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イエスの学校時代 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2022/10/04

物語自体はすんなり読めるが、訳者あとがきを読むとやっぱり奥が深い。 後半はドミトリーの話で、ダビートが脇に追いやられた感がする。

Posted byブクログ

2022/08/09

「イエスの幼子時代」の続編.ちなみに第三作「イエスの死」も刊行済みらしい(未訳). 相変わらず不思議なトーンで淡々と話は進むのだが,今回は殺人事件も起こる.犯人ドミトリーは,名前からしてカラマーゾフ風なのだが,人物もやっぱりカラマーゾフ風で,非常に濃い.彼の思考回路は独特なのだが...

「イエスの幼子時代」の続編.ちなみに第三作「イエスの死」も刊行済みらしい(未訳). 相変わらず不思議なトーンで淡々と話は進むのだが,今回は殺人事件も起こる.犯人ドミトリーは,名前からしてカラマーゾフ風なのだが,人物もやっぱりカラマーゾフ風で,非常に濃い.彼の思考回路は独特なのだが,よくよく考えてみれば登場人物のダービド,イネスを始め,全員が思考に特徴があり癖が強い.決してお互いを理解することはない.一見,唯一まともに見えたシモンさえも,なんだかおかしい. そんなすれ違いが続くなか,シモンの空回りが徐々に目立ってきて,物語は唐突に終わる. この先,一体この疑似家族はどうなってゆくのだろうか?

Posted byブクログ

2020/08/30

何を言いたいのか私にはよく掴めなかった。 ただ、ページが進むにつれて、シモンが愛おしくなる。 ダビードやイネスに冷たくされながらも、ダビードの為に、一所懸命になる姿に応援したくなる。 シモン、イネス、ダビードは疑似家族。でも、シモンはダビードの為に、父親としての任を果たそうと頑...

何を言いたいのか私にはよく掴めなかった。 ただ、ページが進むにつれて、シモンが愛おしくなる。 ダビードやイネスに冷たくされながらも、ダビードの為に、一所懸命になる姿に応援したくなる。 シモン、イネス、ダビードは疑似家族。でも、シモンはダビードの為に、父親としての任を果たそうと頑張る。 イネスのように、自身が打ち込める何かを見つけるわけではないし、ダビードのように明晰な感じでもない。 それでも、ダビードのために一所懸命な姿は、世の中の親の一般的な姿ではないかと思ったし、それで、いいんじゃないのかなって思った。 特筆すべき何かがなくても、誰かの為に一所懸命になる、愛を注ぐ。それができたら、いいのだって。 シモンの不器用な感じは、聖書のペテロ(シモン)のよう。

Posted byブクログ

2020/07/10

『言葉とは弱々しいものです―だからこそ、わたしたちは踊るのです。そうして踊ることで、超然たる星々のかなに住む数を呼び寄せる』 主人公のシモンをヨセフ、シモンが前世からの渡航中に知り合った子供であるダビードをイエス、失われた筈の記憶がダビードの母親だと告げるイネスをマリアに擬えて...

『言葉とは弱々しいものです―だからこそ、わたしたちは踊るのです。そうして踊ることで、超然たる星々のかなに住む数を呼び寄せる』 主人公のシモンをヨセフ、シモンが前世からの渡航中に知り合った子供であるダビードをイエス、失われた筈の記憶がダビードの母親だと告げるイネスをマリアに擬えて、物語は進行していると前作である「イエスの幼子時代」を読んだ時から思っていた。マリアが受胎告知を受け授かってしまった子を育てるヨセフの視点の話だと。何から何まで聖書の物語を当て嵌めて考える必要はないのかもしれないが、今回もダビードが7歳になろうとする時に国勢調査が行われる際にダビードを隠すエピソードなどは、マタイ書のヘロデ王の幼児虐殺の物語と史実としての国勢調査の関係をを連想させる。だがどうやらタイトルにある「イエス」とはダビードのことを指しているのではなく、主人公であるシモンのことであるように徐々に思えてくる。 ダビードはヒポクラテスのように「なぜ」を繰り返し人々が無意識に受け入れている常識に疑問を投げ掛ける。あたかも独自の倫理観、正義があるかのようなふるまいもする。しかしそれは結局のところ子供故の浅はかさでもある。あるいはそういう文脈でイエスの存在を周囲の人々が見ていたのではないかという文学的問題提起なのかも知れない、という思いは残るものの、ダビードが生れ落ちて(前世から渡航してきて)しまった世界の矛盾や不正義に苦しむ様子はほとんどない。むしろ現実に対応しつつ世の不条理を嘆くのはダビードの庇護者である筈のシモンである。それに加えて、本書の最終章のシモンは、まるでヨハネによる洗礼を受ける人のようでもある。 本書では、クッツェーを読むと必ず感じる人間に対する嫌悪感が、これまでになく希薄だ。老いが人間の根源的な醜悪さを薄めていくのか。前作と比較してみても、主人公の変化にはそんな思いを抱かせるようなところがある。全てを著者の実世界活へ帰結させる必要もないが、クッツェーの重ねた歳が、主人公の価値観にもうっすらと投影されているのかも知れない。

Posted byブクログ

2020/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おっと、冒頭から家族の体だ。たまたま私は前作と続けて読んだが、間をあけて読んだ人とか、混乱しないかな。少なくてもピンでこれだけ読む人には(いないか?)背景説明が最初の方に欲しいかも。セニョーラ・アローヨのスピーチは第7章だ。 ともあれ、ドミトリーよ!!!クッツェー・オリジンな性格造形に加えて、「ドミトリー」という名前の登場人物がどうしたって背負う、不気味にデモーニッシュな色彩は看過できないけど。あと、鴻巣女史がどう平仮名を駆使して頑張っても、このダビードが6歳児ってのは無理あるやろー。

Posted byブクログ