとなった。ご自身4冊目の五行歌集となる。 2010年寅年から2019年豬年までの作品を章立てした総まとめのような作品集となっている。 柳瀬さんの作品は、どこか血の匂いがすると感じている。生々しく拍動する血の通った肉体を通した歌を詠う人だと思う。 血潮 この腥きもの 滾つもの 穢すもの 浄めるものよ 魚鱗きらりと 抗う魚 白鷺の喉を 陷ちゆきながら なおも脈搏つ 見ているところのスケールの違い、漢字使いの的確さ、ひれ伏したくなるような気品がある。 知性的なのにどこか感性だけでもつっぱしる。 グンゴドッパ グゴドバ 鳴り響く獣の革 ドドパ ドドパ ドドパ 音よ 奔れ 音のまま奔りゆけ 2018年に柳瀬氏に大きな転機が訪れる。ここだけ、日記のような手記と、五行歌が入り乱れる。医師からの説明、覚悟、看取るまでの20日間の戦争、と振り返る。 夫の死を乗り越えて、柳瀬氏の歌はまた進化をとげたようにも感じる。 人生の先輩として、歌の先輩としてまぶしく輝き続ける存在だ。
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うたびとは、真実を語らなければならぬ。その厳しい掟は、私が仮想したものであったかもしれない。私の詩歌運動は、まず基本をそこに置くことであったから、最初、一生懸命に詩歌を貫こうとする弟のような男のために、書いてやってみようかと詩歌を書き始めた柳瀬さんが、いつか私以上に詩歌に真実をあ...
うたびとは、真実を語らなければならぬ。その厳しい掟は、私が仮想したものであったかもしれない。私の詩歌運動は、まず基本をそこに置くことであったから、最初、一生懸命に詩歌を貫こうとする弟のような男のために、書いてやってみようかと詩歌を書き始めた柳瀬さんが、いつか私以上に詩歌に真実をあふれさせたことに私は、誇りを感ずる。 (五行歌の会主宰・草壁焔太跋文より) 2010年から2019年までの作品を掲載。 2018年戌の章には、伴侶の弘氏の闘病をテーマにした20日間の戦い「嵐の中の日々」を収録。 好奇心に溢れ、命を詠いあげる珠玉の五行歌集。
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