わたしに無害なひと の商品レビュー
なかなかよかった。 人と人は違う個体で所詮他人。近しく大切なはずの人と、本心とは別に望まぬともすれ違い、心に距離ができてしまう時がある。そんな瞬間を、あるいはその後を短編を繋ぎながら丁寧に描いていると感じた。韓国と日本。その感性も当然ながら違うところもあれば、同じところもあるね。
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「ショウコの微笑」の著者とは。 あとがきにある〝差別に物語で立ち向かいたい〟という姿勢のごとく強く沁みる短編7篇。 ハンガン、ファンジョンウンに続き、ずっと追い続けたい作家がまたひとり。
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相手のことを思っているはずなのに自分のことを優先に考えていることが、自分にも相手にも分かってしまう。他人の話に思えるが、自分にも当てはまることがあるかもしれない。
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ほぼ百合短編集。どの作品も素晴らしい。ほとんどが女と女の話、喪失の話。その後のかすかな希望の話も。どの話も切なく心に迫ってくる。この人の作品は、嫌味や抵抗なしに物語に、登場人物に入っていける。 彼らの胸に迫る苦しさ、哀しさは私が持っていたものであり、気づくと自分の物語として読んで...
ほぼ百合短編集。どの作品も素晴らしい。ほとんどが女と女の話、喪失の話。その後のかすかな希望の話も。どの話も切なく心に迫ってくる。この人の作品は、嫌味や抵抗なしに物語に、登場人物に入っていける。 彼らの胸に迫る苦しさ、哀しさは私が持っていたものであり、気づくと自分の物語として読んでいる。 どの作品にも哀しい美しさがある。少し売野雅勇の詞みたいな儚さと尊さも。 あとがきを読むととても真面目で傷つきやすい女性のようだ。これからも書き続けてほしい。
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【読書マラソンPOPコメント】 わたしに無害なひと(チェ・ウニョン著) 著者は韓国の作家で、韓国で刊行された2冊の本どちらも日本語に翻訳されている。この作品は2作目となっていて、日本の読者へのメッセージをも記されている。7つの短編で構成されていて、私は「あの夏」が1番心に刺さっ...
【読書マラソンPOPコメント】 わたしに無害なひと(チェ・ウニョン著) 著者は韓国の作家で、韓国で刊行された2冊の本どちらも日本語に翻訳されている。この作品は2作目となっていて、日本の読者へのメッセージをも記されている。7つの短編で構成されていて、私は「あの夏」が1番心に刺さった。レズビアンカップルが苦労しながらも最後まで幸せに生きていくのかと思いきや、欲望と偽善で別れ、新たな付き合いをするも別れ、結局は最も愛したのは初恋の人でその人とはもう会うことも連絡もできなくなった。記憶に残るのは最愛の人だけなのにもうどうすることもできない状況で終わり、最後のシーンで幼い頃を思い出すことが1編の終わりを感じさせた。 ペンネーム“yan”
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『あの夏』想い合っててもどうしょうもなく育ってきた家や生きてる環境が違うことが浮き彫りにされる感じつらい気持ちになる レズビアンバーでの夜のいたたまれなさ… 『六〇一、六〇ニ』始終むかむかするし暗い気持ちになる終わり方だったな… こういう話見る度に新鮮に憤りを覚えるけど、一方でこ...
『あの夏』想い合っててもどうしょうもなく育ってきた家や生きてる環境が違うことが浮き彫りにされる感じつらい気持ちになる レズビアンバーでの夜のいたたまれなさ… 『六〇一、六〇ニ』始終むかむかするし暗い気持ちになる終わり方だったな… こういう話見る度に新鮮に憤りを覚えるけど、一方でこういう家庭はありふれてたんだろうなと思う(なぜなら同じような話を映画でも小説でも何度も見かけるから…) タイトルはマンションの部屋番号かな 『告白』ジニにカミングアウトされるくだりのミジュの反応や後悔の内容が自分が書いたんか?ってくらいそのまま自分の経験だったので胸が苦しくなった………
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2021年4月 悲しかったことを「悲しかった」と言うくらいは許されるだろう。 当たり前のようで、現実には自分の感情まで外部から制限されてしまうことが多い。悲しいなんておかしい、不満に思うなんて傲慢だ、、、 悲しかった出来事を「悲しかった」と自分の中で認めたり誰かに打ち明けたりする...
2021年4月 悲しかったことを「悲しかった」と言うくらいは許されるだろう。 当たり前のようで、現実には自分の感情まで外部から制限されてしまうことが多い。悲しいなんておかしい、不満に思うなんて傲慢だ、、、 悲しかった出来事を「悲しかった」と自分の中で認めたり誰かに打ち明けたりするのは少し勇気がいる。 登場人物たちの置かれている環境は過酷なものも多くあて、まるっと状況を理解できるわけではないかもしれない。でも悲しかったことを経験したことのない人なんていないのだから、そこにある悲しみはきっと共感できるはず。
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誰しもが通り過ぎてきた人生のどこかで、ひどく傷つき、一晩中泣き明かし、もがき苦しんだ過去があるだろう。今となってはかさぶたとなっているが、一旦手で触れてしまうと、血がうっすらと滲み、痛かった当時の記憶を呼び起こすような…そんな物語が集まった短編集。登場人物の全てを愛おしく感じた。
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各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。 ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。 はっきり言って自分は恵まれてたのかなって...
各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。 ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。 はっきり言って自分は恵まれてたのかなって思う。 これほどまで社会に苦しめられた感覚はなかったなって思う。 それでも彼らに共感してしまうのは、これまでの人生の中のいくつもの後悔やもう連絡もとらなくなったたくさんの人々の顔が浮かび、懐かしく思うからなんだと思う。 大きい何かが起こる話ではなくて、心の動きや関係性を正直に言葉にしてしまう今作のような作品は、やっぱ好きなんだなって思う。 また必ず読み返すだろうし、人に勧めたい。
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まず、文章がひたすら良くてびっくり。 親しいひとを知らずに傷つけたり、失ったりすることがある。そのときはわからないことも多い。この小説はその痛みを直視させてくれるよう。 いちばん没入したのは、「砂の家」。繊細なバランスの上に成り立った関係の崩れる兆しに、胸が締めつけられる思い...
まず、文章がひたすら良くてびっくり。 親しいひとを知らずに傷つけたり、失ったりすることがある。そのときはわからないことも多い。この小説はその痛みを直視させてくれるよう。 いちばん没入したのは、「砂の家」。繊細なバランスの上に成り立った関係の崩れる兆しに、胸が締めつけられる思い。 読んだきっかけは温又柔さんの書評を見て。全編がとても良く、読んでよかった小説。誰かにおすすめしたい。 著者、訳者の他の作品も読んでみたい。
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