輪舞曲 の商品レビュー
舞台に立ちたい一心で子を捨て上京し、キャリアの絶頂で没した伝説の名女優・伊澤蘭奢。 野心を貫いた華の生涯を、男達の眼から描き出す
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新劇や無声映画の女優として活躍したのはわずか10年ほど、伝説の女優「伊澤蘭奢の人生を描いた物語。語り手は彼女のパトロン、元愛人、燕、息子の4人。 語り手を見るだけで彼女の波乱万丈で華やかで実は空虚だったかも知れない人生を想像できる、そういう構成もさすが朝井まかての上手さ。 当時は文学と演劇と映画が今より密接に関係していたからだろうか?演劇関係にはとんと縁のない俺でも見知った名前が少々出てくるが、それ以上にのめり込めないのは、やはり興味のない世界だからか?それでも、演劇の魔力にとりこまれ、わずか10年の女優人生であっても、その世界に大きな影響を与えた彼女は凄かったのだろうし、そのパワーに巻き込まれていった男たちも、振り返れば幸せだったと思えるのは、なんという生命力なんだろうと思える。 物語が終わって、わずか数年後に日本は、文化が著しく衰退するような道を歩んでしまうのだが…、それを観ずに済んだ蘭奢は良かったのかも知れないなぁ。無粋の極みやからね戦争は。
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大正時代に女優で活躍した伊澤蘭奢(三浦繁)の物語だが、登場人物が多彩で驚いた.愛人関係だった内藤民治、カツベンの徳川夢声、近代劇協会の上山草人、新劇協会の畑中蓼坡等々.津和野に旧家に嫁いだ繁が子供を置いて東京に出て女優になることは当時としては破格の事件だったはずだ.様々なエピソー...
大正時代に女優で活躍した伊澤蘭奢(三浦繁)の物語だが、登場人物が多彩で驚いた.愛人関係だった内藤民治、カツベンの徳川夢声、近代劇協会の上山草人、新劇協会の畑中蓼坡等々.津和野に旧家に嫁いだ繁が子供を置いて東京に出て女優になることは当時としては破格の事件だったはずだ.様々なエピソードがあったが、徳川夢声がトーキー映画の出現で苦労する話が面白かった.息子の佐喜雄の存在も話を面白くしていた.
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伊澤蘭著(いざわらんじゃ)1889-1928 享年38. 女優としての時間は1917からのわずか11年。この方のことはを存じ上げなかったのだが、検索すれば経歴もご尊顔の画像もいろいろ出てくる。言葉どおりの1冊の本になる半生。 短くも退廃的で美しい文化が興った大正という時代を体現し...
伊澤蘭著(いざわらんじゃ)1889-1928 享年38. 女優としての時間は1917からのわずか11年。この方のことはを存じ上げなかったのだが、検索すれば経歴もご尊顔の画像もいろいろ出てくる。言葉どおりの1冊の本になる半生。 短くも退廃的で美しい文化が興った大正という時代を体現したかのような女優。彼女に関わった4人の男性の洋館での会食ではじまる幕明けは、とても良いいざないの場面。カタカナ表記で効果的に時代を表せる特殊な時期だよなあ。スプウン、とかね。 裏表紙にもなっているジャスミンの花はときどき物語にも出てくるが、読み進めて彼女の人となりを知るうちに、あの妖艶で繊細な香りがたしかに良く似合う、と記憶のなかからあの香りを鼻奥に感じつつ読んだ。 アーティストだよなあ。今で言う、表現者として沼にはまって命まで削ったかんじ。 こういう自己愛の強さみたいなもの、いま情報化社会で倫理と他者批判に疲弊する現代人は見習うべきところがあるかもしれない。みな幸せなことばかりではなく、やりたいこともこれが正しいのかも自分でもわからず、自省のほうの思いに支配されて、望みのままに生きることを我慢したり諦めたりしてしまうけれど、彼女はへこたれない。人としての暮らしを豊かにすることは捨て、女優であることの本質に心血を注ぐ。終盤で“緩やかな自死”という表現が出てくるけれど、この表現がとても腑に落ちた。 ラスト、表現者冥利に尽きるとある男の思い出話で閉じる場面はこれまた美しい、涙涙。 あんまりネタバレを書きたくない、書くべき作品でもないとおもうのでへんな感想になっちゃったな、 でも久々に重みと胸が埋まる密度のある実在の方の半生を描いた小説、でした。 これ(ある意味、皮肉にも)映画になるんじゃないかな。業界の方にはたまらんだろう。主役を誰が演じるか、楽しみ。もし実現したらジャスミンの香のアロマを控えめに持ち込もう。
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関わった男性の回顧を通じて伝説の女優の生き様を描いた作品。読みやすいが、その女優を全く知らない。演劇にも疎いので、面白さ半減以下。自分の無知を知った本。
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大正時代、夫と子どもを捨てて上京し、遅咲きながらも新劇を代表する女優の一人となった伊澤蘭奢の生涯を描く。 蘭奢の破天荒な生き方は、パトロンや恋人、息子など、彼女の周囲にいた4人の男性によって語られる。当時の演劇事情を背景に、こういう女性がいたのかと興味深く読んだ。 ただ、事細か...
大正時代、夫と子どもを捨てて上京し、遅咲きながらも新劇を代表する女優の一人となった伊澤蘭奢の生涯を描く。 蘭奢の破天荒な生き方は、パトロンや恋人、息子など、彼女の周囲にいた4人の男性によって語られる。当時の演劇事情を背景に、こういう女性がいたのかと興味深く読んだ。 ただ、事細かな説明がある割には、肝心な女優としての熱意や、生身の女性としての激しい心のうちなどが思ったほどには伝わってこない。 余談になるが、作中に出てきたチェーホフの『桜の園』、4月にシアターコクーンの舞台を観に行くはずだったが、コロナで公演は中止になった。蘭奢の演じた役は大竹しのぶ、ほかに宮沢りえ、黒木華、生瀬勝久など実力のある役者たちがそろっていたので、とっても残念。舞台のシーンを読みながら、この俳優たちの顔を思い浮かべてしまった。
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大正-昭和期に舞台と映画で活躍した女優が主人公の、作者得意の女性の一代記。 活躍した期間も含め、短い生涯を生きた女性だが、徳川無声を始めとする周辺の男性たちを絡めることで、物語は膨らむ。 (歌舞伎などの)旧劇に対比し女性を女性が演じる新劇、無声映画、トーキーなど、主人公やその...
大正-昭和期に舞台と映画で活躍した女優が主人公の、作者得意の女性の一代記。 活躍した期間も含め、短い生涯を生きた女性だが、徳川無声を始めとする周辺の男性たちを絡めることで、物語は膨らむ。 (歌舞伎などの)旧劇に対比し女性を女性が演じる新劇、無声映画、トーキーなど、主人公やその周辺の人々を通じて当時の興行界の移り変わりを追体験できる。
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「私、女優になるの。どうでも、決めているの」 夫と一人息子を田舎に残し一人で上京。 田舎の訛りが抜けない。 躍りも唄も満足に出来ない。 年齢的にもそんなに若くない。 誰もが無謀な夢だと思っていたのに、思った通りやり通す信念の女性。 大正から昭和初期を駆け抜けた伝説の女優・伊澤蘭奢。 3人の愛人と息子、4人の男達が彼女の人生を振り返り、彼女の死と向き合う物語。 互いを規制しつつも案外仲良くやっている4人がとても印象的だった。 4人の男達は互いに距離を保ちながら、蘭奢を中心にして周りを踊らされていただけなのかも。 あの時代、田舎で生まれ育った女性がこんなにも自由奔放に生きていけたなんて。 周囲の目も気にせず自分の意思を貫く強さがとても眩しい。
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ご本人を知っていたら面白かったのかも?そもそもこれはパートナーのお母さんから送られてきた本なので自分で選んで読んだわけではないため、評価することが間違っているので評価なしです。
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昭和初期の劇団状況がよく分かり文化の香りがする.そして,かくも女優になることは女性にとって戦いの連続だったのだということもわかる.伊澤蘭奢の軌跡を語る係りのあった男たちが感じた彼女の姿のたくさんの面,それも演技だったのだろうか.
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