異界のものたちと出遭って の商品レビュー
妖精の取り替え子のことが知りたくて手に取った本。成長するとどうなるのか気になったのだけれど、たいてい子供のうちに正体がばれていなくなってしまうようだ。 アイルランドの話を集めたものだけれど、切ってはいけない木の話や束の間異界に行く話など、日本の不思議話とけっこうパターンが似てい...
妖精の取り替え子のことが知りたくて手に取った本。成長するとどうなるのか気になったのだけれど、たいてい子供のうちに正体がばれていなくなってしまうようだ。 アイルランドの話を集めたものだけれど、切ってはいけない木の話や束の間異界に行く話など、日本の不思議話とけっこうパターンが似ている部分がある。 かと思えば妖精たちを「堕ちた天使」と呼ぶ人がいたり、妖精達が最後の審判のことを気にしていたり、キリスト教との折り合いが複雑で興味深い。 収録されている「真夜中の乗馬」という話に「私に帽子と馬を!」という呪文めいた台詞が出てくるけれど、これは漫画「魔法使いの嫁」でチセが言っていた「馬と帽子(ホース・アンド・ハトック)」と同じなのだろうか。
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西洋における神隠しや、妖精の知識を得たくて手に取った。大正解の一冊だった。 主にアイルランドの高齢者の経験談や、村に伝わる話を書き留めたスタイル。 プロローグで語られる、筆者や編集者の「失われゆく妖精譚を後世に伝える」という意気込みが真剣そのもので、まずそこで強く胸打たれた。 ...
西洋における神隠しや、妖精の知識を得たくて手に取った。大正解の一冊だった。 主にアイルランドの高齢者の経験談や、村に伝わる話を書き留めたスタイル。 プロローグで語られる、筆者や編集者の「失われゆく妖精譚を後世に伝える」という意気込みが真剣そのもので、まずそこで強く胸打たれた。 おとぎ話や創作のように教訓は付与されておらず、人間にとって不条理な結末になる話も多いが、無加工ゆえの生き生きした手触りがあって、終始わくわくしながら読めた。 遠く離れたアイルランドの地でも黄泉竈食ひ(よもつへぐい)と共通するエピソードがあること、地域によっては妖精たちをキリスト教と結びつけ、堕ちた天使と解釈する考えがあるのが興味深かった。 図書館から借りて読んだものの手元に置いておきたいため、直近購入する予定。
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